2006年1月23日
(続)Dangling modifierという古典的文法ミスについて
前回、ING形やED形の分詞句で始めておきながら、そういった分詞句が修飾する相手が主節にないとおかしなことになり、dangling participleと称されること、また、こういった間違いは、以下のとおり動名詞(動詞のING形で、主語として、または、動詞や前置詞の目的語として使われるもの)やTO不定詞で始まるフレーズの場合にも起こりうることを説明しました。
動名詞句で始めながら、それが修飾する相手が主節にない誤用例 → In redesigning our production systems, the budget was breached.
TO不定詞句で始めながら、それが修飾する相手が主節にない誤用例 → To succeed in any business, customer retention is as important as customer acquisition.
今回は、こういった動名詞句やTO不定詞句のケースを見てから、例外的に分詞句が修飾する先がなく、単体で「やっていける」ケースを取りあげ、この dangling modifierの世界の説明を終えます。
★ 動名詞句で始めながら、それが修飾する相手が主節にない誤用例
誤用例 → In redesigning our production systems, the budget was breached.
この誤用例で問題なのは、redesignとある以上、redesignの主体が登場しなければならないのに、主節の主語が budgetであり、redesign の主体となりえないことです。この結果、行き場を失った動名詞句が dangle しています。これを直すには、次のとおり、redesign の主体を補充してやることです。
正しい例 → In redesigning our production systems, we overshot the budget.(生産システムを設計し直すに当たり、予算を超過してしまった)
同じようなケースですが、こういう誤用例もありえます。(アナリストレポートからの実例です)
誤用例 → In analyzing the factors that may have caused a decline in sales, one particular factor stands out plainly.
正しい例 → In analyzing the factors that may have caused a decline in sales, we can see that one particular factor stands out plainly.(売上減少の要因と考えられるものを分析すると、ある特定の要因がすぐさま目に飛び込んでくる)
★ TO不定詞句で始めながら、それが修飾する相手が主節にない誤用例
誤用例 → To succeed in any business, customer retention is as important as customer acquisition.
これも、succeed を軸に、「どんな事業であろうと成功するためには」とありますから、誰の話だと期待しながら読んで行くと、主節の主語が succeedの主体とはなりえない、customer retention(獲得した顧客をつなぎとめること)という言葉であり、To succeed以下のフレーズが修飾する相手が見当たりません。そこで、succeedの主体となりうる youを補って、以下のように書き換えることを要します。
To succeed in any business, you need to focus on both customer retention and customer acquisition.(どんな事業であろうと成功するためには、顧客離れの阻止と顧客獲得の両方を重視する必要がある)
もう一つ、例を挙げておきます。
誤用例 → To conclude this paper, cost transparency needs to be enhanced.
正しい例 → To conclude this paper, I would like to reiterate the importance of enhancing cost transparency. (この報告書の結論として、コスト構造の透明性を高めるための努力が重要であることを改めて強調しておきたい)
★ 例外的に分詞句の修飾する相手がないのに、問題がない場合
形式上は、以上で見てきた分詞句やTO不定詞句で始まっているケースなのに、慣用の結果、最初から特定の行為者など予定しておらず、センテンス全体にかかる副詞のように使われているフレーズは、たとい主節の中にそれを受けている語句がなくても、問題はないとされています。主なものとして、次のものがあります。
Generally speaking, corporations pay less tax than individuals.(一般論だが、企業は個人より税金を少なく払っている)
To summarize, much confusion has arisen over our smoking policy.(要するに、社内禁煙の方針をめぐって相当な混乱が生じている)
この他、Patricia T. O'Connerの Woe is I (Riverhead Books) は、以下のまくら言葉と言うか、introductory phrasesは、決まり文句として定着しているがゆえに、例外的にそのフレーズの修飾する相手が主節の中になくても、問題とされないとしています。
Strictly speaking... (厳密に言えば)
Barring unforeseen circumstances... (予想もしなかったような展開となれば別ですが)
Considering the alternative... (代案を考えてみますと)
Assuming the worst... (最悪の事態になったとして)
Given the conditions... (この状況に照らし)
To tell the truth... (本当のところを言いますと)
To be perfectly frank... (率直に申しあげますと)
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Comments
先生、再びお願いします。この例は
The budget was breached in redesigning our production systems.
Cost transparency needs to be enhanced to conclude this paper.
のように文中で使われる場合は問題ないのでしょうか?
先生のこのブログを読んでから、気にかかってしょうがありません。
不定詞または動名詞句の主体と主節の主語が異なるとき、明解に解説した物はございますか?
宜しくご教示ください。
今日もこの点で引っ掛かり悩んでおります。
[返信]
まず、有名なThe Elements of Styleのルール11は、
A participial phrase at the beginning of a sentence must refer to the grammatical subject.
と言っているぐらいだですから、問題は文頭の分詞句です。
もともと分詞句の主語が明示されていなければ、主節の主語と一緒なのが普通だからこういう問題が起きます。
他面、Geoffrey Broughton の Penguin English Grammar A-Z for Advanced Students は、The unattached participle is, however, acceptable in comment clauses, sentence adverbials and absolute clauses. と言っています。
加えて言えば、The budget was breached in redesigning our production systems.は、The budget was breached when we redesigned our production systems. と縮小されている前置詞句をもとの主語を復元しながらセンテンスにできますし、Cost transparency needs to be enhanced to conclude this paper.も、同様に、Cost transparency needs to be enhanced so that we may conclude this paper. と「復元」できるので、通常、分詞句の主語と主節の主語は一致するのが例であることから誘発される、dangling だとか unattached といった問題が生じないと解されます。
- Endo
- 2007年12月 4日 11:52

すばやい対応でびっくりしました。
そして良くわかりました。
これで心安らかに仕事することが出来ます。
有難うございました。