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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年7月12日

Par value(額面)とは何ぞや

きょうは、株式や債券について、その1単位がいくらなのかを示す額面 par valueの話です。(なお、このpar valueは他に、nominal valueあるいはface valueとも言います。)

英語が使えてよかったといつも思うのは、日本語の資料だとさっぱり要領を得ないのに、それが英語だとあっさりとわかりやすく説明されているケースが多いことです。選択の幅が広がるからだという側面もありますが、日本語での専門用語の説明はなぜか、サムライ言葉(漢語)がやたら多く、おおげさなのに、英語だとごく普通の言葉で説明されているので、わかりやすいのだと感じています。

例えば、株式の場合の額面がそのいい例です。わが国の場合、平成13年の商法改正で廃止されてしまいましたが、もともとアメリカと日本とでは制度が違いますから、廃止前の日本での額面の説明を読んだところで、アメリカでの額面の意味合いはわかりません。一方、英語としてのpar valueの意味を説明したものを日本語でいくつか読みましたが、これもさっぱりわかりません。

ところが、今、法律英語の授業で学生に折々聴いてもらっている会社法の講義テープ(Gilbert Law SummariesのCorporations)だと、あっさりと、(1)Par valueというのは、minimum issuance price(最低発行価格)であり、額面3ドルで1万株発行したというなら、会社は3万ドルを発行の対価として受け取らねばならない、(2)無額面株 (no par value stock)というのは、こうした最低発行価格=最低受取額というものが最初からない、(3)会社が流通市場から再取得した自社株つまり金庫株 (treasury stock)を改めて売り出す際は、たとえそれが元は額面株式として発行されたものでも、制約はなく、最低限いくらは受け取らねばならないといったこともない、と、こうざっと説明してくれます。

続けて、par valueが3ドルの株式を発行したのに、実際に払い込まれた対価が2ドルにとどまったとなれば、差額の1ドルはwater(水増し分)と称され、関係者の責任の問題となり、会社は、差額の支払を求めることになるが、これがwatered stockの問題と踏み込んでいきます。

ちなみにこの講義を吹き込んでいる女性教授、会社の設立の手順を説明するような際、「いいですか、みなさん、ここでのポイントは、people、paper 、そしてactですからね。まずpeopleとは … 」といった感じで、会社の設立企画者 (=people) が基本定款などの書類 (=paper) を作成し、それを州政府に届け出る (=act) というプロセスをうまく説明していき、最後に、プレゼンの定石どおり、「わかりましたね。people, paper, actですからね。お忘れなく」と再度要約してくれます。

このように実に手際よくプレゼンを進めてくれるのはいいとして、笑えるのが、話し振りがべらんめえ調であることです。西海岸のカルチャーなのか(この先生は、ロサンゼルスにあるロースクールの人です)、Now, you may be wondering what the heck is par value.(さて、みなさん、額面ってーのは一体全体なんだってんだ、と思ってらっしゃるでしょうね)という具合に、what the heck (=what the hell) を含め、上品な東部の方々が聴いたらのけぞりそうなシャベリの連続で、楽しめます。

★ 額面の実際

アメリカの会社の株券を見ますと、それが額面株式である場合は、券面の右横あたりに PAR VALUE $0.25 と書いてあります。このように、通常は、25セントから1ドルの間です。

注意を要するのは、こういった株式の額面は上で説明したとおり、発行に際しての払込額の最低限を画するものであり、発行後における取引価格つまり株価とは無関係だということです。(これに対して債券の場合は、額面イコールその債券の価値であり、償還金額つまり満期に戻ってくる金額ですから大違いです。)

他方、優先株 (preferred stock)との関係では、発行後も額面は意味を持っています。優先株というのは、普通株なら業績低迷となれば配当金など期待できないのに、そういった場合でも、一定の配当金が保障される株式です。ただ、このようにリスクを負わないのだから、経営に口は出さないでくれということで、株主総会での議決に参加する権利(議決権 = voting rights)はないのが普通です。そして、この種の優先株については、額面の何パーセントという形で配当金の額が算出されるので、その限りにおいて、額面は意味を持っています。

もう一つ、額面が意味を持つ場面があります。発行後、会社の決定で、株主から強制的に買い上げることができる償還株式 (callable stock)の場合です。償還が決まり、会社が株主から買い受ける価格は普通、額面金額かそれをやや上回るレベルに設定されるからです。

このように株式の場合は、par valueはあまり大きな意味合いはありませんが、債券の場合は、par value/nominal valueは大きな意味合いがありますので、次回、説明します。

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