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西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
欧米人女性のヒロインの真実『ジェイン・オースティン 秘められた恋』
『ジェイン・オースティン 秘められた恋』
(C) 2006 Becoming Jane Films Limited, Scion Films Premier(Third)Limited Partnership and UK Film Council All Rights Reserved
『ジェイン・オースティン 秘められた恋』
原題:BECOMING JANE
監督:ジュリアン・ジャロルド
製作:グラハム・ブロードベント、ロバート・バーンスタイン ほか
脚本:サラ・ウィリアムズ、ケビン・フッド
出演:アン・ハサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ、ジュリー・ウォルターズ ほか
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
2009年10月31日より、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
http://www.jane-austen-movie.jp/

19世紀イギリスの女流作家、ジェイン・オースティン。当時の女性の恋愛と結婚を皮肉と愛情を込めて丁寧に描き、今も多くの読者を引きつけている。自らは一生独身を貫いたものの、実は生涯一度という激しい恋を経験していた。その恋こそが、彼女の創作の原点だったのか……。

『ジェイン・オースティン 秘められた恋』は、アメリカでは2007年8月に公開され、アート系のシアターのみでの公開だったので興行面ではイマイチでしたが、女性誌や女性向けのトーク・ショウで大きな話題になりました。

ちょうどこの映画の公開の2カ月後に『ジェイン・オースティンの読書会』の公開が控えていたので、ジェイン・オースティンという切り口で両方一緒に取り上げる媒体も多く、公開の時期でも得をしました。そもそも英語圏ではジェイン・オースティンの作品のファンがとても多いのです。メグ・ライアンが扮(ふん)した『ユー・ガット・メール』のヒロイン、キャスリーンもオースティンの作品「高慢と偏見」の大ファン、という設定になっていますし、アメリカではオースティンの作品は文学少女からおばあさんに至るまで、幅広い層の女性たちから愛されているのです。

ジェイン・オースティン 秘められた恋
オースティン作品に共通しているのは、賢くて精神的に強い女性が主人公ということ。彼女たちは経済的、社会的な不遇に直面しても機知と持ち前の気丈さでなんとか生き抜こうと努力します。さらに、オースティンのヒロインたちは強い女性でありながらも決して恋愛を否定しているわけではなく、独立心と結婚願望という矛盾する感情が心の中に共存する複雑なキャラクターでもあります。

ですから、社会的にもスポーツの世界でも世界一強いと思われていても、実はヨーロッパの女性よりはるかに結婚願望が強いアメリカの女性たちがオースティンに引かれるのは当然の結果と言えますよね。人気若手女優のアン・ハサウェイをオースティン役にキャストしたことも、この映画の宣伝にとって大きなプラスになりました。

ヴァッサー・カレッジ(※)で学んだインテリのハサウェイは『プリティ・プリンセス』に主演して以来、ハリウッドのほかの若手女優たちとは一線を画した“お上品なインテリお嬢様”というイメージで見られていて、女性からの好感度が抜群に高いのです。

彼女自身は、このステレオタイプから必死に抜け出そうとしていて、『アン・ハサウェイ/裸の天使』ではトップレスになったりしているのですが、清楚(せいそ)で健全なファミリー映画のプリンセス、という第一印象を消し去るには、まだまだ時間がかかりそうです(ちなみにこの映画の原題は“Havoc”で「大騒ぎ、大混乱、大惨事」という意味でしたが、劇場公開もされず、邦題は『アン・ハサウェイ/裸の天使』となりました)。

ですから、女性誌や女性をターゲットにしたトーク・ショウが、「アン・ハサウェイは文学的な凝った文章で知られる心の強い女神、ジェーン・オースティンのイメージにぴったり!」と、このキャスティングを絶賛したのです。

ジェイン・オースティンの作品の中でも「高慢と偏見」や「分別と多感」を読んでから(あるいは映画版の『プライドと偏見』や『いつか晴れた日に』を見てから)この映画を見ると、さらに深く味わえるので、時間のある方はまずオースティン作品を味わってからご覧になってくださいね!
 
※ヴァッサー・カレッジ
1861年に創設された由緒ある女子大。アメリカで最も評判の高い女子大の1つとしてセブン・シスターズ(東部にある名門女子大学7校)の1つだった。卒業生にメリル・ストリープ、一時在籍者にジャクリーン・ケネディ・オナシスなどがいる。女1969年に共学になる。

『English Journal』12月号の「英文学者の勝手気ままな映画論」に『ジェイン・オースティン 秘められた恋』が登場!

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