監督:ラージャ・ゴスネル
製作総指揮:スティーブ・ニコライデス
脚本:アナリサ・ラビアンコ、ジェフ・ブシェル
声の出演:ドリュー・バリモア、アンディ・ガルシア、ジョージ・ロペス ほか
出演:パイパー・ペラーボ、マノロ・カルドナ ほか
配給:ウォルト ディスニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
5月1日(金)より全国ロードショー
http://www.movies.co.jp/
『ビバリーヒルズ・チワワ』は、ラテン系の人々のサイトで賛否両論入り交じった意見が出たおかげで、「ドリュー・バリモアが声の出演をしているディズニーのかわいい犬の冒険物語」という以上に、大きな話題になりました。
この映画がアメリカで公開されたのは2009年の10月3日。大統領選のほぼ1カ月前で、国境を越えてメキシコからアメリカに入ってくる不法移民対処策が選挙の争点になっていた時期でした。
そのため、不法移民の権利を重視しようという民主党派の人々やラテン系アメリカ人たちの4割ほどが「犬も不法にメキシコからアメリカに忍び込んでくる」シーンがあると、この映画を強く批判していました。さらに、彼らはこの作品は「メキシコ人はアメリカ人家庭の庭師や使用人という失礼なステレオタイプを助長している」と、怒っていました。

その一方で、5割強の人々が好意的な評価を下していました。この映画ではメキシコの犬たちがヒーローとして描かれていますし、ラテン系の俳優たちラテン系の人々のイメージを高めるために貢献した俳優たち―が声の出演をし、メキシコの警察が闘犬を取り締まるシーンがあるからです。
なぜ闘犬を取り締まるシーンが重要なのでしょうか? アメリカでは、NFLのスター選手だったマイケル・ビックスが2007年に闘犬で有罪になったとき、「メキシコでは闘犬が違法であるにもかかわらず実際には娯楽としてまかり通っている」というリポートが何週にもわたって大々的に報道されました。そのため、この事件以来、多くのアメリカ人は「メキシコは野蛮人の後進国」というネガティブなイメージを持つようになってしまいました。メキシコの警察が闘犬を取り締まる様子が描かれているので、ラテン系の人々や移民に寛大な人々の多くが「ビックスのスキャンダルのあおりを受けて傷ついたメキシコのイメージを回復してくれた」と、歓迎したのです。
また、犬役などで声の出演をしているアンディ・ガルシア(キューバ出身)、ジョージ・ロペス(メキシコ系アメリカ人)、ポール・ロドデリゲス(メキシコ出身)は、ALMAアワーズ(American Latino Media Arts Awards=アメリカのメディア/芸能界で活躍するラテン系の人々、またラテン系の人々のイメージを高めるために貢献した人々に与えられる賞)の常連です。ですから、彼らが正義の味方の犬を演じたこの作品は、「ラテン系の人々を正義の味方として描いた寓話(ぐうわ)」として受け止められたのです。
日本では、こうした社会的な視点でこの映画が話題になることは少ないと思いますが、メキシコ育ちのオペラ界の重鎮、三大テノールの一人、プラシド・ドミンゴの声を聞けるだけでも一見の価値がある映画と言えるでしょう!
- 2009年4月22日
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