HOME英語ニュース・ビジネス英語
 
 


日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2006年11月 7日

(続)前置詞がらみの失敗

先日アップした「前置詞がらみの失敗」を補充しましたので、既に読まれている方のため、あちらで補充した部分をここに別項目としてお届けします。

★ 余計な前置詞を入れてしまう

余計な前置詞が入っていると、普通に英語を使っている人はすぐ気づくもので、そのぐらい目立つ失敗ですが、タイプとしては、われわれのようなノンネイティブだからやりがちな失敗と、ネイティブスピーカーでも、言葉に格別注意を払わない人が犯す間違いの二通りがあります。ビギナーとしては、当然、文法ミスである前者に注意すべきであり、一方、いわば現場主義で日頃の見聞きの中から英語の知識を仕入れている人は、後者のような落とし穴があることに気をつけるべきだと思います。

A. 他動詞と目的語との間に前置詞を入れてしまう

日本語だと「何々のこと論じる」「何々取り組む」」「誰々連絡する」という具合に、組み合わさっている名詞の語尾に助詞が付いていることから、英語にするに当たっても、何かそういった助詞を置き換えたいという心理が働くようです。これがおそらく日本人の場合に、余計な前置詞を使うという間違いを誘う原因になっているのではないでしょうか。もう一点、discuss about something とは言えないけれど、have a discussion about something とは言えるのが仇になって、名詞形の場合の前置詞がそのまま使えるかのような錯覚に陥るという問題もあります。

× We have decided to approach to the problem from an entirely different angle.
○ We have decided to approach the problem from an entirely different angle.(まるで違った角度から問題に取り組むことを決めた)
    ↑
「何々に取り組む、アプローチする」という日本語での言い方に引きずられて、「approach to 何々」というふうに余計な to を入れてしまうようです。加えて、具合の悪いことにと言うのか、ますます混乱させられるのが、We have decided to take an entirely different approach to the problem. のように、名詞形で approach を使うときは、前置詞 TO がセットになるわけで、このことがぼんやり頭に残っていると、他動詞として approachを使うときにもうっかり、前置詞 TO を使ってしまうようです。以下、名詞形がこういった過ちを誘いやすいものにつき、BUT と注意を喚起してから、名詞での用例を一緒に挙げておきます。

× Can you contact with your Chinese distributors?
○ Can you contact your Chinese distributors? (中国の販売業者に連絡を取っていただけますか)
BUT We don't have contact with any Chinese distributors.(中国の販売業者とはコネクションがない)

× We discussed about the upcoming project.
○ We discussed the upcoming project. (今回のプロジェクトのことを話し合った)
    ↑
We had a discussion about the project. という具合に、名詞形のdiscussion を使うときは、前置詞 about を一緒に使うので、そこから混乱が生じるようです。

× Achieving this goal will demand for more funding.
○ Achieving this goal will demand more funding.(この目標を達成するとなるともっと資金が必要となる)
BUT There will be a demand for more funding.(もっと資金が必要になろう)

× Their management emphasizes on learning-by-doing.
○ Their management emphasizes learning-by-doing. (あの会社は、実践しながら学び取ることを重視している) 
BUT They place emphasis on learning-by-doing.

× The founder president of the company has avowed to fight against the proposed merger.
○ The founder president of the company has avowed to fight the proposed merger.(創業者社長は提案されている合併を阻止すると宣言している)
    ↑
戦闘という意味で戦うなら fight against ですが、阻止するという意味では fight something という言い方をします。
BUT The founder president of the company has expressed opposition to the proposed merger.

× She failed to mention about the changes.
○ She failed to mention the changes.(彼女は変更点に言及するのを忘れた)
BUT There was no mention about the changes.

× Have you ever visited to Hong Kong?
○ Have you ever visited Hong Kong?
BUT Have you ever paid a visit to Hong Kong?
    ↑
名詞を使った言い方は意味は同じですが、妙に堅苦しい感じがします。自分で口にすることはまずないと思います。


ここでは思いつくままにありがちないくつか誤用例を挙げましたが、当然、これに尽きるものではありません。使おうとしている動詞が前置詞無用の他動詞か、逆に前置詞という接着剤がないと名詞と結びつく力がない自動詞かをカンで見分けられないうしは、こまめに辞書を引く必要があります。


B. 話し言葉のクセで意味がダブる前置詞を入れてしまう

これは主として話し言葉を使う場面、特にフォーマルな書面にする必要がある場合に問題になることですが、普段、何気なく使っている「いい加減な」英語をそのまま書き言葉として使わないよう気をつける必要があります。あまり本などで勉強せず、もっぱら現場で、いわば叩き上げ的に英語を身につけた人に多い失敗でもあります。

× She met up with the incoming CFO in the hallway.
◯ She met the incoming CFO in the hallway.(彼女は次期CFO=最高財務責任者に廊下で会った)

× We divided up the work into more manageable units.
○ We divided the work into more manageable units.(われれれは仕事を作業しやすい単位に分割した)

× The dictionary fell off of the desk.
◯ The dictionary fell off the desk.(辞書が机から落ちた)

× He threw the document out of the window.
◯ He threw the document out the window.(彼は書類を窓から放り出した)

× Where did they go to?
◯ Where did they go?(彼らはどこに行ったんだ)

★ 省略される前置詞と省略してはいけない前置詞

前項では必要のない前置詞を入れるという失敗例を取りあげましたが、逆に普通は省略される前置詞をいちいち入れるというのも目障りなものです。

つまり、英語では、「前置詞X1+名詞 and 前置詞X2+名詞」という格好で、二つの名詞を通じて同種の前置詞を使えるときは二つ目を普通、省略するというルールがあり、そうであるのに、いちいち二つめの前置詞を馬鹿正直に入れるのとかえって変な感じになってしまうのです。

例えば、「この商品は夏でも冬でも売れる」と言いたい場合は、ひとまず

We can sell this product in summer and in winter.

となりますが、普通、二つ目の winter の前の IN は省略され、最初の in だけを使います。つまり、こうなります。

We can sell this product in summer and winter.

逆に、「名詞+前置詞Y1 and 名詞+前置詞Y2」と、名詞の後に前置詞が入っているときは、同じように省略されますが、省略されるのは最初の方で、2番目の前置詞だけを使います。こうです。

We are committed to and dedicated to providing quallity service to our customers.
   ↓
We are committed and dedicated to providing quallity service to our customers.(私どもはお客様に質の高いサービスを提供することにコミットしており、全社一丸となって努力しております)


もう少し硬い例を見てみましょう。これは契約書によく入っている条項です。

In case the shipment of the goods is slowed down by circumstances attributable to Purchaser, Seller will store these goods for the account and risk of Purchaser and charge the costs involved.(商品の発送が本件買い主の責めに帰すべき事由により遅れた場合、本件売り主は本件買い主の計算と危険負担において当該商品を保管し、その費用を請求するものとする。→ 保管中に商品が盗難に遭い、あるいは火災により滅失したとしても、それによる金銭的損失や所有権の喪失といった損失はすべて買い主がかぶることになる、という意味です)

この一節の for the account and risk of の部分は、本来は、for the account of and risk of というふうに、of を2度繰り返してしかるべきものですが、見れば、of が省略されているのがわかりますから、いちいち入れないのが普通です。ただ、アカデミックライティングの世界では、こういった前置詞をきちんと入れろと強調する先生もいるそうです。

一方、省略してはならないケースというのもあります。上で見たのは、in summer and in winter での in のように、共通して使える前置詞の例でしたが、「形容詞+前置詞X and 形容詞+前置詞Y」という具合に、異なる種類の前置詞が二つ出て来る合は、個々の前置詞を省略せずに入れることが求められます。

例えば、「われわれはバイオ関連技術に興味は持っているけれど、それほど知識を持っているわけではない」と言いたいとしましょう。この場合のキーワードは、interested in と knowledgeable about です。

× We are interested but not knowledgeable about bio-related technology.
○ We are interested in but not knowledgeable about bio-related technology.

何となく、どちらかの前置詞はなくてもいいのだぐらいの認識でいると、こんな失敗をしてしまうようです。

なお、こういった場合に、but not knowledgeable about の部分をちょっとうしろに下げ、目立たなくしたいのであれば、カンマでくくり出して、補足情報であることを示します。つまり、こうです。

We are interested in, but not knowledgeable about, bio-related technology.

カンマなしの場合、書き手としては、interested in と not knowledgeable about を同じようなものとして扱っていることが伝わってくるのに対して、上の例のように but not knowledgeable about の方をカンマでくくり出すと、interested in が前面に出る反面、but not knowledgeable about が背景に下がるので、「バイオ、おおいに関心ありますよ」と打ち出す一方で、「ただねえ、あまり知らないんですよ、バイオのこと…」といった予防線をついでに張っておく感じになります。






eating.gif





人気ブログランキングに参加しております。この記事が役に立ったという方、このリンクをクリックして一票入れてくださればと思います。励みになりますので。人気blogランキングに一票


Making_circles.gif

Trackbacks

Trackback URL: 

Comments

日向先生、こんにちは。
前置詞は、やっかいだという思いが拭えません。先生のご説明は、いつも大変わかりやすく感謝しています。

今まで、いろんな本で「ここは普通はatだが、inでも良い。」という説明に出会うたび、なぜなのだろうという疑問は全く解決されないままで、困っていました。英語を使って仕事をしている弟に前置詞の使い方を聞くと「それは感覚」という答えで、アメリカで暮らした事のない私などにとっては、適切な答えではないといった所でした。


例えば「~の増加」と言う場合、「the increase of~ 」となるのですが「~の数の増加」は「the increase in the number of~」となるようですが、これを「the increase of the number of~」にしてもいいのでしょうか。私は感覚的には、「of~of~」の形に違和感を覚えるので、in the number ofの方が、やはり自然に感じます。(population もthe increase in populationのように使います。)

[返信]

Oxford Advanced Learner's Dictionary of English で名詞 increase を引くと、in sth と、名詞が続くときは、in を使えと明示してありますし、感覚的にも自分では、まず of は使いません。試しにGoogleで、"increase in the number of" と "increase of the number of" を site:ac.uk で絞り込んでフレーズ検索すると、前者の 14,800 に対して後者は 308ですから、やはり普通は in ではないでしょうか。

日向先生、またしても役立つ情報をありがとうございます。

Aの下から3番目の創業者社長の例文ですが、×と○の文が同じになっています。

[返信]

ありがとうございます。直しておきます。横の propose merger も正しくは proposed merger ですね。すみません。

コメントフォーム
Remember personal info?