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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
右派、左派双方の政治サイトを盛り上げた映画『オープン・シーズン』
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(C)2006 Sony Pictures Animation Inc.
オープン・シーズン
原題:OPEN SEASON
監督:ロジャー・アラーズ、ジル・カルトン
出演:(声)マーティン・ローレンス、アシュトン・カッチャー、デブラ・メッシングほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:12月9日(土)全国ロードショー
http://www.sonypictures.jp/movies/openseason/

森林警備員のベスに育てられているクマのブーグは、人間界で何不自由なく暮らしていた。しかし、ハンターに捕らえられたシカのエリオットを助けたことで彼の生活は一変。えさの取り方も分からないのに、エリオットとともに自然界へ戻されてしまう。そして迎えたオープン・シーズン(狩猟解禁)。ブーグはハンターから自分たちの森を守るために、森の動物たちとともに立ち上がった!

『オープン・シーズン』は、アメリカでは子供向け映画としては最悪な時期である10月1日に公開され(アメリカでは新しい学年度が9月に始まるので、9月、10月は、子供たちは新しい学校、学年に慣れようと忙しく、映画館に行っているヒマなどないのです)、しかも映画自体のPRはほとんど行われなかったにもかかわらず、興業面で健闘しています。

健闘している要因は2つ。

まず、この映画の3DバージョンがIMAXシアターで同時公開されたこと。IMAXシアターって、経済的に豊かなテクノロジー関係の会社の傘下にあることが多いんです。だから、親会社がそれぞれ持っている劇場の宣伝もかねてこの映画を宣伝してくれたのです。

もう一つの要因は、政治関係のサイトで話題になったこと。動物に対する愛情をはぐくむ映画が公開されるたびに、ハンターの人口が多い非都会のアメリカ人が文句を言うことは『ブラザー・ベア』の回でお話ししましたよね。『オープン・シーズン』はもろにハンターを小ばかにした映画なので、アメリカの南部、中西部、山岳部では、配給会社であるソニー・ピクチャーズをボイコットしようと呼びかける団体が当然のように出てきたわけです。

これに加えて、森林警備員の女性の声を担当している女優デブラ・メッシングがインタビューで「スポーツとして快楽のために動物を殺すなんて信じられないわ。そういうことがなければいいのに」と発言。NRA(全米ライフル協会)*もこの映画の批判をし始めました。

メッシング嬢の発言は、右派の人々御用達の超有名な政治サイト“Free Republic”でも取り上げられ、このサイトのBBSで『オープン・シーズン』バッシングが始まりました。

そしてこのBBSに書き込まれた「ハンターは快楽のために動物を殺しているんじゃなく、食肉を得るために殺しているだけ」という一言が、今度はリベラル派の政治サイトでも取り上げられ、「あのカキコ(書き込み)はジョーク? もし本当だったら、そんな原始人がまだアメリカにいるなんて信じられない!」と話題になりました。

さらに、映画に登場するハンターのキャラクターが銃規制反対の政治活動をしているNRAの闘士で、ハンティング番組のホスト役としても有名なハードロッカー、テッド・ニュージェント**にそっくりだったことも両派の政治サイトで話題になりました。

だから、リベラル派で政治に興味があり、子供を持つ人々は、“野生動物保護の意識を子供に教える”という親としての義務感から、子供を連れてこの映画を見に行ったんです。

ハンター人口の少ない日本では、この映画に教育的効果を見いだすことはできないでしょうが、友情を描いた心温まる作品なので、ぜひご覧ください!

*NRA(全米ライフル協会)は、右派キリスト教の団体と勢力を二分する、アメリカで最も力のある政治圧力団体です。
**テッド・ニュージェントは、アメリカではチャールトン・ヘストン(『十戒』[1956年]、『ベン・ハー』[59年]主演の俳優。1998年から2003年までNRA会長でした)、トム・セレック(80年代に人気を博したテレビドラマ「私立探偵マグナム」シリーズなどで有名な俳優)と並ぶNRAの顔です。

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