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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
ブルース・オールマイティ
ブルース・オールマイティ ミラクル・エディション
ブルース・オールマイティ ミラクル・エディション
原題:Bruce Almighty
価格:2,546円(税込)
販売元:ポニーキャニオン

平凡な男が、一時的に神 (キリスト教の神) から全知全能の力を授けられ、地上で神の役目を果たすことになって、さあ大変! 『ブルース・オールマイティー』は、ジム・キャリーお得意のコメディー映画です。

キリスト教をネタにしたコメディー映画で神が意外な姿をしている、という設定がマット・デイモン、ベン・アフレック主演の映画『ドグマ』と似ているため、映画の宣伝が始まった時点から、まだ映画を見ていない保守的なキリスト教徒たちが早くもネガティヴな意見を噴出させていました。

彼らは、まず神の具現化そのものを冒涜と考えているので、「神が人間の姿で登場する」と聞いただけで反射的に嫌悪感を露わにしてしまうんです。

『ドグマ』で神に扮したのは、ミュージシャンのアラニス・モリセット。映画公開時には、この意外なキャスティングも含め大々的なボイコット運動が起き、彼女のもとには脅迫状めいた手紙が殺到しました。

ところが、『ブルース・オールマイティー』は大ヒットとなりました。同じ設定なのに、どうして? ……その理由は、3つあります。

まず、神を演じているモーガン・フリーマンが「尊敬に値する」立ち居振る舞いで、神の心の広さをうまく表現したから。

ふたつめは、主人公 (キャリー) が最終的に神の力の前にひれ伏す、というストーリーで、神の権威をポジティブに描いているから。

そして、3つめは監督のトム・シェイディアックが公開直前にキリスト教のメディアのインタビューで説得力のある発言をしたからで、実はこれが最大の勝因です。

彼はこの映画を「欲にまみれた人間が<人生で本当に大切なことは愛し愛されることである>と悟るにいたるまでの旅」と説明しました。

さらに、神をののしったり Jesus の名を罵倒の表現としてしか使っていないことや、四文字語 (four-letter words) が多いことについても、監督は言及しています。これらはすべて、保守派キリスト教徒がひどく忌み嫌うことなんですね。

監督はまず、聖書に出てくる預言者やヒーローたちも同じく神を罵倒していると指摘しました。さらに、「主人公が最初からいい人だったらドラマにならない。未熟な人間が信仰に目覚めるところにこそストーリーがある」とダメ押し。

アメリカにはキリスト教関連の番組ばかりやっているテレビ局やラジオ局がたくさんあり、特に fly-over states では、キリスト教専門メディアが巨大な力を持っています。

この種のメディアは、born-again Christian と呼ばれる、信仰を新たにしたキリスト教徒とても大切にします。彼らが支持するブッシュも、自称 born-again Christian なんですね。ですから、監督のこのひとことはまさに格好の宣伝文句となりました。

2月2日の聖燭節 (Groundhog Day) の日が永遠に繰りされることで起きる珍事をハートウォーミングに描いたコメディー映画『恋はデジャ・ブ』と同じく、仏教の性善説に通じる思想が『ブルース・オールマイティー』の根底には流れています。キリスト教徒じゃなくても楽しめますので、日本で公開されたときはぜひご覧ください。

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