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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
原作発売から映画公開まで
常にキリスト教界を騒がせた『ダ・ヴィンチ・コード』
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ダ・ヴィンチ・コード
原題:THE DA VINCI CODE
監督:ロン・ハワード
原作:ダン・ブラウン
出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、ジャン・レノほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:5/20より日劇1+日劇3ほか全国東宝洋画系にて超拡大ロードショー
http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/

閉館後のルーブル美術館で館長の死体が発見された。死体の周りに残された不可解な暗号。それはひん死の傷を負った館長自身が作り上げたものだった。暗号の中に名前があったハーバード大学教授ラングドンは容疑者として現場に連れて来られるが、館長の孫娘で暗号解読官のソフィーに助け出される。二人はフランス司法警察に追跡されながら、暗号の謎を解き始める。ダ・ヴィンチが残した歴史を揺るがす暗号とは? 世界的ベストセラーの映画化作。

『ダ・ヴィンチ・コード』は、2003年に原作が発売された時点からずーっと話題になっていて、映画公開前の3カ月ほどは「ダ・ヴィンチ・コード」という言葉を聞かない日はなかったほど。

カトリック教会がいまだに強い影響力を持つ欧米諸国や南米では、原作が発売された直後、カトリック教徒たちが「これは神に対するぼうとくだ」と怒りを表明。バチカンのローマ教皇庁もこの作品を非難しました。

2004年には“Cracking Da Vinci's Code: You've Read the Fiction, Now Read the Facts(ダ・ヴィンチ・コードを破る:フィクションを読んだ後は事実を学ぼう)”“The Da Vinci Code: Fact or Fiction?(ダ・ヴィンチ・コード:事実かフィクションか)”など、『ダ・ヴィンチ・コード』のウソを暴く本がたくさん発売され、どれもベストセラーに。

映画化が決定した2004年の後半には、主役のラングドン役の候補に俳優のラッセル・クロウ、ジョージ・クルーニー、トム・ハンクス、ヒュー・ジャックマンなどが上がっている、という話題で盛り上がり、同年12月にトム・ハンクスに決定したときも大きなニュースになりました。

2005年には、4月に前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が亡くなったことがきっかけで、カトリック教会の排他的で古いしきたりやミステリアスな伝統に、今までにないほどのスポットライトが当たり、『ダ・ヴィンチ・コード』が再び話題に!

そして、今年に入ってからは、まず2月に“The Holy Blood and the Holy Grail(聖なる血と聖杯)”というミステリーの作者が『ダ・ヴィンチ・コード』は盗作だと主張し作者のダン・ブラウンを訴える事件がありました。イギリスの法廷で行われたこの裁判の模様はアメリカでも大々的に報道されました。

この裁判が始まった数週間後には、『ダ・ヴィンチ・コード』も“The Holy Blood and the Holy Grail”も急速にセールスが上がり、発売元が同じだったため、「この裁判は本を売るためと、5月に公開される映画を宣伝するために仕組まれた茶番では?」という憶測が飛び交い、それがまたさらなる話題を呼びました。

4月6日には1970年代にエジプトで発見されたユダの福音書*の英訳が発表されて、バチカンがこれは偽物だと非難。そしてこのときついでに『ダ・ヴィンチ・コード』も非難。

さらに4月16日には、、作中にも登場するカトリックの組織オプス・デイが「この作品はわれわれを権力をむさぼる殺人者の団体と描いている」と、映画制作会社に正式に抗議文を提出し、翌17日にはカトリックとは仲が悪い英国国教会までもがこの作品を非難したことが大きなニュースになりました。そして非難されるたびにさまざまなメディアが「5月中旬に公開を控えた『ダ・ヴィンチ・コード』がまたまた非難されています」と報道してくれたんですよね。

ちなみに盗作裁判ではダン・ブラウンが勝訴していますが、イギリスやアメリカでは、PR会社は戦争まで売りつけることができる**ので、これがPR会社が仕組んだ茶番裁判だったとしても誰も驚かないでしょう。

*従来の聖書には「ユダはイエスを裏切って弾圧者にイエスを売り渡した」と記されていますが、この福音書には「ユダがイエスを弾圧者に売り渡したのは裏切り行為ではなく、イエスにそうしろと指示されたから」と書かれています。現行のキリスト教ではユダは裏切り者の象徴で、ミサのお説教でユダが反面教師として登場することがよくあります。ですから、ユダは実はいい人だった、ということになると、今までの教会の教えが根本から覆されることになってしまうのです。

**アメリカに本社を置く国際PR会社「ヒル アンドノウルトン」は、第一次湾岸戦争をアメリカ国民に売りつけた会社として有名です。1990年にイラク軍がクウェートに侵攻。アメリカの世論や議会が自国の対イラク戦争に反対する中で、ある“公聴会”が開かれ、ナイーラというクウェートの少女が泣きながら「イラク兵がクウェートの病院を侵略し、保育器から赤ちゃんを引きずり出して殺している」と発言。この1コマがあらゆるメディアで繰り返し報道され、ブッシュ大統領(現在のブッシュ大統領のお父さんです)もこの一言を何度も繰り返した結果、世論が参戦に傾き、議会も戦争に賛成しました。後に、この公聴会はクウェート政府に雇われた先のPR会社が仕組んだ集まりで、ナイーラは在米クウェート大使の娘でクウェートには行ったことさえなかったことが判明。国際赤十字も「イラク兵が保育器から赤ちゃんを引きずり出した、という事実は全くない」と、この偽証を強く非難しています。

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