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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
アメリカとフランスのカルチャー・ギャップを再確認
パリ、恋人たちの2日間
パリ、恋人たちの2日間
原題:2 DAYS IN PARIS
監督・脚本:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー、アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール ほか
配給:アルバトロス・フィルム
5月24日(土)恵比寿ガーデンシネマほかロードショー
http://www.paris-2days.com/

ニューヨーク在住のフランス人フォトグラファーのマリオン(ジュリー・デルピー)と、アメリカ人インテリアデザイナーのジャック(アダム・ゴールドバーグ)は、付き合い始めて2年のカップル。2人は、ベネチアにバカンスに出かけた帰りに、マリオンの故郷であるパリに立ち寄る。そこでジャックを襲ったのは、カルチャー・ショックの嵐と、マリオンの過去の男性遍歴。フランス語ができず、疎外感を抱いていたジャックは、さらに不機嫌になるのだが——。倦怠(けんたい)期を迎えたカップルの共感を誘うラブ・コメディー。

『パリ、恋人たちの2日間』は、アメリカでは、アート系のシアターでしかリリースされなかったので、興行面ではヒットはしませんでした。しかし、インテリ好みの作品なので評論家からは絶賛されたんですよね。また、昼間に放送されている主婦向けトーク・ショーの、インテリぶりたいコメンテーターたちがこの作品をよく取り上げてくれたので、結構な話題になっていました。しかも、公開のタイミングがよかった!

この映画がリリースされたのは2007年の8月中旬です。芸能ニュースや、主婦向けの番組での映画紹介が一通り終わり、興行的に中だるみになった10月、フランスのサルコジ大統領が離婚を発表! 現役の大統領が離婚するなんて、アメリカでは絶対に考えられないことなので、サルコジ氏の離婚はアメリカのメディアで大々的に取り上げられ、朝のワイド・ショーや、昼の主婦向け番組も、こぞって「アメリカとフランスの文化の違い」をフィーチャーしていました。そんなときに、この映画に描かれている「米仏のセックスに関する考え方の違い」を引き合いに出してくれるコメンテーターもいて、この映画のPRに一役買ってくれたのです。

インターネット上には、フランス好きのアメリカ人が集うフォーラムがたくさんあるのですが、そこも映画公開時、そしてサルコジ氏離婚直後に、アメリカ人とフランス人の“セックス文化”に関する話題で盛り上がっていました。中でも、特に頻繁に話題になっていたのは、主人公のマリオンが元カレとばったり会った後に、ジャックと交わした会話です。

パリ、恋人たちの2日間浮気やセックスに対してかなり寛容なフランス人のマリオンは、「オーラルセックスなんて大したことない」と主張します。しかし、セックスの話はタブーで、浮気は非道徳的な背信行為と見なされているアメリカの価値観を持つジャックは、そんな話には納得してくれません。そのためマリオンは、「ブッシュ政権とか、イラク戦争とか、世の中で起きている(さまざまなひどい)ことと比べたら、オーラルセックスなんて取るに足りないこと」と、さらに言い訳を続けます。

これに対し、ジャックは「でも、オーラルセックスが前政権の崩壊を招いたことを思えば、そうも言えない」と反論しています。クリントン前大統領が、ルインスキー・スキャンダル()で弾劾裁判に追い込まれたとき、フランス人が「ミッテランに愛人がいたことはフランス国民全員が知っていて、彼の葬式にも正妻と共に愛人が参列した」と言って、アメリカの偽善的潔癖主義を冷笑していたことを思い出します。

アメリカとフランスはいろいろな面で対照的なので、この違いをおもしろおかしく描いたこの映画で、異文化間のコミュニケーションの大切さを再確認してくださいね! 日本では、政治がらみでこの映画が話題になることはないと思いますが、とても質のいい作品なのでぜひご覧になってください。

クリントン元米大統領と、ホワイトハウスの実習生だったモニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダル。クリントン氏は当時、関係を否定していましたが、1998年に肯定せざるを得ない状況に追い込まれ、「不適切な関係を持った」と認めました。この「不適切な関係(a relationship that was not appropriate)」は同年の流行語にまでなりました。

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