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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
X-MEN2
X-MEN2
X-MEN2
原題:X2
価格:999円(税込)
販売元:20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

『X-MEN2』がアメリカで公開されたのは2003年5月。ちょうどイラク侵略戦争が一段落ついて、ブッシュ政権の公民権弾圧政策が問題になり始めた時期でした。

ブッシュを批判したハイスクールの生徒がFBIに逮捕されたり、反戦デモに参加した人たちや環境保護の活動をしているボランティアたちが「テロ防止のため」という大義名分のもとで尾行されていたことが判明したり、9・11以降に「監禁」されたイスラム教徒のほとんどがテロとまったく無関係だったことが明らかになったりして、反ブッシュ派の怒りがふつふつと沸き上がっていた頃のことのです。

またほぼ同時期に、共和党のサントラム上院議員が「同性愛は姦淫や近親相姦と同じで邪悪だ」と発言し、テキサスなどの一部の州が同性愛行為を非合法としていることを褒め称えたことがニュースになっていました。そのため、『X-MEN2』は、ミュータントに対する差別を反ブッシュ派やアラブ系の人々への弾圧やゲイ差別のメタファーとして見るとおもしろい、ということで話題になったのです。

映画に出てくるミュータント登録法案は、プライバシーの侵害という点で、アメリカでテロ以降に生まれた Patriot Act*1にそっくり。ミュータントを一掃しようとしている米軍のリーダー・ストライカーの攻撃的な姿勢はラムズフェルド国防長官に似ているし、パラノイアな部分はリベラルな思想をことごとく弾圧しないと気が済まないアシュクロフト司法長官を彷彿とさせます。

ストライカーのミュータント滅亡作戦に対抗するために、宿敵であったマグニートとプロフェッサーXが協力するという筋書きは、Patriot Actに反対するために民主党派の人々の旗頭であるACLU(アメリカ自由人権協会)と極右の象徴とも言うべきNRA(全米ライフル協会)が共同戦線を張った経緯につながっていますね。リベラルなインテリ層が多い映画評論家たちがこの映画を絶賛したのは当然と言えます。

しかも、メイン・キャラクターの一人ナイト・クロウラーが熱心なカトリック教徒であるおかげで、ブッシュの支持基盤であるフライオーバー・ステイツ*2の人々(原理主義的キリスト教徒が多い)にも歓迎されたので、この映画は大ヒットになったんですよね。

日本では世界に先駆けてDVDが発売されます。この機会にスターリン化するブッシュ政権との類似点にも気を配りながら見直すと、新たな発見があるかもしれません。

*1 警察やFBIによる盗聴活動の権限拡大を柱とした「反テロ法」。だれが銃を買ったか、図書館でだれがどんな本を借りたかなどの情報の入手も容易となった。

*2 フライオーバー・ステイツは東西海岸に面していないアメリカの田舎のことを指す婉曲表現。LAやNYなどの大都市の間をつなぐ飛行機が、アメリカの穀倉・酪農地帯やバイブル・ベルトと呼ばれるキリスト篤信地域をフライオーバー(=飛び越えて)いくことから。

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»黄昏ミニヨン想録堂: X-MEN2 - 2007年1月12日 14:29

実は一度借りたが、それが1であったと言う、貧乏学生には笑うに笑えぬイベントを経て『X-MEN2』を見た。