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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
“あの”メル・ギブソンが精魂込めて描いた古代マヤの世界
Apocalypto
© Icon Distribution, Inc., All rights reserved Photo :Andrew Cooper, SMPSP
アポカリプト
原題:Apocalypto
監督:メル・ギブソン
出演:ルディ・ヤングブラッド
配給:東宝東和
6月16日(土)から全国ロードショー
http://www.apocalypto.jp/

マヤ文明後期の中央アメリカ。誇り高き狩猟民族の青年ジャガー・パウは、平和な村で家族や仲間たちと暮らしていた。しかし、ある日、マヤ帝国に襲撃され、干ばつを鎮めるための儀式のいけにえとして狩り出されてしまう。村に残してきた妻子を救いたい、その一心でジャングルの中に飛び込み果敢に逃走を図るジャガー。しかし、彼に執拗な追っ手が迫る……。せりふは全編古代マヤ語、出演者は映画経験のない若者たち、というハリウッドの常識をくつがえす映画。

『アポカリプト』は、アメリカでは昨年の12月中旬に公開され、最初の週末の興行成績ランクでNo.1の座を獲得しました。

会話はすべて古代マヤ語で、アメリカ人が苦手な字幕つきの映画だったにもかかわらずここまで健闘したのは、この映画がひとえにメル・ギブソンの作品だったから。

メル・ギブソンの『パッション』(2004年)がアメリカでどれほどすさまじい話題になったかは以前に紹介しましたよね。この映画は「字幕映画・宗教映画としてアメリカ最大のヒットとなった『パッション』を作った、あのメル・ギブソンが精魂込めて制作に取り組む作品」ということで、ギブソン氏が『アポカリプト』の制作発表をした時期(つまり公開の1年以上前)からすでに大きな話題になっていました。

2006年7月28日にギブソン氏が飲酒運転で逮捕され、ユダヤ人差別発言をして警官をののしる、というスキャンダルがあったのですが(なかなか沈下せず、1カ月以上もジョークのネタとなってさまざまなトークショーをにぎわせていました)、ワイドショーでは、「このスキャンダルが、今年のクリスマスシーズンに公開される彼の監督映画『アポカリプト』にどう影響するでしょうか」ということがよく話題になっていました。

それがやっと収まったと思った矢先の10月中旬、今度はギブソン氏がABCテレビのインタビューで、先のユダヤ人差別発言をお酒のせいにしようとしたことでスキャンダルが再燃。芸能界では「『アポカリプト』はギブソン氏最後の作品になるか?」(ハリウッドにはユダヤ人が多いので「ギブソン氏はほされるか?」という意味)という話題で持ちきりに。

Apocalyptoさらに、公開日が近づいた段階では、歴史ドキュメンタリー専門チャンネルや、普段は社会派の話題を扱っている情報番組などで「検証! マヤ文明は本当に一度に8万人のいけにえを捧げたのか?」とか「ギブソン監督の最新作は、コルテス率いるスペイン人(キリスト教徒)が残虐なマヤ文明を滅亡させたことを正当化するものなのか?」というテーマの特番を組み、映画のPRに貢献してくれました。

ですからこの作品は公開の時点で、タイトルを知らない人はアメリカに存在しない、というくらいの知名度を築いていたのです。

ちなみに私は、映像のあまりの残虐さにスクリーンを正視できなかったシーンが山ほどあって途中でウンザリしてしまったため、この映画を十分に“鑑賞”することができなかったのですが、その点で言うと、この作品はスプラッター映画ファンに受けるんじゃないかと思います。

マヤ文明やメル・ギブソンの思想を一切無視して、血まみれのアクション映画として楽しむこともできますよ!

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