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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年10月16日

She's a?the? secretary to誰々---名詞secretaryの前に不定冠詞または定冠詞を入れるべきではないのか?

前回、社内で「あの人は誰々の秘書です」と言う場合は、She's secretary of Daredare.と言うよりは、She's secretary to Daredare.というふうに前置詞toを使うほうが普通だという話をしましたが、この文をご覧になって、なぜ、She's a secretary...というふうに不定冠詞を使わないのだろうか、あるいは、定冠詞を入れて、She's the secretary...と言うのではないかと思われた方もいらっしゃるでしょうから、ちょっと補足しておきます。

さて、名詞secretaryはone secretary, two secretaries, many secretariesと数えられる名詞ですから、単独で使うときは、必ず不定冠詞を使わなければなりません。

She's secretary.は誤用で、She's a secretary.と言わなければならないということです。同様に、彼女はフリーのライターだ、あるいは、彼女は税理士だと言うときも、She's freelance writer. やShe's tax accountant.は駄目で、She's a freelance writer.あるいはShe's a tax accountant.とする必要があります。

ところが、同じsecretaryでも、前回見たような「誰々の」といった補充的説明を伴っているときは事情が変わります。ただのsecretaryではなく、誰々のsecretaryということで絞り込まれ、特にそのポストに就いている者が他にいないといったunique roleを示す域に達すると、冠詞ナシで使われます。例えば、A Comprehensive Grammar of the English Languageでは、次の例を挙げています。(文中、(the)となっているのは、入れようと思えば入れられるという意味です。)

Maureen is (the) captain of the team.(モーリーンがチームの主将だ)

John F. Kennedy was (the) President of the United States.(ジョン・F・ケネディは1961年当時のアメリカ大統領だった)


いずれもcaptainあるいはPresidentに補充的説明がついており、そこでのcaptainまたはPresidentは他にいないunique roleであることが示されており、こういった場合は、冠詞ナシになるというのです。

最高財務責任者 (CFO = Chief Financial Officer) を任命しなければならないという段階では、We need to appoint a CFO.という、不定冠詞入りの言い方をするのに、「取締役会がジョン・ドー氏を最高財務責任者に任命した」と言える段階では、The Board appointed John Doe CFO.となり、役職名を表すCFOの前に冠詞が入らないのも同じ理由です。何しろchiefが何人もいたら話にならないわけで、chief financial officerと言えば、就くのは一人に決まっていますから、これもunique roleだということです。

実際上もsecretary to/of...という形で、つまり補足説明付きでsecretaryを使うときは、普通、冠詞は付けません。このことは、例によってGoogleで確認できます。信頼度を高めるために検索対象をイギリスのサイトに絞るべくsite:ukと入れた上で、"She is secretary to" や"She is secretary of" のパターンで検索すると、両方合わせて1500件近くヒットするのに、冠詞を入れて、She is a secretary to/ofあるいはShe is the secretary to/ofのパターンで検索した場合は、いずれも100件に達しません。

というわけで、会社の中で、「彼女は誰々の秘書だ」と言いたい場合は、冠詞なしでのShe's secretary to...が一番フツーだということになります。しかも会社の中での秘書以外の場面でも、例えば、団体の事務長的な役職を指すsecretaryや外交官の職階の一つである書記官(一般に序列は、大使、公使、参事官、一等書記官、二等書記官、三等書記官です)を指すsecretaryについても同じことが言えます。

例えば、「彼は1980年から1982年にかけて在オーストラリア日本大使館の一等書記官でした」と言いたいのであれば、From 1980 to 1982, he was First Secretary at the Japanese Embassy in Canberra.となります。(気になるかたは、site:eduかsite:ukと組み合わせながら、"was * secretary at the * embassy"と"was the * secretary at the * embassy"で検索してみてください。楽しめます。なお * は、「任意の単語」という意味の記号です)


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Comments

日向先生、こんばんは。

以前、参考書か辞書で、この場合、secretaryに冠詞が付かないのは、「秘書が一人だけで、文の補語になっている」からという説明を読んだことがあります。「secretaryが一人だけで、補語の場合は無冠詞」というように暗記していましたが、先生が説明されているのを読んで、とてもよく理解できました。

初めまして。
先生のブログがあることを、最近になって知りました。過去の記事も拝見し、NHKの件についても、そうだったのか・・・と知りました。
でも先生、私はNHKのビジネス英会話のシリーズの中で、先生のシリーズが一番好きでしたよ。一番、実務に役立ちますから。
先生の本「基礎から分かる会社で使う英語」も購入しました。実際の場面を強く意識された本で、とても実務に役立ちます。願わくば、キーセンテンスだけでなく、全例分のCDが付いていたらもっと良かったのですが・・・。
HPにこれだけ沢山のコンテンツを惜しみもなく掲載して下さっているので、じっくり勉強させて頂きたいと思います。これからも続けて下さいね。

〔返信〕

応援メッセージ、ありがとうございます。放送であれ本であれ、ものがわかってらっしゃる方には通じるのだと意を強くしました。

もちろん、種切れになるか、飽きられて来訪者が減るまで、みなさんのために続けるつもりです。

CDのコンテンツの件はごもっともですが、何しろ、CD制作費がかかるとかで印税が安いのを我慢してくれとまで言われています。是非、桐原書店にこういった声を届けてやってください。

日向清人

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