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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2006年11月 5日

(上)前置詞ATを使いこなす4つのポイント(ビギナー向け)

前置詞 AT は実に様々な顔を持っており、それだけにビギナー泣かせと言えます。事実、あとでご紹介する LIndstromberg という研究者は、おそらく外国人学習者にとりもっともやっかいな前置詞 (the most troublesome preposition for foreigners)と言っているぐらいです。ところが、悪いことに、世の文法書はこういう場合はこうだと AT の用法を網羅的に並べて終わっている感じがあります。そこで、ビギナーの方を念頭におきながら、前置詞 AT の世界を自分なりに整理しなおしてみました。けっこう、これで用が足りると思いますので、お試しください。

なるほど前置詞 AT はいろいろな顔を持っていますが、結局のところ、「位置関係を語るAT」「時間軸(ただし24時間)上の一点を指すAT」「抽象的な観念を語る AT」「組み合わさる動詞が問題になる AT 」の4つに分けられるというのが私の理解ですので、以下、これに即しての説明を試みます。あと、ATをめぐってイギリス英語とアメリカ英語とのちょっとした違いもありますので、最後にこの点をとりあげます。

ちなみに Graeme Kennedy の Structure and Meaning in English によると、100万単語をカバーするデータベースでの AT がらみのサンプルの登場回数は約6,000回で、そのうち、およそ50%が位置関係を示す AT、30%強が時間的関係を示す AT だそうです。

★ 位置関係を語る AT

同じ位置関係を語る IN との対比で言うと、IN が立体的空間を語るときのツールであるのに対して、AT は、縦・横・奥行きのない抽象的な点で、たいていは、線上の経由点というイメージで語られる感じです。

ですから、「最初の2週間はホノルルにいるつもりです」と言いたい場合は、

We're going to spend the first two weeks in Honolulu.

であって、at Honolulu とは言えないのに対して、「われわれのフライトは成田からロサンゼルスへの途中、ホノルルを経由していく」と言いたい場合は、こうです。

Our flight stops at Honolulu on its way from Narita to Los Angeles.

この場合、2週間も滞在するホノルルは立体的空間としてイメージされ、だから IN を使うのに対して、ただの経由地としてのホノルル、ただの点でしかなく、したがって AT で語られるということです。

こういった AT は「縦・横・奥行きのない抽象的な点」ですから、けっこう大雑把でもあり、したがって、待ち合わせの場所を決めるようなときに言う「じゃあ、あの本屋さんで会いましょう」なら、

Okay, let's meet at the bookstore.

です。この言い方がおもしろいのは、in the bookstore という言い方だったら、店内に入ってぶらぶらしながら待つことになるのに対して、 at the bookstore の場合は、具体的には本屋さんの入り口近辺で相手を待つであろうものの、基本的には「本屋さんのあたり」という程度の意味合いであることです。

ここで前置詞の研究書にニュアンスの違いがわかるいい例文が載っているので紹介させてください。 Seth Lindstromberg の English Prepositions Explained (John Benjamins Publishing Company) という本で、タクシーの配車係が客がどこで待っているかを運転手に伝えるケースを引き合いにこういった例を出しています。

まず、at the corner という感じで、Bloor 通りと Dundas 通りの角で待っているというなら、こうなります。

The fare says she'll be waiting for you at Bloor and Dundas.

ここでは、 at the corner of Bloor and Dundas と言い換えられることに表れているとおり、二つの通りの角という抽象的な点として捉えられています(抽象的な点ですから、その上に立つことなど不可能です)。対照的に、次の例では、ただの抽象的な角ではなく、「南西の角」という具体的なスペース、つまりその上に立てるような平面が出てきます。

The fare says she'll be waiting for you on the southwest corner of Bloor and Dundas.

ここでは、二つの通りがぶつかる交差点の南西の角という、物理的にその上に立てるような平面が登場しており、それに応じて ON が使われます。Lindstromberg は、southwest corner という area が指定されている上、路面との段差がある一種の台になっていることに注目していますが、その意味でもただの抽象的な点の域を脱した「面」が認識されており、したがって、AT ではなく ON を使うのが普通だとしています。

このように ON と比べると、ATの目的語が抽象的なものでしかないことが浮き彫りにされ、前置詞 AT の何たるかがよくわかります。つまり、ATの目的語は触れることも、ましてやその上に立てるような具体的な空間ではないのに、ONの目的語の場合は、その上に立てたりするのです。

この点、なるほどと思ったのが、R. A. Close の A Teacher's Grammar (LTP) に載っていた説明で、いわく「 at 何々」では縦・横・奥行きといった dimension がないのに、「X on Y」では、X が Y の表面を一部ないし全部おおっているか、それによって支えられているか、あるいは接している格好になるのです。したがって、There was no policeman at the spot where the accident occurred, but the police were on the spot within two minutes.(事故現場に警官はいなかったが、2分内には現場に警察官がかけつけた)という例で言えば、on the spot というフレーズを通じて、実際に警官がその現場に足を踏み入れ、そこに立ったりしたという感じが伝わって来るとしています。

タクシーの配車係の話に戻りますが、最後に、客の待っている場所が、自宅の玄関先である場合は、何か「囲われた感じの空間」(enclosed area) 、のイメージがあるので、以下のとおり、IN を使う場面となります。

The fare says she'll be waiting for you in her front yard.


★ 時間軸(ただし24時間)上の一点を指すAT

以下のとおり、一日24時間のどこかを切り取って言うときは、AT を使います。

✓ at 10:30 (10時30分に)
✓ at noon (正午に)
✓ at night (夜間に)
✓ at the moment(現在、現時点で)

ここでも、前項の位置関係と同じで、量というものを伴わない抽象的な点をいわばピンポイントで指定していることがわかります。

対照的に、以下のとおり、長さを観念できると言うのか、数量として把握できる単位が登場するともはや AT は使えない世界となり、日にち単位の話、あるいはその中の一区切りとしての午前・午後などには ON を、それより長い期間については、IN を使うことになります。

✓ on Monday
✓ on November 15th
✓ on Saturday morning(但し曜日抜きで "in the morning"を使うときは、in the morning of Saturdayとなります。この場合、少なくとも私には、on Saturday morning がカレンダー上の点でしかないのに、in the morning の方は午前中という幅が感じられます)

✓ in November
✓ in the latter half of November
✓ in winter
✓ in the summertime
✓ in 2007
✓ in the 20th century

考えてみると、IN を使うのは、以下の用例に見られるとおり、「何月何日」「何曜日」と具体的に特定するまでもない話の場合に、おおざっぱに「この時期」「この頃」といった感じで使うとも言えそうです。

I like to jog in the morning but It's too cold in winter to run outside.(ジョギングをするのが好きですが、冬は外を走るには寒すぎます)
He joined Hinata Shokai in 1998.(彼が日向商会に入社したのは1998年だ)
She's visiting Canda in December.(彼女は12月にカナダに行く予定だ)

ところで、night なら常に AT night なのだというものでもありません。要は、話し手の感覚なのです。ですから、during the day(昼間、日中)と対比されるべき、「夜」という時点を抽象的に取りあげるなら、at night ですが、それが、日にちやそれを分けている午前・午後といった限定された単位として意識されるなら ON が、さらに、もっと幅のある night なら IN the night になるとされています。この点、George Yule の Explaining English Grammar は、「夜」という時点を抽象的に取りあげるなら、at night だという例として、こういうものを挙げています。

At night, all your problems can seem much worse.(夜になると抱えている問題がさらに悪化しているような気持ちになる)

続けて、日にちやそれを分けている午前・午後といった限定された単位として意識され、したがって、ON を使うケースとして、こういう例を挙げています。

On the night in question, this man was sound asleep.(問題の夜、その男は、熟睡していた)

最後に、より「長い」夜の例としては、こういう例文を出しています。

In the night, refugees try to cross the border.(夜の間、難民たちが国境を越えようとする)

こうした例文からわかるとおり、普通に英語を使っている人々にとっては、ON は AT と IN の間に来る感じで、先に引用した A Teacher's Grammar は、at six o'clock on a sunny day in June(6月のある晴れた日の6時)という例を挙げながら、ON は、"a division of time intermediate between that associated with at and that with in" つまり「前置詞 AT が想起させる時間的な区切りと 前置詞 IN が想起させるそれとの間に来る中間的な部分」をカバーしていると説明しています。

[つづく]


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