『華氏911』は、公開当時の劇場数が868館だったにも関わらず、2000館以上でリリースされた他の話題作を抑えて2400万ドルのオープニング・セールスを記録しました。
公開してくれた劇場がやけに少なかったのは、共和党に雇われた大手広告業界や共和党員のoperatives(工作員)が「この映画を公開する映画館をボイコットしよう!」と呼びかけ、公開を予定していた映画館に脅迫メールやいやがらせの電話をかけたため、何百館もの劇場がおじけづいてリリースを見合わせたから。
でも、ひとたびヒットが確実となると、弱腰だった劇場主も目が$マークになって、公開劇場数が1週間後には1725館、2週間後には2011館に増え、ドキュメンタリーとは思えない大ヒットになっています。
ヒットの理由は、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したことや、ブッシュ陣営が職権を濫用して公開を法的に阻止しようと画策したことへの反動などの外因も忘れてはいけませんが、なんといっても映画自体の質がいい、ということが一番の勝因でしょう。
ムーア氏は「コメディで真実を語る」というお得意の風刺手法で、ブッシュの無能さをおもしろおかしく露呈しながら、ブッシュ一族を陰で操るサウジアラビアのオイルマネーの存在を浮き彫りにしていきます。
このドキュメンタリーには開眼モノの情報がいっぱい詰まっていますが、中でも圧巻なのは、WTC(World Trade Center)が炎上する最中、ブッシュが7分間もひたすらボーッとしている姿。
私が映画を見に行ったとき、このシーンで観客の一人が Fucking moron!(クソったれの馬鹿野郎!)と叫び拍手を浴びていました。
さらに、その直後に、別の観客が Don't call George W. a moron!(ジョージ・W[・ブッシュ]を馬鹿野郎なんて呼ぶな!)と叫び、一瞬ブーイングが起こった後に、続けて 'Cause calling Bush a moron is an insult to all the morons in the world!(ブッシュを馬鹿野郎と呼ぶのは世界中の馬鹿野郎に対する侮辱だからだよ!)と言い、さらに大きな拍手が巻き起こりました。
公開前は、この作品は単に反ブッシュ派に対して、彼らがすでに知っているブッシュの悪事を改めて知らせるだけの映画なので just preaching to the choir(聖歌隊に説教をするだけ)だと言われていましたが、この映画で反ブッシュ派のエネルギーが倍増したので、今では getting the choir to sing(聖歌隊を歌わせている)と言われています。
無党派の人々や、共和党派が多い兵士や兵士の家族たちの中からも、映画を見た後にケリー支持派にくら替えする人が出ているので、このドキュメンタリーの影響力はあなどれません。
“ブッシュ一族や元英国首相ジョン・メージャー、ビン・ラディン一族が重役を務めるカーライル・グループの利益のためにイラク侵略が強行された”、という真相を明確に提示してくれるこの作品、リアルタイムで歴史の勉強をするつもりで、みなさんもぜひともご覧になってください!
軍需産業を中心に映画館・メディア・石油・自動車・通信業界などの大手の会社を所有しているコングロマリット
- 2004年8月12日
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