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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
トゥー・ブラザーズ
トゥー・ブラザーズ コレクターズ・エディション
トゥー・ブラザーズ コレクターズ・エディション
原題:Two Brothers
価格:6,300円(税込)
販売元:東宝

アンコールの遺跡で生まれたトラの兄弟、クマルとサンガ。すくすくと仲良く育っていた2頭だが、人間の都合により引き離されてしまう。活発でやんちゃなクマルは冒険家のもとへ、おとなしいサンガは行政官の息子の遊び相手として可愛がられる。やがて時が経ち、兄弟は再会を果たすが…。

『トゥー・ブラザーズ』は、動物の視点から描かれている心温まる作品で、「いったいどうやってこんな映像が撮れたの?」と映画通をうならせるようなシーンに溢れています。

アメリカでは6月27日の公開だったので、夏休みの子ども向け“教育映画”として高く評価されていましたが、まったく説教臭くないので、素直に映像の美しさとトラのかわいさを楽しむことができます。

アメリカでの映画のPRは、主役の俳優たちが朝昼の主婦向けのワイドショーやMTVなどのティーン向けの番組、夜の大人向けのトークショウに出まくって宣伝する、というのが主流です。

ですから、『シュレック2』のように声の出演といえどもスターがたくさん出ている映画は、おカネをかけてCMを作らなくても、毎日スターたちが入れ替わり立ち替わり様々な番組に出演するので、ほぼすべての情報番組がほとんど1週間ず〜っと“シュレック宣伝塔”と化してただで映画をPRしてくれるのです。

その点、ガイ・ピアースしか有名人が出演していない『トゥー・ブラザーズ』は、PRという点では非常に不利だったわけですが、公開のタイミングがよかったおかげで、プライムタイムの枠ではほとんどCMが流れなかったにも関わらずコケずに済みました。

アメリカの学校の夏休みは6月中旬からほぼ3カ月間と非常に長いため、この間各地の市民団体や行政機関が様々なサマー・プログラムを組んで、親たちにパンフレットを配ります。

で、『トゥー・ブラザーズ』は自然保護・野生動物保護という教育的効果が非常に高い映画なので、こうしたパンフレットで推薦映画として紹介されたため、安い経費で確実にターゲット・オーディエンスに宣伝できたのです。

しかも、多くの博物館でガイ・ピアースが演じているキャラクターのモデルになったジム・コーベットの映画(野生のトラの保護に関するドキュメンタリー)がほぼ同時期に公開されていたので、課外授業の一環としてこの映画を見た子どもたちが『トゥー・ブラザーズ』も見に行く、というケースも多かったんですよね。

ただ、一つ残念だったのは、ハンティングや銃所持を擁護する団体がボイコットをしてくれなかったこと。

裏情報によると、サファリ・クラブという世界最大のハンティング・クラブが、「当クラブとNRAが狩りに向く(角や牙、毛皮が立派、という意味)野生動物を絶滅品種のリストから外すように、と、アメリカ政府に働きかけていることが明るみに出るとアメリカ市民から反感を買うから」という理由でボイコットの呼びかけを控えた、ということ。

もし、彼らが『ブラザー・ベア』のときみたいに大規模なボイコット運動を展開してくれていたら、それがニュース番組で取り上げられ、いい宣伝になってもっと興行成績が伸びたでしょうに……。

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