超ベストセラーファンタジーの映画化作
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリーほか
公開:2月25日(土)先行上映 3月4日(土)より全国超拡大公開
http://www.disney.co.jp/movies/narnia/shell_content.html
C.S.ルイス原作『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』は、アメリカでは公開10週目で既に約2億8500万ドルの収益を上げ、歴代興業成績ランクで26位に入るメガヒットになっています。
大ヒットの要因は、普段は映画館に足を運ばない原理主義キリスト教徒を大量に動員できたこと。
オックスフォード大学の英語の教授だったルイスはキリスト教学者としても有名で、彼の著書“Mere Christianity”(『キリスト教の精髄』。神学的にではなく論理的にキリスト教の倫理を説いた本)は今でもキリスト教徒に愛読されています。
彼は少年・青年時代は無神論者だったんですが、33歳の時に突然“神”を見いだして熱心なキリスト教徒になった人なので、そもそも原理主義キリスト教徒*と共通点が多いんですよね。
その彼が書いた子供向けの本「ナルニア国物語」シリーズに目を付けたのが、石油で大もうけし、ブッシュ一族とも親しい右派キリスト教徒の億万長者、フィリップ・アンシュッツ氏。
前々からリベラルなハリウッドに敵意を抱いていたアンシュッツ氏が、「映画やテレビを通じて保守的な思想やキリスト教の価値観を広めたい」という一心から築いた制作会社が、このシリーズの映画化権を買い取ったのです。
清廉潔白なライオンが自己を犠牲にして悪の手にかかり殺されるが、最終的には生き返る、という筋書きが、イエス・キリストが人類の罪を背負って十字架にかけられ殺されるが、3日後に生き返った、という聖書のくだりにそっくりなので、「ナルニア国物語」はアンシュッツ氏の思想を多くの人に伝える素材として最適だったわけです(キリストをライオンに例えた記述が聖書に出てくるので、キリスト教徒はライオン王アスランが生き返るシーンでイヤでもキリストの復活を思い浮かべてしまいます)。
で、メル・ギブソン監督の映画『パッション』(2004年公開。収益は3億7000万ドル以上で歴代興行成績ランク10位)のマーケティングを担当した企業が本作でも同じように、教会や日曜学校(キリスト教の教会で、日曜ごとに子供を集めて宗教教育を行う学校)に直接チケットをさばき、公開日もクリスマス(キリストの生誕を祝う宗教行事ですよね)の直前に設定。アメリカ中がクリスマス気分に浸っている時だったので、子供連れのお客さんに加えて普段は映画なんか見に行かない原理主義キリスト教徒たちが大挙して押し寄せ、大ヒットになったのです。
実は、アメリカではこの成功に対して、「子供向けの映画をキリスト教布教のための道具として使っている」という批判も出ているんですよね。
でも、聖書を読んだことがなければ、アスランがキリストをモチーフにした存在だとは気づかないので、非キリスト教徒がこの映画を見てキリスト教に洗脳されることはありません。ですから、娯楽超大作としてももちろん楽しめますよ!
- 2006年2月23日
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