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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2006年11月17日

(3) 英語族のためのフランス語&スペイン語入門

このシリーズの(2)で、救急医療時に患者と医療現場の人々が必要とする基本的言回しをまとめた Emergency Multilingual Phrasebook を使って、英語、フランス語、スペイン語の比較対照を続けたいと申しあげました。このたび無事イギリス赤十字の許可を取りつけることができたので、毎回、2、3個ずつフレーズを見ていこうと思います( 全部で 62番までありますので、全部で20回ぐらいのシリーズになりそうです)。なおEメールの書き方に興味のある方のため、この件でのメールのやりとりを別のエントリーにしたてて、ご紹介します。

今回取りあげるのは以下の二つです。

✓ Yes. No. ⇒ はい。いいえ。

✓ Don't know. ⇒ それは知りません。

✓ I don't understand. ⇒ わかりません、何を言っているのか理解できません。

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Yes. No. ⇒ はい。いいえ。

英語
フランス語
スペイン語
 Yes. No.  Oui. Non.  Sí. No.


☞ 英語の作りを研究すると …

Yes. No. の組み合わせは、おもしろいことに、No はフランス語もスペイン語も英語とほぼ同じなのに、Yes に相当するものだけがフランス語は Oui でスペイン語は Sí で、まるで格好が違っています。

ちなみに英語の Yes は、イギリス古語の yea の先代に当たる gēa という言葉から来ているとかで、その限りでは、ドイツ語の yes である "ya" と姻戚関係があるようです。そう言えば、スェーデン語の Yes も "ya" だったと記憶しています。

一方、No は、John Ayto の Dictionary of Word Origins によると、"not ever, ever" を意味していたそうです。「何がどうなっても、絶対ノー」という感じが出ていて、やっぱり狩猟民族は激しいなどと勝手な感想を抱いてしまいます。

☞ フランス語を比べると…

英語の Yes に対応するフランス語はひとまず Oui だと言えますが、フランス語の場合まどわされるのは、Si というバージョンもあることです。これは同じ「イェス」でも、否定疑問文その他の否定的な言い方をぶつけられたときに、「いやいや、そんなことはない。イェスですよ」という感じで使います。英語で書かれたフランス語の入門書に It's an emphatic yes. (Yes を強調した答え)と説明してあり、そうかと納得したのを覚えています。

例えば、「お金持っていないんですか?」と相手が尋ねる場合は、「有する、持っている」という意味の動詞 avoir と some money を意味する d'argent を使って、

N'avez-vous pas d'argent?

となりますが、その場合に、「いやそんなことはありません。多少はありますよ」と答えるなら、つまり、英語で言うなら、Yes, I do have some. に当たるような返事をしたい場合は、次のように、Oui ではなく、Si を使います。(ここでの en は some of it に当たるものです)

Si, j'en ai.

否定の Non の方は、英語と違うのは「ン」の音が入っている点だけです。

☞ スペイン語を比べると…

スペイン語の Yes は、Sí なので、上で説明した否定疑問文に応ずるときのフランス語の Si と似ています。違うのはフランス語だと、書いたときにアクセント記号がないことだけです。

No の方は、英語の場合、発音記号的に言えば [nou] と「お能」の「能」に通ずる発音であるのに対して、スペイン語は単純な [no] です。



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Don't know. ⇒  それは知りません。

英語
フランス語
スペイン語
 Don't know.  Ne sais pas.  No sé.


☞ 英語の作りを研究すると …

本来、 I do not know. と言ってもいいものを、会話なので縮めて I don't know. と言います。それを、ここでは、I がなくても状況から誰の話かがわかるということで、さらに I までも省略されています。

けっこう、発音としては、I dunno. とか Dunno. といった感じで言う人がいるので、慣れていないと何を言っているのかわからなかったりします。

☞ フランス語を比べると …

この Ne sais pas. は、きちんと書けば Je ne sais pas. ですが、なくてもわかるので、1人称の代名詞が省略されています。これは英語ともスペイン語とも共通しています。

フランス語の場合、動詞の活用形を ne...pas で囲んで打ち消します。この点が NOT だけの英語、NO だけのスペイン語と違う点です。

それでは囲まれ、打ち消されている動詞が何かと言えば、「知っている」という意味の savoir で、その1人称現在形が sais ということです。活用はこうです。

je sais
tu sais
il sait
nous savons
vous savez
ils savent

☞ スペイン語を比べると …

これも英語やフランス語と同じで、Yo no sé. と言ってもいいのに、1人称を省いた言い方になっています。

スペイン語の場合、Yo sé. (=I know) を打ち消すには NO を付けて、Yo no sé. で完成です。フランス語の pas のようなものをつける必要がありません。

この sé というのは「知っている」という意味の動詞 saber の活用形ですから、現在形の活用をざっと見ておきます。

yo sé
tú sabes
él/usted sabe
nosotros sabemos
vosotros sabéis
ellos/ustedes saben

この動詞は、英語で言えば、I know how to do something. での "know" に対応もしているので、知らないと不自由する動詞の一つです。こんなふうに使います。

「車を運転 = conducir できる」と言いたいなら

Yo sé conducir. (I know how to drive [a car])

「彼女はうまく泳ぐ = nadar ことができない」と言いたいなら

Ella no sabe nadar muy bien. (She doesn't know how to swim well.)

なお、この saber と意味が似ている動詞に conocer があり、これとの使いわけをこなせてようやく中級に行ける感じです。どう使いわけるかと言うと、「そのことについて知識を持っている、記憶している、やり方を知っている」というときに saber を使い、「知り合いである、よく知っている、そのことに通じている」というときに conocer を使います。

「マリアとは知り合いではない」と言いたいなら

No conozco a María.

であって、No sabe を使わず、しかも a という要素が加わります。これ、けっこう覚えるの大変です。




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I don't understand. ⇒  わかりません。言っていることが理解できません。

英語
フランス語
スペイン語
 I don't understand.  Je ne comprends pas.  No entiendo.


☞ 英語の作りを研究すると …

普通に「わかります」なら I understand. ですが、それを否定文にするため、助動詞 DO の助けを借りながら、NOT を加えて、I do not understand. を作り、それを話し言葉ということで短縮して、I don't understand. の出来上がりです。

☞ フランス語を比べると …

「理解する」という意味の動詞 comprendre の前後を ne...pas ではさんで打ち消しています。

動詞 comprendre の現在形の活用はこうです。

je comprends
tu comprends
il comprend
nous comprenons
vous comprenez
ils comprennent

☞ スペイン語を比べると …

スペイン語もフランス語や英語と同様、1人称を省いており、本当だったら Yo no entiendo. と言ってもいいものを簡単に No entiendo. で片づけています。別に Yo がなくても、1人称であることが歴然としているからです。

現在形の活用はこうなります。

yo entiendo
tú entiendes
él/usted entiende
nosotros entendemos
vosotros entendéis
ellos/ustedes entienden

★ さいごに

何度かこの種の記事を書いて思ったのですが、何も英語、フランス語、スペイン語のすべてを通じての達人を目指す必要はなく、言葉の作られ方とでも言うべきものに目を向け、認識を深めておきさえすれば、いざという場合に十分ものの役に立つはずです。

このシリーズでどの程度のことをカバーできるのかまだわかりませんが、仮に、そこそこフランス語やスペイン語の基礎を固めておくことができれば、土地勘と言うのか、センスのようなものが醸成されますから、短期間の集中的学習で一気に力を伸ばせることでしょう。

このシリーズを通じて、同時に英語独特の作りを浮き彫りにすることができたらとも思っています。




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