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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年6月 6日

仮定法(IF構文)は3パターンで十分

英文法用語の日本語はなんてむずかしいのだろうと感じさせられます。その最たるものが仮定法で、仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法の1、仮定法の2などと分類を聞かされただけでうんざりします。これは英語を教える人々の感覚がおかしいことをよく物語っています。教わる方は、英語を使いこなすというスキルを身につけたいのに、教える方は、英語の分類・研究に携わる人のためのツールを押し付けようとしているのです。しかし、仮定法などと称されるIF構文が組み込まれているセンテンスの使い方は、実は単純明快で、George YuleのExplaining English Grammar (Oxford University Press)などは、こんなふうに説明しています(What以下の節の動詞の時制がポイントですので、最初の二つが現在形、最後が過去形であることに注目してください)。

(1)現実に軸足を置きながら、単に「こうなれば、ああなる」と事実を語るときは、What happens if...? (2)同様に現実に軸足を置きながら、「こうなれば、ああなるだろう」と予想するときは、What will happen if...? そして、最後に(3)現実にではなくフィクションの世界に軸足を置きながら、「仮にこうだとしたら、ああだ」とまさに仮定するときは、What would happen if...?

以下では、前掲書をベースに、上の三つのシナリオが実現可能性で言えばどのぐらいなのかをパーセンテージで示しながら説明します(当たり前ですが、パーセンテージは飽くまで理解を助けるための目安です)。実際、このぐらい知っていれば、きょうから自信をもって交渉の場などでIF構文を効果的に使えるようになりますから、是非お試しください。

★ IF節の動詞が現在時制で、主節の動詞も現在形 → 実現可能性100%

If you accept our offer, we have a deal.(わたしどものオファーを受け入れてくだされば、取引成立です)

このように、<IF節の動詞が現在時制で、主節の動詞も現在形>というパターンは、If you press this button, the door opens.(このボタンを押すとドアが開きます)のような因果関係を語るときに使うものです。因果関係である証拠に、IFをWHENで置き換えて、When you press this button, the door opens.と言っても何ら意味は変わりません。

★ IF節の動詞が現在時制で、主節の動詞句がWILL+動詞の原形 → 実現可能性80%

If you accept our offer, we will have a deal.(わたしどものオファーを受け入れてくだされば、取引が成立します)

この<IF節の動詞が現在時制で、主節の動詞句がWILL+動詞の原形>というパターンは、条件が満たされれば、確率80%でことが実現するだろうという話し手の読みを表しています。

当然、相手も自分たちがオファーを呑むという前提条件が満たされるとほぼ確実に(確率80%で)商談がまとまると受け止めることになります。そこで、先方が条件を受け入れても、そのままではすっと商談が成立するものではないよとヘッジングをしたいのであれば、主節の方の動詞を以下のように変えます。

If you offer a 5% discount on all items, then we'd buy a larger quantity.(すべての品目にわたって5%値引きしてくださるということであれば、買い付けの数量を増やしましょう。← be208の#119です)

5%の値引きという前提条件が満たされた場合、「あるいは買い受ける数量を増やすかも知れない」という具合に、コミットメントの度合いを最初から弱いものにしておきたいなら、次のように主節の動詞にMAYをつけて使います。

If you offer a 5% discount on all items, then we may buy a larger quantity.

逆に主節での動詞句をもっと「きつめ」にすることもできます。例えば

If you continue to miss deadlines, we must look for alternatives.(今後も納期を守れないようなことが続くとなると、他の会社にお願いするという選択肢を考慮せざるを得ません)

★ IF節の動詞が過去時制で、主節の動詞句がWOULD+動詞の原形 → 実現可能性50%

If you accepted our offer, we would have a deal.(仮にわたしどものオファーを受け入れてくだされば、取引は成立することでしょう)

If節で語られている前提条件自体が現実の話でないことは、過去の話でもないのに過去形が使われていることに表れています。話し手は過去形を使って、自分にとって心理的に距離のあることがらであり、現実味がないことを表そうとしているのです。従って、「御社がこちらの条件を呑んでくれるかは半々だろうけれど」という感覚が伝わってきます。そしてこのように仮定の条件を示した上で、仮にその条件が満たされたら、取引は成立することでしょうと、一つの流れを予想している格好です。

ここでも前提条件が満たされた場合に実現するとされるシナリオにどの程度コミットするかという点は、should, might, couldなど主節の助動詞を通じて調整することができ、If you accepted our offer, we might have a deal.とすれば、コミットメントの度合いが下がります。相手がこちらの条件を受け入れてくれるかどうか自体、確率としては半々なのですから、さらに、この条件が満たされた場合の結果につき限定をつけるとあっては、実現可能性も一段と遠のく感じになります。実現可能性としては30%といったところでしょう。

★ まとめ

以上見てきましたとおり、英語をツールとして使う立場から言えば、実現可能性が100%と言いたいなら、IF節を現在形にして主節も現在形、実現可能性が80%なら、IF節を現在形にして主節の動詞をWILL+動詞という格好に、そして、実現可能性が50%ならIF節を過去形にした上、主節の動詞をWOULD+動詞という形にするということです。これで十分仕事に使えます。

なお、実現可能性が0%と言えるケースもあります。それが過去の事実に反する仮定を打ち出す仮定法過去完了というタイプの仮定法です。しかし、If you had agreed to our offer, we would have had a deal.(こちらのオファーを受けていてくれたら、取引は成立していたはずなのに)といった過去完了を使うパターンは実際上、仕事で使う英語の世界では滅多に出てこないので、あまり気にする必要はありません。

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