2005年8月16日
英語版の「馬から落馬」など
落ち葉が落ちる、水を節水する、はるかに凌駕、約10パーセントほど、のたぐいには我慢がなりません。以前にも書きましたが、TVでよく耳にする「注目が集まる」も嫌いですが、「今の現状」はもっと嫌いで、「今の現状」がどうのと言っているのを聞くつど、「現在の状況を現状と言うのだから、『今の現状』じゃ『今の現在の状況』になるじゃないか、馬鹿目が」と血圧があがります。
こうした感覚から「第3日目」のごときもユルセン!と思っています。みなさんは違和感をおぼえませんか?
実はある語学書のデザイン案を見せてもらったところ、7日だか8日だか、ともかく何日かで主立ったフレーズをカバーするという構成を読者に知らせるため、各章の扉と各ページに「第X日目」と入っていたのです。そこで、関係者に、これは馬から落馬式のダブリがあるから「第3日か、3日目のどちらかでしょう」と言ったのですが、「あんた何を訳のわからんことを言っているの」みたいな感じで、こちらの言わんとしていることが伝わりませんでした。
そこで日本語の専門家が友人にいるので、その方に「第4日目」といった言い方はおかしくないのかとご意見を求めたところ、以下の回答が返ってきました。
> 標記の件ですが、おっしゃる通り”第4日目”は大変座りが
> 悪い言葉です。
>
> これは”第”と”…目”が類似語だからです。それで一緒には
> 使えないのだと思います。
>
> これを…回目に置き換えて見ると、すごくよくわかります。
>
> 第1回 高校野球大会
> 1回目の 高校野球大会
>
> でも、第1回目 高校野球大会 絶対に使えません。
>
> ”回”は、はっきりとして順番をあらわす数量詞なので、誰でも
> その違いに気がつくのでしょうが、 ”日”はそれだけでは順序を
> あらわす言葉にはなりにくいので、その間違いに気がつかないの
> だと思います。
>
> 例えば、一週目の日曜日、 第一日曜日 はOKですが
> 第一番目 日曜日なんて誰も言いませんよね。
>
> その編集者の方にはこう説明したらどうでしょうか。
>
> 第… の”第”は明らかに”物の順序をあらわす上につける語 ”
> …目 の”目”は接尾語として”物の順序をあらわす時に添える語”
>
> 同じ機能を持っている語を同時に使うと相殺してしまって、その意味が
> 伝わらないし、誤用だと言ってみたら、納得してくれると思います。
この高校野球のくだりがいいですよね。私自身、ちゃんとした専門家とヘボ専門家を見分ける基準は具体例を入れてわかりやすく説明するスキルを身につけているかということなので、一層好感をおぼえました。
すっきりしました。持つべきものは友。そして同じ持つならより他より秀でている人がいいに決まっています。
★ 英語版の馬から落馬
英語の世界にも馬から落馬式のものはあり、特にライティングで問題にされます。ビジネスライティングの場合は、少しでも短くというのが命題なので、こういったダブリがあると単語が増えてしまうからです。
(a) 日本語と同じで、是非とも避けるべきは、以下のように意味のない単語を付け加えることです。
is much smaller in size. → is much smaller
is round in shape. → is round
a pleasant sounding voice → a pleasant voice
about 12 or 13 → about 12 OR about 13 OR 12 or 13
evident to the eye → evident
The basic fundamentals of →The fundamentals of
a new and original product → a new product
The training program is helpful. → The training is helpful.
The renewal effort is → The renewal is
Customer service activities are → Customer service is
in the year 2004 → in 2004
7 a.m. in the morning → seven in the morning OR 7 a.m.
I personally don't agree → I don't agree
(b) 弁護士などが好む、ダブリが入っている成句などの表現もビジネスでは普通、簡単な方を使います。
each and every → each
one and only → only
null and void → void
こういったもっともらしい英語が並ぶ書類はよく見ると、結構馬鹿げたダブリがあるものです。
Refer back to Figure 11. → Refer to Figure 11.
The end result is... → The result is...
(c) くどいということで言えば、以下のとおり、1単語で言えるのに重々しい感じを出すために吸う単語から成る前置詞句を使うケースをよく目にします。
in order to → to
with respect to → about
for the purpose of → to
in the neighborhood of → about
due to the fact that → because of
at the present time → now
in the amount of → for
prior to → before
subsequent to → after
ただ、こういったものも使いようで、逆にわざと重々しい感じを出したいときは、必要不可欠のツールですから、状況に合わせてどちらでも使えるようにしておくべきだと思います。
(d) 同じように重々しい感じを出すために、すっきり1単語の動詞で言えるものを動詞+名詞の格好で使っているケースをよく見ますが、これはライティングでは通常、やるなと教わります。
しかし、これも前項と同じで、場合によっては、くどい言い方の方が座りがいい文書というものはありますから、やはり両方使えるようにしておいた方が得策です。
give assistance to → assist
make a decision → decide
have a discussion → discuss
come to a conclusion → conclude
undertake studies → study
achieve improvements → improve

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