HOME英語映画で英語
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
『Disney'sクリスマス・キャロル』から見えるアメリカのキリスト教の今
『Disney'sクリスマス・キャロル』
(C) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
『Disney'sクリスマス・キャロル』
原題:A CHRISTMAS CAROL
監督:ロバート・ゼメキス
製作:ロバート・ゼメキス、スティーブ・スターキー ほか
脚本:ロバート・ゼメキス
出演:ジム・キャリー、ゲイリー・オールドマン、ロビン・ライト・ペン、コリン・ファース ほか
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
2009年11月全国公開
http://www.disney.co.jp/

舞台は19世紀のロンドン、主人公は金貸し業を営む大金持ちのスクルージ。守銭奴で冷酷無比の頑固な老人は、クリスマス・イブにもわずかな寄付にさえ応じない。そんな彼のもとに、かつての共同経営者マーレイの霊が現れ、その行いと悲惨な行く末を諭す。そしてそれは、続いて現れる3人の霊たちがその夜、彼にもたらす驚きの始まりにすぎなかった。

日本ではほとんど報道されていないようですが、オバマ政権は実は意識的にキリスト教と距離を置いています。去年、大統領選が始まったころ、オバマ氏がインドネシアでムスリムとして育ったことが話題になったときは、オバマ氏はさかんに白人の母親とその家族がクリスチャンであったことを強調していました。しかし、予備選の中盤には、オバマ夫妻が通っていたとされる教会の牧師が白人を侮蔑(ぶべつ)する発言や、God damn America!(神よ、アメリカをのろってくれ!)などの非国民的な発言を繰り返していたことが発覚し、問題になりました。民主党にとって大切な、カトリックや敬虔(けいけん)なキリスト教徒の白人が圧倒的に多いブルーカラーの人々が激怒したからです。この直後、オバマ側の人々が「オバマ夫妻は教会にはあまり行っていなかったようだ」とマスコミにリークし、オバマ夫妻が「うちはクリスマスは祝わない」と言うなどの経緯の後、宗教関連の話題を極力避けていたようです。

そして当選後、オバマ氏は大統領就任演説でWe are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus and non-believers.(アメリカはクリスチャン、ムスリム、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、無神論者たちの国家だ)と宣言。その後も、自分がムスリムのバックグラウンドを持っていることを強調して、ムスリム人口が多いアメリカがキリスト教の国ではないと事あるごとに力説。実際、今年の復活祭には教会に行かず、1953年以降ずっと続いていたNational Prayer Breakfast(2月の第1木曜日に開かれるキリストの教えに従って社会を改善するための会議)も事実上廃止しました。
 
こうしたオバマ政権の反キリスト教的な姿勢を反映するかのごとく、今のアメリカではキリスト教はまるで悪の根源であるかのように扱われることが多く、十字架を連想させるデザインのTシャツが「非キリスト教徒に対して失礼」ということで訴訟騒ぎに発展するなど、ヒステリックなキリスト教糾弾(きゅうだん)事件が相次いでいます。

Disney'sクリスマス・キャロルそのため、オバマ政権が続く限りキリストの誕生を祝う伝統的なクリスマス映画は歓迎されず、クリスマス映画として生き残れるのはオバマ政権が目指す“富の再分配”という社会主義的イデオロギーがテーマの『クリスマス・キャロル』だけだろう、と言われ、この映画が話題になりました。『クリスマス・キャロル』は、簡単に言ってしまえば「大金持ちの老人が自らを省み、恵まれない人々に富を分けてあげる」というストーリーで、時期こそクリスマスですが、キリスト教色は薄い作品だからです。

もちろん、このような富を分かち合うという慈善の精神は宗教に関係なく共感できるものでしょうし、映画もよくできています。目の覚めるような3Dの迫力ある映像を見ているだけでも楽しめるので、この作品、皆さんもぜひご覧になってくださいね!

この記事のトラックバックURL: