J. Lo の愛称で知られるジェニファー・ロペスの最新作 "Maid in Manhattan" は、ニューヨークの高級ホテルのメイドがリッチな上院議員候補に見初められる、というシンデレラ・ストーリー。
アメリカで二級市民扱いされているプエルトリコ人と、有色人種に冷たい WASP の共和党員の対比、という社会的な一面もうまく織り込んでいて、それなりに楽しめる映画です。
でも、キャリア思考の女性を対象とした雑誌や番組では、手厳しい非難を受けています。
ウーマン・リブのムーブメントが始まって40年、コレット・ダウリングの『シンデレラ・コンプレックス』が大ヒットして20年も経ち、21世紀になった今もシンデレラ・コンプレックスを助長する映画が作られているなんて許せない!ということなのです。
「オンナの幸せ」すなわち「白馬に乗った騎士 (英語では a knight in shining armor、Prince Charming といいます) が、どこからともなく現れて、不満だらけの現状から女性を救出して幸せにしてくれること」という大昔からの定番思考の意味するところは、まさに他力本願そのもの。
幸せ/成功への道は自力で切り開くべき! と彼女たちは主張しています。
アメリカの女性ジャーナリストの草分け的存在であるバーバラ・ウォルターズはこの映画について、こうクギをさしています。
"You shouldn't let young women feel that the only thing that's going to change their lives is when this guy comes along." (<王子様のような> 男性が現れないかぎり人生は変わらない、と若い女性に思い込ませるのはよくないですね)
人種差別反対運動や女性の権利拡張運動に深く関わっていることでも有名な女優のウーピー・ゴールドバーグも、「シンデレラものの映画って、 "ふたりが一緒になりました" っていう時点で物語を終えてるから happy ending に見えるけど、問題なのは一緒になった後なのよ」と、さすがの鋭い指摘!
この映画もまさしく、階級や人種の差を乗り越えてふたりが一緒になる、というところで終わっているんですよね。
で、「スラム街で育った色の浅黒い女性が、共和党(マイノリティーを冷遇し労働者階級の人々を見下している党)の議員の妻として幸せになるのはほぼ不可能に近い」という現実には、全く触れていないのです。
とはいえ、これも夢を売ることとお金儲けが目的のハリウッド映画ですから当然のことなのでしょう。
"And they lived happily ever after." (そしてふたりは幸せに暮らしましたとさ) で終わらせるのではなく、"What happens after the happy ending." (ハッピーエンドの後どうなるか) にまで言及したら、ヒットにはならないでしょうから……。
- 2003年1月23日
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