2006年3月 6日
SUCH AS の前にカンマを打つ人、打たない人
「例えば」ということで such as で始まるフレーズなどを入れる際、みなさんは、カンマを必ず打っていますか?それとも、一切打たない流儀でしょうか? 仮にそうだとして、根拠を説明できますか? 私自身は、such as の前にカンマを入れるか否かについては、明確なルールがあると教わってきました。以前、「余計なカンマは打っていませんか」という記事でも取りあげたとおり、私の理解では、こういった場合にカンマを打つか否かのルールはこうなっています。
ルールの1: 限定する場合、つまり、それがどういうものであるかを示すために不可欠な情報を含んでいるなら、カンマを打ってはならない。
ルールの2: 例示の場合、つまり、それがどういうものかを補足するだけであり、したがって削除できる情報ならカンマを打つ。
ただ、私の流儀は保守的と言えそうで、実は、これ以外に二種類のスタイルがあります。まとめて言えば、(1) ともかく such as の前にカンマを入れる流儀、 (2) such as の前に一切カンマを入れない流儀、そして、(3) 私の流儀である、場合分けして、カンマを打つ、という三つの流派があるのです。
★ ともかく such as の前にカンマを入れる流儀
Joanne FeiermanのAction Grammar (Fireside Book) がいい例で、Use commas before "such as" and "including." という項目を設けて、
He is interested in several companies, such as IBM, General Foods, and International Paper.(彼は何社かに関心を持っている。例えば IBM, ジェネラルフーズ、そしてインターナショルナルペーパーといったあたりだ)という例を挙げています。
しかし、この流儀で行くと、
Issues such as these are not really management's concern.(この種の問題は、実際のところ、経営陣が対処すべきようなものではない)といったケースで困ります。ともかくカンマを入れるとなると、Issues, such as these, are not really management's concern. と書くことになりますが、このようなカンマが入っている場合、それは読み手に対して、「この部分は補足情報なのでカット可能です」と合図しているわけですから、本来は、Issues are not really management's concern. と読みなさいということになり、意味をなしません。
結局、あらゆる場合にカンマを such as の前に入れよとするのは行き過ぎで、せめて、例示的列挙の場合に限って、カンマを入れよとすべきものだと思います。
★ ともかく such as の前のカンマを省く流儀
おもしろいことに、学習者向け英英辞典の代表格である Oxford Advanced Learner's Dictionary がこの流儀を貫いており、例示の場合、限定の場合、いずれであってもカンマなしで通しています。例えば、such as の項を見ると、第1の語義は、for exampleで、その例文は、
Wild flowers such as orchids and primroses are becoming rare.(ランやサクラソウといった野生の草花は段々珍しいものとなりつつある)です。そして、第2のの語義は、of a kind that; like であり、その例文は、
Opportunities such as this did not come every day.(こういった機会は滅多にあるものではない)です。
私に言わせると、最初の例示のために用いられている such as の用法は微妙です。Wild flowers are becoming rare. と一概に言える場所、時代なら、どういう wild flowers かを限定する情報は必要なくなり、Wild flowers, such as orchids and primroses, are becoming rare. で通ってしまうこともありうるからです。
★ 場合分けする流儀
私のよりどころとなっている流派で、くりかえしますと、こういうルールです。
ルールの1: 限定する場合、つまり、それがどういうものであるかを示すために不可欠な情報を含んでいるなら、カンマを打ってはならない。
ルールの2: 例示の場合、つまり、それがどういうものかを補足するだけであり、したがって削除できる情報ならカンマを打つ。
例えば、grammarcheck というサイトでは、限定なのでカンマを打たない例と例示であるが故にカンマを打つ例として次の二つを挙げています。
Vegetables such as cucumbers and carrots taste better uncooked.(キュウリやニンジンといった野菜は、調理しない方が味がいい)ここでの説明によると、 Placing a comma before "such as" (and then after "carrots") would indicate incorrectly that the adjective clause could be removed without changing the meaning of the sentence. ということです。Vegetables, such as cucumbers and carrots, taste better uncooked. という具合にカンマを打ったりすると、読み手に、「この形容詞句を削除してもセンテンスの意味が変わることはありませんよ」という間違った合図を送る結果になるということです。のみならず、そのように削除すると、今度は、Vegetables taste better uncooked. という、(ばりばりの菜食主義者なら別でしょうが、一般的感覚からすると)妙なセンテンスになってしまいます。
Cooked vegetables, such as tomatoes and carrots, lose some of their taste compared to their raw consumption.(調理した野菜ーー例えば、トマトやニンジンーーは、生のままで食べるときと比べ、若干味が落ちてしまう)
一方、辞典のなかで芸の細かいところを見せているのが、NTC's American English Learner's Dictionary です。ここでは、 Oxford の辞典と同様、丁寧に、例示で使う場合と、限定で使う場合とを分けた上で、以下のとおり、for example という意味での such as の例文ではカンマ入りのものを出し、of a particular kind, of the sort that is という意味での such as の例文の方では、カンマなしの例文を出しているのです。
Bill enjoys many kinds of fruit, such as apples, pears, and plums.(ビルは様々な果物が好きだ。リンゴ、ナシ、プラムという具合だ)
Where can I get a haircut such as yours.(あなたのようなヘアスタイル、どこでやってもらえるのでしょうか)
★ お勧めは場合分けする流儀
この記事で取りあげている such as に続く部分は、形容詞用法のフレーズが主ですが、「限定ならカンマなし、例示ならカンマあり」という例は、冒頭で取りあげた because で導かれる副詞節などの場合、おおいに問題になるわけで、私としては、such as の場合のみならず、副詞節や関係節の場合をも処理できる通則を身につけられるという意味で、こうした場合分けしてカンマを打つ流儀をお勧めします。
ちょっとおまけで、副詞節の場合の限定用法(カンマを打たないケース)と非限定用法(カンマを打つケース)を見ておきましょう。
非限定用法であり、カンマを入る例
I'll submit the proposal, although I'm sure management will reject it.(この提案は出すつもりだ。ただ、経営陣が却下するのは目に見えている)
↑
ここでの although以下の副詞節は、「提案を出すぞ」という決心を左右する性質のものではなく、ただの補足情報であり、削除しても全体に影響しません。つまり非限定用法の副詞節です。したがって、カンマを入れて、削除可能であることを合図します。
限定用法であり、カンマを入れない例
I'll submit the proposal if I'm sure management will accept it.(経営陣が採択してくれるとの心証が得られるなら、この提案を出すつもりだ)
↑
ここでの if 以下の副詞節は、その条件が満たされない限り、本体部分で語られている行為に移らないというのですから、本体部分である「提案を出す」という行為が実現するか否かを左右する新情報です。削除したら意味をなさなくなってしまうような情報であり、したがって、この副詞節は限定用法のものであり、カンマを打つことができません。
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初めてコメントさせていただきます。(よく拝読させていただいているのですが。)
私自身も日向さんと同じように使い分けていた(つもり)のですが、本日急に疑問に思い調べまくっていたところです!
(つもり)と書いたのは、限定・非限定の部分でかなり曖昧にやり過ごしていることに、今回の投稿を読んで気づいたからです。そのため、日向さんと同じように使い分けているつもりが、結局一番やってはいけない「行き当たりばったり」になっていた…と反省しています。
例えば、(極端な例ですが)"Vegetables such as cucumbers and carrots taste better uncooked." のような英文を見た際、深く考えずに、野菜といったものを説明する感じで、「(キュウリやニンジンなどが含まれる)野菜というものは、調理しない方が味がいい」と読み取り、この情報は非制限なので、自分ならカンマあり、といったような判断をしていた気がします。
今回、いろいろな例文を転載していただいたおかげで、「やっていたつもりでできていなかった」ことに気づき、(いつものことですが)もっと文章を意識しよう!と思いました。
[返信]
お役に立てたようで何よりです。普通の人向けの英文法書でこの種のものを正面から取り上げているところを見ると、やはりネイティブにとっても大きな盲点ということなのでしょうね。