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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
ハリー・ポッターと秘密の部屋
ハリー・ポッターと秘密の部屋
ハリー・ポッターと秘密の部屋
原題:HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS
価格:882円(税込)
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

空前のヒットを放っているファンタジー映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』、アメリカと同時公開された日本でもたいへん話題のようですね。

でも、『ハリー・ポッター』シリーズの本や映画がリリースされるたびに、アメリカでは ultra right wing Christians=極右キリスト教徒が抗議デモを行う、ということはあまり知られていないのではないでしょうか?

彼ら(特に南部のバプティストたち)は、「ハリー・ポッターは magick を教える悪魔の書で、この本や映画を見ると地獄に堕ちる」と、本気で信じているんです。

この magick という造語は、「オカルト崇拝者が行う魔術」という意味で、オカルトや悪魔を信じる人たちの間では magic 「奇術、手品」と区別して使われています。

極右キリスト教徒がマジョリティーを占める地域では映画館や本屋の前でデモが行われるのはもちろん、図書館から『ハリー・ポッター』シリーズの本を追放したり、わざわざ報道陣を招いて集会を開き、公の場で本を焼き捨ててしまったり……、日本では考えられないようなリアクションを恒例の行事としています。

キリスト教専門チャンネルやキリスト教の団体がスポンサーをしているラジオ番組などでも、televangelist と呼ばれる「テレビ伝道師」や過激なコメンテイターたちが、聖書を引用しては『ハリー・ポッター』のボイコットを熱心に呼びかけています。

彼らは、まずは『ハリー・ポッター』の内容そのものを非難。旧約聖書の申命記では、魔女や魔法使いは、主にとって忌まわしき者とされ、さらに、"The LORD thy God doth drive them out from before thee."つまり、「あなたがたの神である主は、彼ら(=ハリー・ポッターのような魔法使い)を、あなたがたの前から追い払う」と記述されている、というのが彼らの言い分です。

次に、「マタイによる福音書で、神は "私を信じる幼な子たちをつまづかせる者は、大きな引き臼を首にかけられて海の深みに沈められるほうがその人の益になる" とおっしゃった」と主張し、『ハリー・ポッター』を容認しようとする親を叱責しています。

『ハリー・ポッター』が邪悪な魔術を推奨することを「証明」した "Harry Potter: Witchcraft Repackaged (ハリー・ポッター:子ども向け魔術解説版)"というビデオや、このシリーズが悪魔の手引きであることを聖書をもとに「検証」した書籍 "Harry Potter and the Bible (ハリー・ポッターと聖書)"がフライオーバー・ステイツでは大ヒット商品になっていることも忘れてはなりません。

去年は、カトリックの神父らの一部が「『ハリー・ポッター』は善きものと悪しきものの闘いがテーマの幻想的な物語で、犠牲的精神や愛、真実というキリスト教的価値観も含まれている」といったおかげで、抗議デモもそれほど大きなサワギにはなりませんでした。

でも、今年は中間選挙で極右キリスト教徒が支持基盤である共和党が上下両院を制したのを受けて、ブッシュ大統領は極右キリスト教徒の最高裁判事の娘や息子を要職に就けたほか、極右キリスト教徒の判事を続々とアポイントしました。こうした「追い風」を受けて、"ハリー・ポッター叩き" の人たちはここぞとばかりに張り切っているのです。

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