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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2006年1月 7日

Near 何々と Close to 何々の使いわけ

上級レベルの学習者が一番苦労するのが「似た者どうし」の使い分けではないでしょうか。本来、「代わる代わる」「交替で」という意味の alternately が、今では、「これに代えて」「他の選択肢として」という意味の alternativelyと同じように使われています。この結果、「代わりに、こうもできますね」という趣旨で、Alternately, we can...と言っている人がいくらでもいます。しかし、今回取りあげる、nearとcloseはさすがに違いがはっきりしているので、どっちでもいいケースは少なく、要注意です。

★ Nearとclose が似ているところ、違っているところ

両方とも時間的に、または、空間的に「近い」ことを表している点で似ていますが、違っているのはその「近さ」の加減です。Harry ShawのDictionary of Problem Words and Expressions (Washington Square Press) によると、より近いのが close で、近いことは近いけれど、close ほどではないのが near です。なるほど、同じ translation でも、close translation なら原文に忠実な翻訳という意味ですが、near translation という言い方だと、おおざっぱな(場合によっては、いい加減な)翻訳のことを言います。

しかし、同じ人が、We live near the station.と言ったかと思えば、We live close to the station.と言ったりしますから、程度ものだと思います。また、「期日が近づいたところで詳しい資料をお届けします」と言ったりしますが、これは、Further details will be sent to you nearer the event.と言えますし、Further details will be sent to you closer to the event.とも言えます。強いて言えば、closer to the eventを使う方が多いと言えるものの、趣味の問題です。

しかし、いずれを取るにしても、nearを使うときは、前置詞ナシ、close(r)を使うときは前置詞 to とセットという点は忘れないようにする必要があります。

その一方で、close だけが使われるケース、あるいは near だけが使われるケースというものもあります。こういったものは、いずれも定型句で、状況に応じて勝手に入れ替えるわけには行きません。

例えば、危機一髪で難を逃れたような場合、Wow, that was a close call! と言います。余裕があったからと言って、That was a near call. と言ったりはしません。また、至近距離から撃たれたことを言いたいときは、at close range であって、near range ではありません。さらに、 AがBに非常によく似ていると言いたい場合、A bears a close resemblance to B. と言いますが、これも near で close を置き換えて言うのは普通ではありません。

このように close しか使えないものとしては、他に、親友を表す close friend があります。この場合は、near friend とはまず言いません。ここで near friendと言ってしまうと、「友達のようなもの」「友達もどき」のように聞こえてしまいます。この点、Collins COBUILD English Usageは、close relativeとは言うが、near relativeはあまり一般的ではないとしていますが、こういった「もどき」的響きがあるからだろうと解されます。

以上の close が「?にすごく近い」という感じであるのに、near は「ほぼ?と同じ」という感じで使われます。例えば、前記のEnglish Usageは、 a state of near chaos(めちゃくちゃと言っていいぐらいの状態)、a near fatal accident(命を落としてもおかしくないぐらいの事故)、a near impossible dilemma(解決不能のディレンマと言っていいようなもの)といった例を挙げています。

ふと思ったのですが、登録商標などとの関係で問題とされる類似性が論じられるときに出てくるのは、near resemblance というフレーズであり、こういった場合は、close resemblance うんぬんといったことは言いません。これなどは close resemblance でない限り不問というのでは、商標の保護に欠けるので、「すごく」似ていなくても、似ていると言える程度に似てさえいれば排除しなければということなのでしょう。

★ Nearに関する間違い

まず一番よく見聞きする間違いは、日本語の「?から近い」という言い方にひきずられての Our offices are near from the station. という言い方でしょう。この場合に near に前置詞を付けて使うなら from ではなく、to を使いますから、Our offices are near to the station. となります(私の感覚では、このようにnear to といった言い方をするのはアメリカ人よりはイギリス人です)。ただ、一般的には、前置詞ナシで、Our offices are near the station.とする人の方が多いと思います。これに対してややこしいことに、closeを使うなら、必ず前置詞の to とセットで使う必要があり、Our offices are close to the station.となります。まとめると、こういうことです。

× Our offices are near from the station.
△ Our offices are near to the station.
○ Our offices are near the station.

× Our offices are close the station.
○ Our offices are close to the station..

次に「近くのレストラン」というふうに「近くの」に、この near を当てることはできません。ですから、「近くのレストランでランチをとった」と言いたい場合は、We had lunch at a near restaurant. では駄目で、We had lunch at a nearby restaurant. となります。

この他、最上級の nearest の扱いにつき、Nigel TurtonのABC of Common Grammatical Errors (Macmillan)は、nearest を単体で使う分には、How far is the nearest petrol station? というふうに、名詞の前につけて普通に使えるけれど、この nearest がTO不定詞でその内容が補充されているときは、We'll stop at the nearest petrol station to the motorway. と言うと間違いで、正しくは、We'll stop at the petrol station nearest to the motorway.  という具合に、nearest を名詞のうしろに持ってこなければならないとしています。同じ理屈で、例えば、I sat in the nearest chair to the door. も駄目だとされます。




dogezas

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Comments

ふだん英語を使って仕事をしているのですが、この点については以前から疑問に思っていたものの、適当に済ませてしまっていました。今回初めて体系的に理解することができました。ありがとうございました!

[返信]

お役に立てたようで、うれしく思います。どうぞこれからもよろしくお願いします。

とても参考になります!読むだけで自然に語感の強化につながります。日頃「どう使い分けるんだろう」と思っている疑問点に一つの答えを与えてくださっていて、大変助かります。

[返信]

鈴木さんのような方にそう言っていただけると励みになります。ありがとうございます。次は、adequate と sufficientの違いでも取りあげようかとぼんやり思っていましたので、近々、アップします。御期待ください。

英語学習中の者です。よく参考にさせてもらっています!ありがとうございます!

[返信]

コメントありがとうございます。お役に立てる記事を書けるよう、頑張ります。どうぞよろしくお願いします。

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