HOME英語映画で英語
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


西森マリーのUSA通信:スペースアルク
 
神々の物語×イケメン兄弟=『マイティ・ソー』
マイティ・ソー
原題:THOR
監督:ケネス・ブラナー
脚本:アシュリー・エドワード・ミラー、ザック・ステンツ、ドン・ペイン
製作:ケビン・フィージ
原案:J・マイケル・ストラジンスキー、マーク・プロトセヴィッチ
出演:クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、トム・ヒドルストン、アンソニー・ホプキンス、浅野忠信ほか
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2011年7月2日(土) 丸の内ルーブルほか全国超拡大ロードショー
http://www.mighty-thor.jp/
(C)2010 Marvel (C)2010 MVLFFLLC. All Rights Reserved.

神々の王オーディンの息子であるソー。強くたくましい戦士である彼は次期王の座を期待されていたが、その傲慢(ごうまん)さから、神々の世界から地球に追放されてしまう。美しい科学者ジェーンに救われた彼は、現代のアメリカで生活することになる。そんな中、王座を狙う弟のロキが、兄を亡き者にしようと地球に追っ手を差し向け、戦いが起こる。北欧の神話に登場する雷神ソーを主人公にした、人気アメリカンコミックの映画化。

『マイティ・ソー』は、アメリカでは5月初旬に公開され、2週間後には1億5000万ドルの制作費を回収するヒットになりました。実は、この作品はシェークスピア映画で有名なケネス・ブラナーが監督を務めると決まったときは「真面目でつまらない映画になってしまうのでは?」と懸念されていました。

ところが、ふたを開けてみたら、アクション満載の娯楽映画で、その中でアンソニー・ホプキンスのシェークスピア劇っぽい名演が光っているという作りだったので、評論家の多くが「うれしいサプライズ!」と大いに褒めました。そして、この映画の話題作りに最も大きな貢献をしたのは主演のクリス・ヘムズワースと悪役のキャラクター、ロキでした。

オーストラリア出身のクリス・ヘムズワースは、ハリウッドが大好きなブロンド、ブルーアイズ(金髪碧眼)、長身(191センチ)のイケメン。2年前に『スター・トレック』でカーク艦長の父親、ジョージ・カークの若いころを演じてハリウッド・デビューを果たしたときもティーンの女の子たちの雑誌で大きく取り上げられました。

マイティ・ソー さらに、今回のソー役をめぐるオーディションで、実の弟のリアム・ヘムズワースがライバルだったことがニュースになったため、「クリスの兄ルークも弟リアムも俳優で、3人ともイケメン」という切り口でティーンの女の子向けのさまざまなメディアがヘムズワース3兄弟をこぞって特集したのです。

ちょうどその時期に俳優のアレック・ボールドウィンがニューヨーク州から下院議員選挙に出馬するかもしれない、といううわさが流れました。「イケメン兄弟」つながりでヘムズワース3兄弟をボールドウィン4兄弟*と比較するショウビズ・リポートなども特集され、「ヘムズワースはボールドウィンの21世紀バージョンだ!」と言われました(1990年代にはa Baldwinは「かわいい男の子」を意味するスラングでした)。

また、ソーの弟ロキを演じたトム・ヒドルストンが以前『俺たちフィギュアスケーター』でもご紹介した男子フィギュア選手、ジョニー・ウィアーにそっくりだったことも話題作りに役立ちました。ジョニー・ウィアーはその中性的な魅力でフィギュア選手やフィギュア・スケートファンの女の子、そしてゲイの人々の間で絶大な人気を誇っていました。さらに今年の冬には有名人がフィギュア・スケートに挑戦するプライムタイムの番組で審査員を務めたことで、主婦や中年女性の間でもファンが激増、それまでの「知る人ぞ知るニッチな人気者」から、お茶の間のアイドルになっていたのです。

そんな意外な相乗効果もあり、『マイティ・ソー』は本来のターゲット・オーディエンス(若い男性と男の子)を超えた幅広い層で、話題になったのです。

日本ではこういうアングルからこの作品が話題になることはないようですが、アンソニー・ホプキンスが「リア王」や「ハムレット」に出てきてもおかしくないような名ゼリフを語るシーンを見るだけでも一見の価値がある映画です。また、近年ブームのアメリカン・コミックの映画化作品ですので、続編や他作品との関連も興味深いでしょう。本作でハリウッドに本格進出となった浅野忠信さんのファンはもちろん、それ以外の方も、ぜひご覧になってくださいね。

*ボールドウィン4兄弟:アレック(1958年生まれ)、ダニエル(1960年生まれ)、ウィリアム(1963年生まれ)、スティーブン(1966年生まれ)・ボールドウィン。

この記事のトラックバックURL: