2005年7月 5日
Explain me why...は間違った言い方です
I know that...とは言えるのに、I want that...とは言えないことからわかるとおり、動詞ごとに使い方のパターンが決まっています。今回はそういったパターンの中でも、見過ごされがちな、Please explain me why... とは言えず、Please explain to me why... としなければならないといった問題を取りあげます。
そもそも英語は常にWho + Whatという形で、「何かが、どうである/どうする」を伝えるものですが、文法的に言えば、主語である名詞につき、述語である動詞が語るという形式をとります。したがって、英語で使われる単語を分類した場合も、およそ1/4を名詞が占め、1/5を動詞が占めています。名詞と並ぶ主役クラスの品詞です。
このように英語を話したり、書いたりする上で、1/5のウェイトを持つ動詞につき学校で何を教えてくれるかと言うと、現在か過去か、完了しているのか進行中なのかという時制の話と能動態・受動態の話にとどまります。したがって大人になって英語を使うようになっても、これ以外のことにあまり目が行きません。
ところが、普通に英語を使うに当たっては、動詞ごとに使い方のパターンが決まっていることに目を向ける必要があります。そうだというのに、学校で正式に教えられることもないためか、たいていの人は、類推でことを済ませ、間違えていることにすら気づかずじまいです。
★ 類推による誤用の1:suggestなど
類推というのは、例えば、I want you to come.と言えるから、suggestを使う場合も、I suggest you to come.と言えるはずだと考えることです。しかし、× I suggest you to come.という言い方は動詞suggestの使い方として認められておらず、
I suggest you come.
とすべきものなのです(イギリス英語だとshouldを使った、I suggest you should come.が好まれます)。
それでは、どうやって正しい用法上のパターンを確認できるのでしょうか。答えは学習者向けの英英辞典にあります。ほとんどの人は学習者向けの英英辞典を言葉の意味を確かめるためだけに使っているようですが、こんなにもったいないことはありません。英英辞典は動詞の活用パターンを確認するためのツールとしてこそ、その本領を発揮してくれるものです。
手元の英英辞典で、suggestを引いてみてください。Longman Dictionary of Contemporary Englishはわざわざ文法解説のボックスまで設けて、suggest sb to do sthというパターンが使えないことを示しています。
Oxford Advanced Learner's Dictionaryは、[v (that)] [v -ing] [vn that] といった記号を通じて、パターンを示しています。「外に食事に行ったらどうかと言った」という例なら、
I suggested that we go out to eat.
かthatを省略しての、
I suggested we go out to eat.
だというのが [v (that)] の意味です。また、I suggested going out to eat.が [v -ing] という指示の意味です。[vn that] は、凡例によると動詞+名詞句+that節 ということですから、
It has been suggested that we should go out to eat.
のようにして使えという意味になります。
このように記号が表しているパターンさえ守れば失敗しないで済むというのに、辞書を使っている人で、こうした辞書特有の記号の意味まで理解して活用しているひとは少数派です。もったいないことです。いや、もったいないどころか、仕事で英語を使うのに、この用法上のパターンを示す記号の意味を知らないようでは進歩を望めませんから、是非、この機会にながめ直し、慣れるようにすることをお勧めします。
★ 類推による誤用の2:explainなど
同じような類推による失敗の例としては、explainがあります。これも Can you tell me the meaning? と言えるのだから、× Can you explain me the meaning. あるいは、× Let me explain you the difference. と言ってもおかしくないはずだと考えてしまいがちです。しかし、動詞 explain をこのように使ってはいけないとされているのです。
例えば、Oxford Advanced Learner's Dictionaryは explain の項にわざわざ解説欄を設けて、× Can you explain me the situation? は駄目で、間接目的語である me を使わない、
Can you explain the situation to me.
とすべきだとしています。ここでのポイントは me, you, us, him, her などを使うときは必ず前置詞 TO とセットで使えということです。
ここで直接目的語と間接目的語と間接目的語のおさらいをしておきますと、
Please tell us your e-mail address.(メルアドを教えてください)
のように、動詞の作用が直接及ぶ相手である直接目的語(tell されるのは何かと直接目的語を考えると、ここでは your e-mail address)と、その結果を受け止めるヒト・モノである間接目的語(ここでの us)が一緒に出てくる場合は、動詞に続いて、まずは間接目的語、そのあとに直接目的語と並べるのがルールです。確認しておきますと、こうなっています。
Please tell us [←間接目的語]your e-mail address [←直接目的語].
ところが動詞 explainとその仲間の場合、間接目的語を使うに当たり前置詞 TO とセットで使うことを要求する例外的な動詞であることから、通常の場合の間接目的語とは二つの点で扱いが違ってきます。第一に、上記語順の例外として、
Please explain the situation to us.(状況を私たちに説明してください)
というふうに、まずは直接目的語(the situation) 、そのあとに間接目的語 (us) と並べます。
[注記] 但し、直接目的語の部分がひどく長い場合は、重苦しい要素はセンテンスのうしろの方に回すべしという end weight のルールが働いて、例外的に間接目的語を先に出してから直接目的語という順に並べることもあります。例えば、「当初の計画の変更を検討中であることをお伝えするのを忘れていました」というセンテンスだとして、こうなります。
I forgot to mention to you that we are considering changing our initial plan.
つまり
I forgot to mention to you [←間接目的語] that we are considering changing our initial plan [←that以下の「重い」直接目的語].
もし、このセンテンスでの直接目的語が I forgot to mention the changes to you.ぐらいであれば、まず直接目的語、次に(TO付きの)間接目的語、と並べるのに、上の例では、あまりに「重い」ので例外的にあとまわしにされるのです。
また例外的な動詞であるがゆえに、第二に、間接目的語を主語の位置に持ってきて受動態を作ることが認められません。普通は、I gave my old computer to her.での間接目的語であるherを主語にして、She was given my old computer.という受動態を作れます。ところが、explain等の例外的な動詞の場合は、それが認められず、したがって、They explained the situation to me.を受動態にして、× I was explained the situation.とすることができないのです。
こういった注意すべき動詞として、Michael SwanのPractical English Usage (Oxford University Press)は、explain 以外に suggest と describeし か挙げていませんが、以下のとおり、結構あるので、注意する必要があります。(仕事上、目にする機会のあるものにしぼってあり、これに尽きるわけではありませんから、こまめに辞典を引いて確かめた方が安全です)
必ず前置詞 TO とセットで使う動詞のリスト
√ He admitted that he had made a mistake to his supervisor. (彼は間違いをおかしたことを上司に認めた)NOT He admitted his supervisorthat...
√ Please affix your signatureto this document. (この書類に署名をしてください)NOT Please affix this documentyour...
√ We need to allot sufficient funds to this project. (このプロジェクトに十分な資金を振り向ける必要がある)NOT We need to allow this projectsufficient funds.
√ Our chief engineer is eager to apply his theory to the problem.(うちのチーフエンジニアは自分の理論をこの問題に応用してみたくてうずうずしている)
√ The board appointed her to the position of Chief Operating Officer.(取締役会は彼女を最高執行責任者に任命した)
√ Has management appropriated sufficient money to the research project?(経営陣はこの調査プロジェクトに十分な資金を配分しているだろうか)
√ Headquarter assigned a new office to our team.(本社はうちのチームに新しいオフィスを用意してくれた)
√ Management attributed slow sales to bad weather.(経営陣は売れ行きの低調を悪天候のせいだだとした)
√ The bookkeeper confessed his misdeeds to management.(帳簿係が経営陣に対して不正を自白した)
√ We contribute money to the same charity each year.(うちは毎年同じ慈善団体に寄付している)
√ Let me demonstrate how this works to you.(これがどう動くのかを実演してお見せしましょう)
√ Could you please describe your plans to us?(ご計画を私どものために説明してくださいませんか)
√ We need to devote more of our time to research.(リサーチにより多くの時間を費やすべきだ)
√ Volunteers from the charity distributed free food to the poor.(慈善団体からのボランティアたちが無料で食料を貧しい人々に配った)
√ When you are traveling in an aircraft, you entrust your safety to the pilot.(飛行機で旅行する場合は、自分の安全をパイロットに委ねていることになる)
√ The foreman explained the new procedures to the staff.(現場主任は新たな手順をスタッフに説明した)
√ I would like to introduce you to my boss.(上司にあなたをご紹介したいと思います)
√ It is company policy to lease a car to each director.(各取締役に車を貸与するのは会社の方針だ)
√ I forgot to mention to you that we are considering changing our initial plan.(当初の計画の変更を検討中であることをお伝えするのを忘れていました)
√ Can you picture to yourself how terrible that day must have been?(その日がどれほどひどかったか想像がつきますか)
√ I’ll point her out to you at the station.(どの人が彼女であるかを駅で教えてあげます)
√ The broker recommended a sure winner to his client.(ブローカーは必ずもうかる銘柄を自分の客に勧めた)
√ I am not qualified to advise you on legal matters, let me refer you to my attorney.(私は法律問題につき助言をするような資格を持っていないので、私の弁護士をご紹介しましょう)
√ I had to repeat the question to the professor.(自分の質問をもう一度、教授に対して繰り返さねばならなかった)
√ She reported the irregularities to Compliance.(彼女はコンプライアンス=法令遵守部門に対して、不正を報告した)
√ The police restored a stolen file to the company after they caught the thief.(警察は窃盗犯を捕らえたのち、盗まれたファイルを会社に返した。
√ The bribed employee revealed some trade secrets to a rival company.(わいろを受け取った従業員はライバル企業に対して、企業秘密をもらした)
√ My boss suddenly turned to speak to me.(上司が急に振り向いて話しかけてきた)
√ Sir, I have something to say to you.(ちょっとよろしいですか、お話があります)
√ First of all, we need to submit the proposal to the Board for their approval.(まずは承認を得るために、この提案を取締役会の場に出す必要がある)
√ I am going to suggest some product ideas to management.(経営陣に対して、製品のアイディアをいくつか出すつもりだ)
√ The founder president reluctantly yielded control of his company to a Chinese conglomerate. (創業者社長は結局、自分の会社の経営権を外資系企業グループに譲った)
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