『アポカリプト』は、アメリカでは昨年の12月中旬に公開され、最初の週末の興行成績ランクでNo.1の座を獲得しました。
会話はすべて古代マヤ語で、アメリカ人が苦手な字幕つきの映画だったにもかかわらずここまで健闘したのは、この映画がひとえにメル・ギブソンの作品だったから。
メル・ギブソンの『パッション』(2004年)がアメリカでどれほどすさまじい話題になったかは以前に紹介しましたよね。この映画は「字幕映画・宗教映画としてアメリカ最大のヒットとなった『パッション』を作った、あのメル・ギブソンが精魂込めて制作に取り組む作品」ということで、ギブソン氏が『アポカリプト』の制作発表をした時期(つまり公開の1年以上前)からすでに大きな話題になっていました。
2006年7月28日にギブソン氏が飲酒運転で逮捕され、ユダヤ人差別発言をして警官をののしる、というスキャンダルがあったのですが(なかなか沈下せず、1カ月以上もジョークのネタとなってさまざまなトークショーをにぎわせていました)、ワイドショーでは、「このスキャンダルが、今年のクリスマスシーズンに公開される彼の監督映画『アポカリプト』にどう影響するでしょうか」ということがよく話題になっていました。
それがやっと収まったと思った矢先の10月中旬、今度はギブソン氏がABCテレビのインタビューで、先のユダヤ人差別発言をお酒のせいにしようとしたことでスキャンダルが再燃。芸能界では「『アポカリプト』はギブソン氏最後の作品になるか?」(ハリウッドにはユダヤ人が多いので「ギブソン氏はほされるか?」という意味)という話題で持ちきりに。
さらに、公開日が近づいた段階では、歴史ドキュメンタリー専門チャンネルや、普段は社会派の話題を扱っている情報番組などで「検証! マヤ文明は本当に一度に8万人のいけにえを捧げたのか?」とか「ギブソン監督の最新作は、コルテス率いるスペイン人(キリスト教徒)が残虐なマヤ文明を滅亡させたことを正当化するものなのか?」というテーマの特番を組み、映画のPRに貢献してくれました。
ですからこの作品は公開の時点で、タイトルを知らない人はアメリカに存在しない、というくらいの知名度を築いていたのです。
ちなみに私は、映像のあまりの残虐さにスクリーンを正視できなかったシーンが山ほどあって途中でウンザリしてしまったため、この映画を十分に“鑑賞”することができなかったのですが、その点で言うと、この作品はスプラッター映画ファンに受けるんじゃないかと思います。
マヤ文明やメル・ギブソンの思想を一切無視して、血まみれのアクション映画として楽しむこともできますよ!
- 2007年5月24日
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