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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2006年11月21日

Outlook vs Prospect

最近、いずれも将来の話をするときに使う outlook と prospect の使いわけについて、考えさせられるケースにぶつかったので、ご紹介したいと思います。

まず、自分自身の素朴な感覚に照らして、outlook と prospect がどう違うのかと言えば、outlook がただの予想・見通しという感じがするのに対して、prospect の方は何かしら期待が入っているというニュアンスを感じます。

こうした使いわけに関して「なるほど、なるほど。そうだったのか」と思ったのが以前にも紹介した同語義辞典の Choose the Right Word です。

同書は、outlook が暗い見通しを取りあげうるのに対して、prospect は何かがうまく行く、儲かる、より快適になるといった期待がかかっているケースを言うことが多いとした上で、ただし、prospect も、時には、The prospect of a bloody war was alarmingly increased. (血なまぐさい戦争になる可能性が危機感をおぼえるほど高まった)というふうに使われるぐらいで、常にプラス評価の話ばかりだとも言えないとしています。

これは納得が行きます。例えば、NTC's American English Learner's Dictionary を見ると、prospect の語義の1は likelihood で、その次に語義の2として、the likelihood that something will be successful (何かがうまく行くだろうという公算が高いこと)と言っているからです。

上で使い分けについて考えさせられたと言ったのは、Longman の Market Leader というビジネス英語の教材の中で、選択肢中 outlook 、prospect のいずれが適切かを問う以下のような練習問題があり、二つのうちどれにするかを説明する理屈がけっこうむずかしいと感じたからです。(ここではいずれについても単数形の outlook と prospect を取りあげていることにご注意ください。複数形の prospects はあとで見るとおり、違った意味で使われます)

ひとまず問題とその答えを見てから、なぜその答えなのかを一緒に考えていきます。ついでにコメントしてくださった田中さんのアイディアを取り入れて、同義語である expectation との対比も織り込んでみましょう。

(1) Shareholders may be discouraged by the bleak [outlook? prospect?] for the next year.(株主たちは来年に向けての芳しくない見通しで期待感を削がれることにもなりうる)


正解は bleak outlook です。ここではポイントは二つあると言えます。一つは、 bleak とセットで使うのは、outlook なのか、あるいは prospect なのかということです。この点、上の枠組みで考えると、暗い見通しを取りあげているケースだから、やはり bleak outlook の方が座りがいいのではないかと言えます(bleak prospect も聞かないわけではありません)。そこで、www.googlefight.com で、単純に bleak prospect と bleak outlook のヒット数を比較すると、前者の27,900 に対して後者は 138,000で、bleak と組み合わせるなら、outlook ということがわかります。

他は、前置詞 for とセットで使うのは outlook か、prospect かという視点です。そこで同じく googlefight.com で試してみると、outlook for が 283万件もあるのに、prospect for だと119万どまりであることがわかります。100万件以上あること自体、けっこう使われていると言えますが、outlook for の方が相対的には多数派だということです。

以上を要するに、設例の場合、形容詞 bleak ならびに 前置詞 for との「相性」から考えて、outlook の方が通りがいいと言えるようです。

✓ expectation との対比: bleak outlook に代えて、bleak expectations も使えますが、expectation に関しては二つ言えると思います。一つは、outlook が単数形で使われているのに対して、expectation が複数形で使われていることです。他は、expectation の場合、arouse expectations (期待を抱かせる)や live up to someone's expectations (誰かの期待に応える)といった言い方では、内容上そこで予想されているものは必ずポジティブなものだということです。

この点、いつも不思議だと感じるのが経済の専門家が言う「期待インフレ率」。これは expected inflation の直訳ですが、日本語で「期待」と言えば、普通、いいモノ・コトを期待するに決まっているのに、インフレのような嫌なもの、避けたいものについて言うのはどうだろうと感じます。したがって、自分が訳すときは素直に「予想インフレ率」にしています。

(2) Some of the wealthier countries will be facing the [outlook? prospect?] of a recession.(一部先進国が景気後退の可能性に直面することにもなろう)

正解は prospect です。上の枠組みから言えば、リセッション(景気後退)というネガティブな状況となるのではないかという話ですから、outlook がよさそうにも思えます。ただ、私には、これは、普通、face の目的語として来るのが outlook なのか、それとも prospect なのかという問題と映ります。そこで、googlefight.com で比較すると、face the outlook が 15例しかないのに、face the prospect だと431,000件もあります。

✓ expectation との対比: Googleで調べると "face the expectations"は2,000超、"face expectations" は1万超のヒット数です。こういった検索の常として、I could read in every face the expectation of... というトンチンカンなものものも入ってしまいますが、概ね face したり defy される expectations は他の人々が自分にかける期待の話で、いわば、自分の外側にあると言えます。この点、prospect も同じで、だから、face the prospect, face expectations という言い方ができるのに、ことが自分の内面の問題であり、自分の見方が起点である outlook だと face しにくいのだと感じました。

(3) The long-term [outlook? prospect?] for the dotcoms seems a little worrisome.(ネット企業の長期的見通しがやや懸念をおぼえさせるものとなっている)

正解は outlook です。上の枠組みで言えば、ネット企業の将来性に不安があるというネガティブな話ですから、ひとまず outlook に傾き、使われている前置詞 for がだめ押しになるという感じでしょうか。

✓ expectation との対比: long-term expectations , long-term expectation のいずれもよく見聞きします。また、こういった場合に、前置詞は for を使うという点でも共通しています。

(4) Do you welcome the [outlook? prospect] of working only five or six hours a day?(一日5、6時間働けばいいという日々が到来するかも知れないという点、歓迎という姿勢ですか)

正解は prospect です。ひとまずネガティブな話なら outlook、ポジティブなら prospect という上の枠組みに照らして考えると、勤務時間が減るといういい話ですから、prospect とすることになる上、使われている前置詞が of であることが背中を押してくれる感じです。

なお、prospect の派生形に、常に複数形の prospects という形で使われるものがありますが、これは chances と同義で、 Chances are better than ever.(今までになくいいチャンスだ)と言える場面では、Prospects are better than ever. と言い換えても通じる性質のものです。つまり、上の prospect とはニュアンスが違いますし、prospects for something というふうに、常に前置詞 for と一緒に使うという点でも違っています。

✓ expectation との対比: これは一つの発見でしたが、Googleで検索すると、"welcome the expectation that" は228件あるのに、"welcome the expectation of" はわずか5件で表示された例は2件にとどまりました。ということは、I welcome the expectation of working only five or six hours a day. は、普通、聞かないということです。一方、"welcome expectations" はいちおう500超のヒットとなるものの、中身を見ると、形容詞プラス名詞だったりで、実際には使われてない感じを受けます。

以上を要するに、同じように将来の話をし、見通しを語る場合でも、それがネガティブだと普通 outlook に傾く反面、ポジティブなものだと prospect が使われることが多いということです。あと、outlook とセットで使う前置詞が通常 for であるのに対して、prospect の方は普通、of と組み合わさるという点も使いわけのヒントとして重要と言えます。



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Comments

日向先生、

いつも楽しく見ております。大学のホームページなどでは、その大学に興味を持っている学生のことを"prospective student"といいますよね。期待、希望をもって入学してくるので、"pro-"を持つ"prostective"を使うんでしょうね。株式公開のときの"prospectus"にしても、株を買ってくれる人に期待させるような情報が盛り込まれているのでいるのが普通でしょうが、そでないときもあるのでしょうね。
自分としては、"expectation"の解説もこの記事に加えてほしかったなと思います。この言葉、"prospective"以上に結構いつでも使えるようで、使えないときもある、といった微妙な言葉だと、米国留学6年目の私でさえ思います。補足説明していただくと幸いです。

[返信]

ありがたいコメントです。お礼申しあげます。本文に expectationとの対比 を織り込んでみますね。

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