2005年6月 1日
なぜa drunk manとは言えないのか:形容詞のタイプによる使い方の決まり
同じ形容詞でもdrunkenはShe is drunken.という具合に述語としては使えず、drunken driving(酒酔い運転)、a drunken man(酔っ払っている男)というふうに、名詞の前に置く形でのみ使います。他面、drunkは、a drunk manという形では使えず、常にShe is drunk.というふうに述語としてのみ使えます。なぜこうなのでしょう。
普通、形容詞は、例えば形容詞richであれば、a rich girlのように名詞の前に置くことができますし、BE動詞やSEEMなどこれに準ずる動詞のあとに、つまり述語として使い、She is rich.とすることもできます。ところが同じ形容詞でも、大酒飲みのheavy drinkerをThe drinker is heavy.としたら大笑いです。大食漢のbig eaterも同じことで、eater is bigとは言えません。してみると、常に修飾する名詞の前にしか置けない形容詞の一群があることになります。そうかと思うと「彼女はいらだっているようだ」と言いたいときの形容詞upsetは、She seems upset.という具合に、名詞のあとに、述語として使うのが普通で an upset personという言い方はできません。このように、ひとくちに形容詞とは言っても、明らかに使い方が違っているグループがあるわけで、今回は、こうした違いがどこから来るのかを見ておきたいと思います。
★ 常に名詞の前に置く形容詞
大酒飲みを意味するheavy drinkerでのheavyは、名詞drinkerを直接形容してはいません。形容の対象となっているのは、その人の飲みっぷりです。大食漢を意味するbig eaterも同じで、そのeaterが大きいと言っているのではなく、その人の食べる量が多いことを言っています。このように、修飾している名詞にそのものではなく、いわばワンクッション置いて形容しているような形容詞は、non-inherent adjectiveと称され、常に修飾する名詞の前に置かねばならず、述語動詞のあとには持ってくることができません。
対照的に、「こわれやすい」という意味のbreakableという形容詞は、breakable ornaments(こわれやすい装飾品)に見られるとおり、装飾品そのもののこわれやすさを取り上げていますから、通常の形容詞と同じく、The ornaments are breakable.(この装飾品はこわれやすい)というふうに述語として使えます。
常に名詞の前に置くことを要し、従って、述語としては使えない、このnon-inherenet adjectiveの特色は、副詞的な要素を持っているということです。例えば、heavy drinkerは、one who drinks heavilyという具合に副詞heavilyを使って同じことを言えます。
他にどのようなものがあるかを見ますと、Geoffrey BroughtonのPenguin English Grammar A-Zは、以下のものを挙げています。いずれも、そこでの形容詞...is...述語にすると響きがおかしくなることを確かめてみてください。
a hard worker (よく働く人) × worker is hard
married life (結婚生活) × life is married
a perfect stranger (赤の他人)
a sure winner (必ず勝つ、上がるとわかっているもの)
a modest drinker (節度のある飲み方をする人)
a real friend (本当の友達)
the present chairman (現在の会長)
a complete idiot (どうしようもない馬鹿者)
an absolute lie (真っ赤なうそ)
a complete accident (まったくの偶然)
downright nonsense (話にならないデタラメ)
the entire family (一家全員)
a mere child (ほんの子供)
pure imagination (完全な想像の産物)
sheer agony (塗炭の苦しみ)
この他に、Michael SwanのPractical English Usageは、「生きている魚」はa live fishだけれど、「その魚はまだ生きている」と言うなら、It's still alive.だとし、またlittleにつき、「感じのいい小ぶりの家」と言いたいときは、a nice little houseだけれど、「その家はかなり小さい」と言うなら、The house is quite small.だとしています。
Broughtonも言っているように、この種のものは数自体が限られていますから、一種の熟語として名詞ともどもワンセットでおさえていくようにした方が賢明というものでしょう。
★ 常に述語動詞のあとに来る形容詞
どういうものか、alive, alone, asleep, awakeといったアルファベットのaで始まる形容詞はたいてい述語形容詞としてのみ使われます。つまり「目が覚めている赤ちゃん」と言いたい場合、an awake babyというふうに名詞の前に置くことができません。形容詞のillやwellも同じです。
Swanの前掲書は、The baby's asleep.とは言うが、an asleep babyとすることはできず、この場合は、a sleeping babyというふうに形容詞そのものを取り替える必要があるというのです。また、illとwellについては、述語形容詞として使うのが普通だとした上、次のように使い方を紹介しています。
He's very well.(彼は非常に元気だ)ただし、「元気な人」という具合に名詞の前でこの形容詞を使いたいときは、a healthy manかa fit manという言い方になる。
You look ill.(具合悪いんじゃない)ただし、この形容詞を名詞の前に入れて使いたいなら、sickを使って、Nurses look after sick people.(看護師たちは具合の悪い人々の面倒をみるものだ)になる。
このことを説明するのに、Peter MasterのSytems in English Grammarはおもしろい例を出しています。「子供たちはすっかり眠り込んでいる」と言いたい場合、The children are asleep.とするけれども、同じasleepを使って、The asleep children lay on the floor.とすることはできないと言います。その理由ですが、asleepのような述語として使われる形容詞は、そこでの名詞についての一時的状態を指すのが普通だから、ここでは使えないのだとしています。名詞の前に形容詞を持ってくるなら、その名詞の継続的状態またはそれを特徴づける性質を表す形容詞を使うべきであり、ここでは、The sleeping children lay on the floor.とすべきだというのです。
逆にonlyのように、「一人っ子である」という恒久的性質を表す形容詞は、通常、一時的状態を指す述語形容詞としては使えないから、An only child is often spoiled.(一人っ子は甘やかされることが多い)はいいとして、A child is only.という言い方はできないとしています。
★ まとめ
以上見てきましたとおり、ひとくちに形容詞と言っても、必ず修飾する名詞の前に置くことを要するものがあれば、常に述語動詞のあとに入れることを要するものがありますが、予め大きく網をかけて暗記しようとするより、必要に応じて学習者向けの英語辞典で確認していったほうが効率的です。例えば、名詞の前でしか使えない形容詞であるdrunkenにつき、Longman Dictionary of Contemporary Englishは、[only before noun]という注意書きを入れていますし、Oxford Advanced Learner's Dictionaryも同じ注意書きを入れています。また、drunkのように名詞の前ではなく、述語動詞のあとの来る形容詞については、Longmanは、[not before noun]と、Oxfordも[not usually before noun]と、注意を促しています。従って、必要のあるつど辞書を引き、この種の注意書きまでも読むように心がけていれば失敗はしないはずです。
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