2005年6月12日
Do you hungry?はなぜいけないのか: 疑問文におけるDOの役どころ
有名私大の付属校に通っているような中学生でもAre you hungry?と言うべきところを、Do you hungry?と言って教師を泣かせます。私自身も一流企業の人がWhere do you come from?と言うべきものをWhere you come from?と言っているケースを何度も経験しました。このようにDOの使い方にはみなさん悩まされるようです。
これは英語で疑問文を作るときは、「通常は主語、動詞と来る語順を入れ替えたうえ、助動詞がないときやBE動詞が使われるときは、文頭にDOを適宜変化させて入れる。但し、疑問詞で始まる疑問文において、疑問詞が主語の位置にあるときはこの限りでない」というルールを正確におぼえていないために起こります。しかし、角田太作著『世界の言語と日本語―言語類型論から見た日本語』(くろしお出版)によりますと、動詞と主語を入れ替えて疑問文を作るというやり方自体世界の言語の中でも少数派なのに、その中でもDOのような不思議な要素を登場させるのは英語だけだと言います。つまり、疑問文においてDOを入れるというやり方は例外中の例外であり、その意味で、もとからDOを正しく使うというのは大変なことなのです。
ところが一般の文法書は「一般動詞の疑問文を作るにはDOで始める」程度のルールしか示しません。またネット上いくつもある英文法指南的なサイトをのぞいても、 外国人に「どちらからいらしているんですか」と尋ねる際、Where are you from?と聞けるのに、なぜ、Where do you come from? という形で聞くときはDOが必要なのかまでは説明していません。
そこで、今回は、自分の知識の整理も兼ねて、疑問文でのDOの使い方を復習しておこうと思います。
★ 疑問文の基本
通常、英語は、何が、どうする(どうである)というパターンで相手にメッセージを伝えます。そこで、通常の語順と異なっていると、相手も、「ああ、質問が来るんだ」とわかるしかけになっています。いきなりAre you? Can you?といった具合に動詞で始まれば、「ああ、YESかNOで答える必要があるんだ」と意識し、What?で始まれば、「何かについて具体的に答えなければならないんだな」とわかります。このように、疑問文には、YES/NOという答えを前提とするタイプの質問と、YES/NO程度では不十分で、具体的な情報を期待するものがありますが、まずはYES/NOタイプを考えます。
疑問文は肯定文を出発点に、それを疑問文にするというプロセスをとりますから、常に元の形を意識しつつ考えるのが疑問文作りのポイントですが、この元となる肯定文自体、三つのパターンに分けられ、それに応じて疑問文の作りも違ってきます。
1) BE動詞が使われている場合は、BE動詞、次に主語
You are hungry.のように、am, are, is, was, wereといったBE動詞が使われているセンテンス(平叙文)については、BE動詞を主語より先に出すと疑問文の目印になるという決まりがあります。そこで、am, are, is, was, wereの部分を先頭に出して、次に主語という語順で並べ、Are you hungry?とします。
2) 助動詞が使われている場合は、助動詞、次いで主語
You have had trouble meeting your payments.(御社は支払いに苦労している)というように、(BE動詞ではなく)助動詞が使われているセンテンスについては、動詞句have had[まぎらわしいのですが、最初のhaveは助動詞で、次のhadは本動詞としてのhaveのED形です]の最初の助動詞を主語より先に出すと疑問文の目印になるという決まりになっています。そこで、haveの部分を先に出して、その次に主語のyouという語順で並べ、Have you had any trouble meeting your payments?とすると、疑問文が完成します。
3) BE動詞も助動詞も使われていない場合はDOで代用する
I like it there.(そこ[国その他の土地]が気に入っています)を疑問文にしようという場合、BE動詞や助動詞のように、先頭に出すことで疑問文であることを知らせる目印となるものがありません。そこで、代用品としてDOを使い、Do you like it there?と聞けます。このDOを使うときの約束ごとは、そこでのメッセージの時制や単数複数に合わせてDOES, DO, DIDを使い分けることと、一緒に使う動詞は原形のまま使うということですから、Do you likes it there?としないように気をつける必要があります。
このように、DOが登場するのは、BE動詞が使われていないか、あるいは助動詞がないときに限られていますから、冒頭で取り上げたDo you hungry? は元の形で使う場合、BE動詞が入っており、従って、これを疑問文にするなら、Are you hungry?とすべきなので、言い方としておかしいということになります。
★ 疑問詞で始まる疑問文でのDO
上の理屈、つまり、BE動詞または助動詞が登場しないときだけDOが代役を務めるという理屈は、疑問詞で始まる疑問文の場合も基本的には同じです。
Where are you from?の場合、You are from X.が元になっていますから、BE動詞が使われているからということでDOの出番がありません。How have you obtained this information?(この情報はどうゆやって入手したものですか?)も、元の形から言えば、You have obtained this information HOW.という格好になりますから、疑問詞のWHERE以下での作りとしては、助動詞HAVEを先頭に出して、次に主語という、普通の疑問文になります。これに対して、Where do you come from?はおもむきが違います。You come from X.が元の形であり、従って、そこではBE動詞もなければ、助動詞もないというケースですから、代用品のDOを入れて、Where do you come from?を作ります。Where you come from?ではありません。
以上の基本パターンに対して、DOを使わないという重要な例外があります。疑問詞がそのまま主語となっているケースで、この場合は、語順も通常どおりの主語(ここでは疑問詞)、次に動詞、そして目的語(もしあれば)という順に並びます。例えば、スケジュールなどを論じている場面で、「この次は何ですか?」と聞く場合は、What comes next?であり、What does come next?ではありません。
ただ、ひとことで「疑問詞がそのまま主語となっているケース」あるいは「主語について尋ねるとき」はDOを使わないと言っても、実際は、どういった場合が、「疑問詞がそのまま主語となっているケース」なのか、わかりにくいものです。この点、今まで読んだ文法書の中で一番気に入っているのは、E. WalkerとS. ElsworthのGrammar Practice for Intermediate Students (Longman)です。
最初に(a) Who saw you?と(b) Who did you see?の違いは何だろうかと問いかけます。次いで、例文 (a) を見ると、主語、動詞、目的語と並んでいる、Someone saw you.、それと、Who saw you?はWhoの所が違うだけで構図は同じでしょう?これを指して、WHOが主語である場合と言うんですよと説明してくれます。そして、コントラストを浮き彫りにするため、You saw someone?における目的語であるsomeoneについて質問をするなら、Who did you see?となりますよね、とした上で、この構図を指して、WHOが動詞の目的語となっているケース、従ってDOが必要となるケースですよと説明してくれます。
★ さいごに
上のGrammar Practice for Intermediate Studentsは、Living English Structureともども、大学時代に、しつこくやった練習帳ですが、おかげで要点は、今なお頭に残っています。考えてみると、各種英語検定に熱をあげている割に英語を普通に書いたり、話したりできない人は、通り一遍の解説を読んだら、あとは択一だの空欄補充だのでお茶を濁しているわけで、ストイックに全文を書き換えたりする文法問題をいくついくつもやるといった地道な練習を怠っているのでしょう。英語は車の運転と同じですから、いくら学科の成績がよくでも運転できるようになりません。コースに出ての実技に当たるのが文法やボキャブラリーの練習問題の反復練習ではないでしょうか。

この記事がよかったという方、一票おねがいします。人気blogランキングへ
- [その他の文法知識]
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
Trackbacks
Trackback URL:
