2006年4月27日
NOとNOTの使いわけ(ビギナー向け)
時おり、NOとNOTはどう使いわけるのですかと尋ねられるのですが、考えてみると、文法書などでも、あまりまとまった形では取りあげていないので、ちょっとまとめておこうと思い立ちました。
英語で、「そうではない」といったネガティブな意味合いを伝えたい場合、パターンとしては、四つあります。第一に、
The business has no prospect of becoming profitable.(その事業は採算が取れる見込みがない)
のように、NOを名詞の頭につけるパターンがあります。この場合は、一緒に使う動詞の方は肯定形であるのがポイントです。第二に、
The business doesn't have any prospect of becoming profitable.(意味は上の文例と同じです)
というふうに、動詞の部分にNOTを入れて否定するパターンがあります。ここでのポイントは、BE動詞その他の助動詞がないときはDOが登場するということです。第三に、
The business has little prospect of becoming profitable.(その事業は採算が取れる見込みがほとんどない)
のように、副詞を使う方法です。第4に、unprofitable(採算が取れない)のような、最初から否定的な意味あいのある単語を使って、
The business will continue to be unprofitable.(その事業は引き続き不採算のままという状態を続けるだろう)
と打ち出すパターンです。
ここでは、一番使いでがあり、したがってビギナーとしては、是非とも心得ておく必要のある第一の NO を使うパターンと、第二の NOT を使うパターンに話をしぼって説明します。
★ NOの使い方
NO の使い方でともかく頭に入れておくべきは、基本的には名詞とのセットで使うものであり、動詞とは組み合わせないという点です。これがわかっていないと、「エレベーターが動いていない」と伝えたい場合に、こんな言い方をしてしまうものです。
* The elevator no working.[*は誤用であることを表します]
正しくは、The elevator is not working. です。あるいは「自分は酒を飲まない」と言っているつもりで、
* I no drink.
と、通じはするものの、かなり情けない言い方になってしまいます。正しくは、I don't drink.です。
なお NO は形容詞や副詞と組み合わせて使うこともありますが、あとで見るとおり、飽くまで比較級の形容詞や副詞と一緒に使えるという話であって、何でもない形容詞とは使えません。したがって、「オフィスがしまっていた」と言いたい場合、
* The office was no open.
とは言えません。これを言うなら、The office was not open. です。
ところで本題に戻って、NOの基本的な役どころは二つです。一つは、
She has no work skills.(彼女は仕事で使えるような技能を身につけていない)
での NO のように、どういう名詞なのかというニュアンスを伝える限定詞としての NO です。もう一つは、
She is no older than I am.(彼女の歳は私と変わらない)
での NO のように、比較級の形容詞の前に付いたり、あるいは、
Our productivity is no worse than the industry's average. (うちの生産性は業界平均と比べて劣ってはいない)
でのNOのように、比較級の副詞の前に付いたりして、副詞のような働きをする NO です。
A. 名詞が表すものを打ち消す NO
NOは、第一に、"not any" という意味の限定詞として使われます。つまりどういう名詞かを説明する小道具です。これが名詞の頭に付くと、その名詞が表しているものが否定されます。例えば、「彼女は仕事で使えるような技能を身につけていな」と言いたいなら、
⇒ She has no work skills.
となります。名詞を直接否定するときは、原則として NOT の出番はないので、
⇒ * She has not work skills.[*の記号は誤用例だという意味です]
とは言いません。
日本語ですと、「彼女は仕事をするような能力がない」というふうに言いますが、英語での She has no work skills. は、「彼女は、有している、ゼロの仕事上の能力」みたいな格好になるので、最初のうちはなじめないかも知れません。しかし、要は、NOが付くと、そこでの名詞が打ち消されるということをおさえておけば十分です。
このように、NO は名詞の頭にくっつく限定詞ですから、名詞の頭に any, enough, much, many など同種の限定詞が既に入っていると、使えなくなります。例えば、「彼女は入社以来、一件も売上がない」と言いたい場合に any sales を使うなら、
⇒ * She has made no any sales since she has joined the company.
ではなく、
⇒ She hasn't made any sales since she has joined the company.
というふうに、NO に代えて NOT を使うことが求められます。(なお、has not は通常、hasn't と省略します)
念のため、any, enough, much, manyが出て来るときは、NOではなく、NOTを使うという点を確認するため、例を挙げておきましょう。
⇒ We don't have any funds to spare.(余っているということで他に回せるようなカネがない)
⇒ We don't have enough funds to run an ad campaign.(広告キャンペーンをやるようなカネがない)
⇒ Not much funds are available.(使える資金はそれほどない)
⇒ We don't have many other options.(選択肢と言っても、そうはない)
ところで NOが名詞の頭にくっつく限定詞だということは、名詞以外の形容詞のようなものを修飾することはできないということでもあります。したがって、形容詞を使って、「彼女は信用できない」といったことを言いたい場合は、
⇒ * She is no trustworthy.
とすることができません。NOは飽くまで名詞とセットで使うものであり、(比較級を除き)単純な形容詞を修飾することはできないからです。そこで、こういった場合は、次のように、NOに代えてNOTを使うことになります。
⇒ She is not trustworthy.
どうしても NO を使いたいということであれば、以下のように形容詞と名詞のセットを作り、そのセットをNOが修飾する格好にするほかありません。
⇒ She is not a trustworthy person.
B. 比較級の形容詞や副詞にくっつくNO
第二に、NO は、比較級の形容詞や副詞にくっつけて使います。もちろん、そこでの形容詞や副詞の意味につき「そうではない」という意味合いを付与するためにです。冒頭で例として挙げたとおり、基本的には次のように使います。
⇒ She is no older than I am.(彼女の歳は私と変わらない)
⇒ Our productivity is no worse than the industry's average. (うちの生産性は業界平均と比べて劣ってはいない)
このように比較級の形容詞や副詞との関係では NOT ではなく、NO を使うとされているので、実務上、よく見る、no less だとか、not more than は、言葉にうるさい人からすると、目障りなものと映るようで、例えば、アメリカの法律家がよく使っている Black's Law Dictionary のエディターである Bryan Garner は、not more than につき、The more natural idiom is "no more than."(決まった言い方としてより響きが自然なのは、no more than だ)とにべもないコメントをしています。
きょうは、ここまでにして、次回、NOT の使い方を説明します。
なお、以前に、NO そのものに興味を持って「NOの研究:二つの顔を持つ、不思議な単語NO」という記事を書いたことがあります。今回とりあげたこととかなりだぶっていますが、ご興味のある方はこちらにどうぞ。
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