監督:サーシャ・ガヴァシ
製作:レベッカ・イェルダム
製作総指揮:サーシャ・ガヴァシ、クリス・ソース ほか
音楽監修:デイナ・サノ
出演:スティーヴ・“リップス”・クドロー、ロブ・ライナー、ラーズ・ウルリッヒ ほか
10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開
http://www.uplink.co.jp/anvil/
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』は、アメリカでは今年の春に公開され、大きな話題になりました。アート系のシアターのみでの公開だったので、興業面ではふるいませんでしたが、私がこの数年の間に見た映画の中で、一番感動した作品です。
本題に入る前に、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル黄金時代の初期、1984年に作られた『スパイナル・タップ』に関してかいつまんで説明しておきましょう。
『恋人たちの予感』や『スタンド・バイ・ミー』の監督として有名なロブ・ライナーが監督を務めたこの作品は、スパイナル・タップという架空のハード・ロック・バンドが落ちぶれた後の葛藤を“密着取材”した偽ドキュメンタリーです。
ステージ・セットとして注文したストーン・ヘンジがひざより低いサイズだったり、コンサート会場に行ってもお客さんがほとんどいなかったり、迷路のような通路で迷い楽屋からステージになかなかたどり着けない、など、ロック・バンドが実際に一度は経験するようなトラブルが面白おかしく描かれています。
特にギタリストのナイジェルが、最大ボリュームの数値が10ではなくて11となっているアンプを自慢するシーンは今でもYouTubeでヒットしていて、欧米ではDVDがいまだにカルト的な人気を誇っています。ロック・スターやロック・ファン、コメディー映画ファンはたいてい『スパイナル・タップ』の大ファンなんですよね。
アル・ゴア元副大統領やレオナルド・ディカプリオも参加した2007年のライブ・アースコンサートで、スパイナル・タップのメンバー(全員俳優)が“彼らのヒット曲”の“ビッグ・ボトム”を演奏したときは、ほぼすべての参加アーティストのベーシストが一緒にこの曲を演奏したほど、スパイナル・タップはロック界の伝説的スーパースターなのです。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』は、あらゆるロック雑誌、芸能番組、映画評論家から「笑えて泣けて感動できるスパイナル・タップの実話版!」と絶賛され、シカゴ国際映画祭やロサンゼルス映画祭など数々の映画祭でベスト・ドキュメンタリー賞を獲得したので、ロック映画ファンの間では必見映画になっていました。ロサンゼルスでのプレミア試写会で、キアヌ・リーヴスがこの映画を紹介したことも、取材側にとってはおいしいネタになりました。
キアヌは、日本では『マトリックス』や『スピード』のイメージが強いですが、アメリカでは彼がヘヴィ・メタ大好きティーンを演じたおバカ映画『ビルとテッドの大冒険』『ビルとテッドの地獄旅行』がテレビで年に一度は放送されています。ですから、キアヌのルーツはメタル少年というイメージが薄れていないので、この作品の紹介役としてぴったりなのです。
さらに、この試写会に来ていたダスティン・ホフマンが鑑賞後に、I was not a metal fan, but I am now.(僕はメタル・ファンじゃなかったけど、今はファンになった)と言ったことも話題作りに大きく貢献しました。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』は、どんな苦境に立たされても夢を追いかける二人の親友同士と、彼らを支える家族たちの実話の人間ドラマです。日本が重要な役割を果たしているので、メタル・ファンじゃない人も、ご覧になってくださいね!
まず『スパイナル・タップ』を見て、その後にこの作品を見ると、面白さと切なさが倍増して、アンヴィルをさらにもっと応援したい! という気持ちになるでしょう。
- 2009年10月22日
- Permalink
- [ドキュメンタリー]
- Trackbacks (0)
