「コケた」と思わせる要因は上映時間にあり
監督・脚本・撮影:クエンティン・タランティーノ/ロバート・ロドリゲス
出演:カート・ラッセル ゾーイ・ベル ブルース・ウィリス ほか
配給:ブロードメディア・スタジオ
デス・プルーフ in グラインドハウス 9月1日(土)より全国公開
プラネット・テラー in グラインドハウス 9月22日(土)より全国公開
http://www.grindhousemovie.jp/
「グラインドハウス」とは、ポルノやバイオレンス作品などのB級映画を専門に上映する大衆映画館のこと。ですから、アメリカでは、このジャンルの映画のファンたちが、『GRINDHOUSE』というタイトルを聞いただけで色めき立っていました。このジャンルでも人気のあるカート・ラッセルが出ているショッキングな映像のトレイラーが、公開の何週間も前から映画館でもテレビでもばんばん流れていたので、ファンたちはリリース日を首を長くして待っている状態でした。しかも、全米の映画評論家の8割以上が、この作品を絶賛していたので「大ヒット間違いなし」と思えたんですよね。
ところが、オープニングの週末に2624館で大々的に公開されたにもかかわらず、興業収益が約1160万ドルとふるわなかったため、次の月曜日には、映画評論家たちの独断と偏見に満ちた「『GRINDHOUSE』がコケた理由の分析」が、一斉に芸能ニュースでフィーチャーされました。オープニング前にはこの映画を褒めていた評論家の多くが、「タランティーノの時代はもう終わったのか?」とか、「タランティーノの作風をコピーした監督たちが、ここ10年の間に続出したため、このジャンルの新鮮みが失われてしまった」と、手のひらを返したようなことを言い始めたのです。そのため、公開2週目からはこの作品には「コケた作品」というイメージが定着し、公開館数が激減して9週目になってもセールスが2500万ドルにとどまり、5300万ドルという制作費をリクープ(※)できませんでした。
でも、冷静に考えてみれば、この映画が興業面でふるわなかったのは、映画自体のおもしろさとは無関係であることが分かるはず。この作品の稼ぎが悪かった最大の要因は「上映時間が3時間11分とやたら長かった」ということ。1日に上映できる回数が、普通の長さの作品の半分にとどまってしまったからなのです。「ほかの映画の半分しか上映されないんだから、ほかの映画の半分しか稼げない」、これって当然の結果ですよねえ。
ちなみに、この作品がリリースされた週の興業ランクNo.1はウィル・ファレルのフィギュア・スケート・パロディ映画『Blades of Glory』で、3410館で上映され、約2250万ドルの収益を上げています。『Blades of Glory』が1日に8回上映され、『GRINDHOUSE』が4回上映されたとして、1館における1回あたりの上映収益を比較すると、前者が約825ドル、後者は約1100ドルなのですから、『GRINDHOUSE』の動員力は全然捨てたもんじゃないんですよね。この種の映画がお好きな方には、まさに最高のご褒美です。『デス・プルーフ』主演のカート・ラッセルは、アクションものも、シリアスな映画も、ロマンティックな役もこなせる正統派のスターですが、ジョン・カーペンター監督の『エスケープ・フロム・L.A.』『ニューヨーク1997』に主演したことで、このグラインドハウス系のファンにも人気があるんですよ。
日本では『デス・プルーフ in グラインドハウス』と『プラネット・テラー in グラインドハウス』として別々に公開されます。ぜひ映画館に足を運んで両方の作品を見てくださいね!
- 2007年8月23日
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