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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年4月15日

ビジネス英語本を書く人々

本屋さんに行くと、ビジネス英語のコーナーが増殖を続けています。自分でも書いているので大きなことは言えませんが、特にビジネスレターの本は、何らの新味もないのに、次々出ます。一番不思議なのはビジネスと無縁な人まで何らかの理由で英語が「できる」ということで、ビジネス物を出すことです。すごいところでは、法律英語のバックグラウンドがないのに、堂々と法律英語の本を出している人がいます。しかも、それが版を重ねたりするのです。わからないものです。そんな問題意識を持っていたのですが、先頃、聞けば誰でも知っている英語物出版の大手企業の方と雑談する機会があり、舞台裏を聞くことができました。

結局、出版社にしてみれば、書き手の氏素性や能力は二の次で、売れるかどうかでことが決まるというお話でした。ですから、ラインナップの充実のため、一つ英文レター物でも出すかとなった段階で、どの人の本が重版となっているか、何刷(業界の人は、何スリと言うんですね)まで行っているかといったことを見て、この人なら大丈夫だろうと声をかけるのだそうです。ということは、内容は何であれ、装丁がいい、ネーミングがかわいいといったことでたまたま売れさえすれば、その著者には次々とお座敷がかかるのです。

ところで、知っているビジネス物オンラインサイトの関係者が出版にこぎつけ、そこそこ売れているのですが、たまたま、その出版社の社長と会う機会があった折に、その本を話題にすると、「試しに出してやったら、意外に売れましてね。フォッフォッ、フォッ」と抜かすじゃありませんか。一応これでも書く方の人間の一人ですから、その尊大ぶり、いや馬鹿っぷりにガックリ来ました。

話を先ほどの編集者との雑談に戻しますと、かねがね、total shares outstanding (会社の発行済株式総数のこと)につき、堂々と自著で、「未払株式」と説明している関西の大学の先生の実名を挙げてみました。そもそもわが国の場合、株式は実際に引き受けた人が現金を払い込まない限り株式を発行できない仕組みになっていますから、アメリカやイギリスと違い、未払いの株式は存在の余地がないわけで、そういった基礎知識すらない人がビジネス英語本を出しているのはどうしたことかと思っていたからです。果たせるかな、そのご仁は避けて通っているとのことでした。また、まるで英語ができないのに(酔っぱらっては、英語にならない英語の電話をかけてくるので迷惑したため、よく知っているのです)、ビジネス物を含め、何十冊も英語の本を書いている人についても、その編集者もよくご存じで、大笑いしました。

しかし、版を重ねないと声がかからないという話を聞かされると内心穏やかでいられません。よくNHKの講師の経験があると出版や講演の依頼がすごいでしょうと言われますが、そんなことはまるでありません。生活不安をおぼえます。

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Comments

一年以上も前の記事にコメントさせていただいてよろしいでしょうか。
英文会計の本を読んでいますと"acid test"という用語に何度となく出会います。その度に「酸性テスト」などといった訳がついていたりすると、読み続ける気力を失ってしまうときがあります。
用語集をWordで作っておいて、デスクトップ検索をかければ、必要なときに必要な情報が取り出せると思って作業を始めたのですが、元になる本の信頼度が揺らいでしまっては意味のない作業になってしまうのでやめてしまいました。
上記URLの記事にも書きましたが、日経新聞の系列の出版社だから内容も大丈夫、なんて思い込んではいけませんね。NHKの系列の出版社よりはましなのかも知れませんが。

[返信]

たしかに、acid test を酸性テストとするのは意味不明という感じもありますし、日本語としても何だかしっくり来ないという印象を受けます。その一方で、Barron's Dictionary of Accounting Terms の邦訳版が acid test ratio を「酸性試験比率」と訳しているという現実があると、一部の実務家は、acid を「酸性」とすることに別段抵抗がないようでもあり、困ったなあと感じます。ただ、自分の仕事として実際に訳す機会があれば、一読了解を優先させて、acid test は要するに quick ratio だということで、迷わず「当座比率」と訳すことでしょう。

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