2006年4月23日
可算なのにaを付けず、不可算なのにaを付けてしまう失敗(英語の落とし穴の8)
可算名詞については原則的に不定冠詞 a を付け、不可算名詞については原則的に冠詞ナシで使うというルールが頭に入っていないと、こんな失敗をするものです。
例えば、ともだちが食事どきに何にしようか?と言って来たので、「じゃあ、ハンバーグにしよう」と言うとして、
* I'm going to have hamburger. [文頭の * は誤用例であるという合図です]
可算名詞なのに不定冠詞を付け損なったがゆえの誤用です。
また、「外で食事できるレストラン=屋外レストランで昼食を取りました」と言いたいとして、
* We had a lunch at an open-air restaurant.
というふうに "a lunch" と言うのも間違いです。名詞 lunch は不可算ですから、冠詞を付けないで使うのが原則です。
結局、こうした間違いをなぜ犯すかと言えば、使おうとしている名詞が可算か不可算で場合分けし、可算なら不定冠詞を付け、不可算なら冠詞ナシという基本的ルールをおろそかにしているためです。そこで、今回は、このあたりのルールをおさらいしておきます。
なお、より詳しく知りたい方はこのブログのカテゴリー中、「名詞/冠詞」の中の記事をご覧ください。また、この、冠詞の世界の「見取り図」で枠組みをつかんでおくと、以下の説明が頭にはいりやすいと思います。
★ 冠詞の使い方のルール
冠詞を使い分けるためには、何と言っても、英語の場合、数えることのできる可算名詞と数えられない不可算名詞とがあるということを常に意識しておく必要があります。一般に、(1)情報 information といった抽象的概念のように、「ここからここまで」というものがなく(抽象的に情報と称されるもののすべてを念頭に置いて話をしようとする以上、あの情報、この情報という話ではありませんから、情報それ自体に輪郭を観念できないという意味です)、また、(2)部分と全体というふうに分解できないものは不可算です。一方、ハンバーガーのように、(1)「ここからここまでハンバーガー」「ここから先は違うもの」という捉え方ができ、したがって輪郭がはっきりしており、また、(2)部分と全体という関係があるため、中の野菜だけではもはやハンバーグとは言えないといった関係が見られるものは可算名詞です。
ややこしいことに agreement や risk のように、可算用法と不可算用法の二つがありうる名詞もあります。しかし、不可算名詞の dinner を例に言えば、dinner のように本来は不可算のものも、gorgeous といった形容がつくと具体的なものとなり、いわば輪郭が出てくると可算扱いされるようになると考えるようにすると、区別がつくようになるのではないでしょうか。抽象的なうちは不可算だけれど、具体性が出て来ると可算になるというのが私の理解です。
ですから、agreement という名詞も、The parties to the contract are in agreement over the need for redefining the terms.(契約の当事者は条件の見直しが必要であるという点では合意している)では、抽象的であり、不可算ですが(だからこそ前置詞の目的語になりうるのだという見方もできます)、They reached an agreement.(彼らは合意に達した)では、同じ agreement でも、具体性が増しており(したがって、その内容を書き出せということになれば、それができます)、可算用法の名詞と扱われます。
いずれにしろ、可算・不可算の別を意識できるようになったら、次のステップはその名詞Xのすべてに当てはまる抽象的な話か否かが最初の分かれ道です。可算名詞ハンバーガーの歴史を抽象的に取り上げるという場合であれば、冠詞なしの複数形で、hamburgersとし、他面、どれということはないものの、ともかくハンバーガーという分類に属するものの代表例というのであれば、不定冠詞をつけてa hamburgerです。
対照的に、不可算名詞の代表格であるinformationの場合は、抽象的に取り上げるときも、具体的に代表例を念頭において言うときも冠詞なしです。
★ 可算名詞には原則として不定冠詞 a を付ける
可算名詞Xを取り上げる場合は、(1)冠詞ナシの複数形にしてX一般の話をするのでない限り、また(2)定冠詞theを付ける理由のない限りは、不定冠詞aを付けるのが原則だということです。どのXとは言わないけれど、ともかくXと称されるものを「とあるX」という感じで初めて持ち出す場合は、不定冠詞を付けるということです。
つまり、どれとは言わないけれど、ともかくシャツを1枚買ったと言いたい場合は
I bought a shirt.
です。この場合、何枚か買ったということを言いたいなら、
I bought some shirts.
です。その意味でSOMEは不定冠詞Aの複数形と言うこともできます。
なお可算用法の名詞を初めて話題として出すときは不定冠詞を付けますが、それを改めて取り上げるときは、「特定のモノ・コトを指しており、言われた相手もそうとわかっている」という定冠を付けるための条件を満たすので、theを付けて使います。上記の例で言えば、ハンバーガーを食べ終わったところで、相手に「そのハンバーガー、どうだった」と尋ねる際は、
How was the hamburger?
となり、
* How was a hamburger?
とは言いません。
★ 不可算名詞は原則として冠詞ナシで使う
不可算名詞の場合は、原則的に冠詞ナシで使いますから、「屋外レストランで昼食を取りました」と言う場合は、
We had lunch at an open-air restaurant.
であって、
* We had a lunch at an open-air restaurant. とは言えません。
(ちょっと脱線しますが、外で食事することを指す、やや気取った言い方に al frescoがあります。イタリー語の in the fresh air から来ているわけで、XXレストランの屋外席で食事をしたと言うなら、We had lunch al fresco at the XX restaurant. になり、青空の下で食事をするのが大好きと言うなら、I love dining al fresco.といった言い方になります)
このように、朝食 breakfastや夕食 dinnerと同様、昼食の lunch は典型的な不可算名詞ですから、定冠詞をつける理由のない限り、冠詞ナシで通すのが原則です。ただ、
We had a huge lunch.(わたしたちは大盛りのランチを食べました)
のように、形容詞や形容句が付いて絞りがかかると、あたかも可算名詞かのように不定冠詞を付けて使うようになります。絞りがかかって具体性が増し、他との違い、つまり、「個性」が出てくると可算名詞としての性質が強まってくるからだと解されます。
ところで、食材などがそうですが、不可算と可算の両方の形で使われるものがあります。こういったものは、抽象的にその名詞が表している事物Xのすべてを取り上げているなら不可算、そうではなく具体的なXを念頭において話をしているなら可算、とおぼえておくと便利です。ですから、「きのう、鶏肉というカテゴリーに属するものを食べた」という感覚で、「きのうは鶏肉だった」と言いたいなら、つまり、あの鳥一羽、この鳥一羽という世界ではなく、鶏肉と称される食材を抽象的に(したがって、一羽、二羽という世界を離れて)取りあげて言いたいなら、こうなります。
(a) We had chicken last night.
対照的に、具体的な鳥一羽を念頭に置きながら、「先週、鶏を丸焼きにした」と言いたいなら、
(b) We roasted a chicken last week.
になります。
こういう約束事があるため、うっかり、I had a chicken last night. と言うと、聞いた人は、「まるまる一羽か、すごいなと」思ってしまうことになります。
「ここからここまで」と切り分けることができない抽象的なものは不可算で、取り分けることができ、従って、その結果として、全部と一部という関係が成り立ちうるものが可算なのだと枠組みに即した考えた場合、同じ鶏肉でも、(a) の方は抽象的な食材としての鶏肉なので、「ここからここまで」というものを観念できず、したがって、不可算であることを実感できるかと思います。対する (b) は、具体的な鶏一羽ですから、当然、その一羽とそうでないものを区別できますし、もも肉と首肉、軟骨、手羽などの部分に対する全体という関係も成り立っています。
[またまた脱線しますが、焼き鳥用語をちょっと…ハツ は grilled chicken heart、キモは grilled chicken liver、砂ぎもは grilled chicken gizzard。普通使わない単語なので gizzard って何?と聞かれたら part of the stomach of a chickenで通じます。 ひざ軟骨は、grilled leg-bone cartilage で、これも Cartilage? と聞かれたら soft bone surrounding the joints と説明すればわかります。手羽は grilled chicken wings。それともも肉は、grilled chicken-leg chunks が無難です。 単に chicken leg だと、もも肉がまるごと一本出されるイメージですから。]
なお不可算名詞である以上、冠詞のみならず以下のように限定詞も付けることができません。輪郭というか個体差がないものに、個別に数えられることを前提にしている限定詞をつけるのは矛盾だからです。
* another information
* both information
* each information
* either information
* every information
* few information
* many information
* neither information
* several information
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- [英語の落とし穴(ビギナー向け)]
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アメリカで開業している焼鳥レストランのサイトを見るというのは、eye-openerでした。よい助言をありがとうございます。値段まで教えていただいたら、先生お薦めのブックレットを買わないわけにはいきません。購入します!
- meggy
- 2006年4月28日 11:07
焼き鳥用語ありがとうございます。役に立ちます。通常、鶏肉のどの部分にあたるかを考えずに食べているので、説明に困ったことがありました。
お寿司を食べる時の魚の名前と焼き鳥の串名は、私にとって鬼門です。
[返信]
そのあたりの苦心、よくわかります。でも、今は、ネットで外国人が書いた寿司や焼き鳥の「講評」などを読めますし、アメリカで開業している焼鳥レストランのページもありますから便利なものです。何であれ、その分野の英語本のように学名に近いものを挙げても無駄ですし、せっかくの食事がまずくなりますから、おいしそうだなと思えるような表現をいろいろと集めておくのがいいのではないでしょうか。そうそう、Eating Cheap in Japan というブックレットはおもしろいですよ。980円です。
- meggy
- 2006年4月27日 11:20

可算、不可算について
非常に勉強になりました。
すごくレベルの高いブログですね。
私の場合、学校英語のやり直しです。
[返信]
コメントありがとうございます。また気軽にお立ち寄りください。