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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年10月31日

略語はどう読みあげるのか:EBITDA, GAAP, FIFO, LIFOの世界

略語がややこしいのは、OECD(Organization for Economic Cooperation and Development = 経済協力開発機構)のようにアルファベットを一字ずつ読み上げるタイプのものと、OPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries = 石油輸出国機構)のように、OH-peck と、何か単語かのように読むタイプのものがあることです。しかも、大至急を意味するASAPのように、A-S-A-Pと一字ずつ言う人もいれば、ay-sapと単語のように使う人もいるという具合に必ずしも統一されていないケースもあり、学習者を泣かせます。

こういった不統一で一番驚いたのは、今、法律英語の授業で使っている契約法の講義を録音したテープです。アメリカの統一商事法典を意味するU.C.C. (=Uniform Commercial Code)を指して、何と、この大先生は "uck"と言っているではないですか。しかも、according to "uck" 2025...という具合に、何度も、間違いなく「アック」と言っているのです。しかし、これはきわめて異例です。これまで私自身、日本人やアメリカ人の弁護士がuckと言っているのを聞いたことがありません。心配になって、複数の専門家に当たりましたが、いずれも、そんな言い方は聞いたことがないという答えでした。

何であれ略語は、基本的には読みあげるときの言い方は決まっているものです。ところが、残念なことに、こればかりは辞書に書いてあるわけではなく、暗黙の了解の世界なので、問題意識を持って耳をそばだてているほかありません。しかも、ここで手を抜くと非常に格好の悪いことになります。せっかくむずかしい話を英語でこなしているのに、基本的な術語の読み方を知らず、馬鹿正直にアルファベットを読み上げるような言い方をしたりすれば、credibilityにも響くというものです。

日本語で言えば、この手の語句を読み間違えるのは、 相対取引をソウタイトリヒキと思い込んでいたり、下落をカラクと言うのと同じようなものです。結構、ショッキングです。

そこで、きょうは、以下のとおり、ビジネスの世界でよく見聞きする略語の読み方をざっと拾ってみましたが、会計用語が多い感じです。

AAA → triple A
これはおなじみでしょう。格付け会社が企業の信用力を評価するために使っているレーティングで一番上のランクを指しています。

COLA = cost of living adjustment → 発音は、KO-luh
物価スライド制の給与体系において所定の給与に上乗せされる、消費者物価指数の上昇分に見合う額を指します。

EBITDA = earnings before interest, tax, depreciation and amortization → EE-bit-da
支払利息、法人税額、減価償却費および無形資産の償却費を控除する前の最終利益のことで、要するに営業利益 operating profitのことです。借入金の多い企業であれば支払利息が相対的に多く、装置産業に属する企業だと有形資産の減価償却費がたくさんかかり、また無形資産の多い企業であれば、おのずと償却費がかかりますが、そういったものが引かれる前の水準での利益を見ることで、こういった特殊要因のない企業との比較が容易になる点に、この数字のありがたみがあるとされています。

ERISA = Employee Retirement Income Security Act → 発音は、ee-RI-sa
1974年従業員退職所得保障法。退職年金等に関する乱脈経理を防ぐために、制度としての要件やら管理者の責任などを定めた法律です。

ESOP = employee stock ownership plan → 発音は、ee-so'p
従業員持株制度。退職に向けての積み立て勘定と受け取る向きもありますが、落とし穴は自社株のみでの運用であり、会社そのものが破綻してしまうとどうしようもなくなることです。

GAAP = generally accepted accounting principles → 発音は、Gap。 (あのアパレルメーカーのGapと同じです)
「一般に認められた会計原則」とか「一般に公正妥当と認められた会計原則」と訳されていますが、企業会計を処理する上での基準を指します。契約書などにも、互いに報告する計算書類はこのGAAPによるべしといった定めが置かれるぐらいで、きわめて重要な単語です。

FASB = Financial Accounting Standards Board → 発音は、FAZ-bee (Zの音を聞き逃し、fasubeeと言っている日本人がけっこういます)
財務会計基準審議会のことです。民間の団体ながら上記のGAAPを初めとする企業会計処理のための原則や細則を審議し、制定している機関です。連邦証券取引委員会 (SEC)は理屈の上では、この団体のルールを覆すこともできますが、そんな話は聞いたことがありません。

FIFO = first-in, first-out → 発音は、FAI-foh
先入先出法(さきいれさきだしほう)と訳されています。企業がもうかったか否かは、ひとまず売上から売上原価 (cost of sales)を引いて求める粗利 (gross profit)で決まりますが、ここでの売上原価が何かと言えば、小売業であれば、仕入単価 (unit purchase price)の固まりです。ところが、通常、同種のものを仕入れていても、年度の初めの値段と年度末のものが一緒とは限りません。そこで、このように、仕入単価の異なるモノを扱っているような場合、「仕入れたモノのうち、どれが売れたか」を決めるため、いくつかの簡便な方式が使われています。その一つが、このFIFOです。

FIFOでは、実際に、どの商品がいつ売れたかは無視して、先に仕入れた商品が先に売れたと仮定して売上原価をはじき出します。この結果、売れ残り品の評価額である棚卸資産 (inventory)の額は、あとから仕入れた商品の額の合計となります。となると物価上昇が続いているようなときは、売上原価は昔の安く仕入れることができた当時の価格をもとにしていますから、利益の額が過大表示されることにもなります。

LIBOR = London Interbank Offered Rate → 発音は、LAI-bor
ロンドン銀行間出し手金利とかロンドン銀行間取引金利と訳されていますが、国際金融の世界における短期資金の指標金利です。短期融資を借り入れたいとなると、このぐらいは払うのが相場だよということです。実際には、貸す相手の信用力に合わせて加減され、LIBORプラス0.25%でお貸ししましょうといった形で使われます。

LIFO = last-in, last-out → 発音は、LAI-foh
後入後出法と呼ばれています。FIFOとは逆に、あとから仕入れたものから順次さばけたと仮定して売上原価を求めます。その一方、期末在庫の評価額は当然、以前に仕入れた商品の単価の合計となりますから、物価上昇時に、この方式を使っていると、売上原価が以前よりも高い仕入れ価格のもので占められる関係で高めの数字となり、その分、利益が、したがって課税所得が圧縮されることにもなります。その反面、バランスシート(貸借対照表)に計上される棚卸資産の額が、以前の安かった当時の仕入れ品で占められることから、適正表示とは言いがたいとして問題視されることにもなります。

REIT = real estate investment trust → 発音は、reet(「日本版REIT」という言い方をするときは、ree-itと発音されていますが、これは日本でのよみかたです)
不動産投資信託のことで、小口の資金を集めて不動産に投資し、そのリターンを出資者に分配するしくみです。

とりあえず思いつくものを拾ったつもりですが、もっと大事なのがあるかも知れません。見落としているものがあったら教えてください。

追記:略語と言えば、書くときに要注意なのがMBA。プロフィールなどで、XYZ大学においてMBAを取得という趣旨のことを書く場合は、普通、Earned a Master of Business Administration from XYZ University.とするわけですが、省略してMBAとしたときに、Earned a MBA from XYZ University.と書く人の多さには驚かされます。省略形のMBAの最初の音は母音ですから、必ずan MBAとしなければなりません。高いお金を払ってMBAを取ってきても、こんな所にスキがあるようでは、クレディビリティーに響くというものでしょう。



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Comments

今日は。初めてコメントを書いてます。英語学校でアシスタントをしている私にとっては先生のブログの内容は少し難しいのですが、いつも背伸びして勉強させて頂いてます。お忙しい中毎日中身の濃い情報をありがとうございます。これからも陰ながらですがよろしくお願いします。

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コメントありがとうございます。たいしたことを書いているわけではないので、内容が少し難しく感じられるのは私の力不足のせいです。よりわかりやすくするよう努めますので、どうぞ今後とも気軽にアクセスしてください。

日向清人

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