2006年12月23日
句動詞がらみの失敗(英語の落とし穴の25)
ビギナーはもとより、中級クラスの学習者を悩ます句動詞(連語動詞とか熟語動詞とも呼ばれています)のポイントを整理しました。
句動詞 (phrasal verb) を使いこなすためのポイントは以下で見るとおり、(1)目的語を取らない自動詞タイプのものと目的語を取る他動詞タイプの句動詞があること、(2)目的語を取る他動詞タイプの句動詞の場合に目的語が代名詞であるときは必ずそれを call it up のように句動詞の中に「取り込む」こと、(3)目的語を取る他動詞タイプの句動詞の中には分割不可であり、したがって、目的語が代名詞であっても、それを「取り込めない」ものがあること、そして(4)put up with のように3単語から成る句動詞は常に1単語のように扱い、分割できないことです。
なお、句動詞は基本的にインフォーマルな言い方であり、主として話し言葉の世界で使われるものです。ですから、carry out (実行する)という句動詞を勉強したら、常にこれを1単語で言うなら implement だな、という具合に常にセットで勉強して行くことをお勧めします。そして、人と話をしているようなときは、implement はおおげさだから、carry out を使わなきゃなと感じ、逆に改まった感じの書面では implement を使うというセンスを養うよう心がけることが大事だと思います。
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失敗例の1: 句動詞には目的語を取るタイプとそうでないものとがあることに気づかない
例えば …
圧力があり、われわれは最終的には屈服しました。
× Under pressure, we eventually gave it in.
○ Under pressure, we eventually gave in.
句動詞は、一つの単語から成る普通の動詞と異なり、二つ以上の単語から成っています。しかし、基本的には動詞ですから、普通の動詞と同じように、目的語を取らない自動詞タイプのものと、目的語を取る他動詞タイプのものがあります。
設例の give in のように、自動詞として使われるものはそもそも目的語をとりませんから、二つの要素の間に何か別の言葉が入れたりすると誤用になってしまいます。
失敗例の2: 他動詞タイプの句動詞なのに、目的語が代名詞であるにも拘らず、それを「取り込まない」
例えば …
A: このフォーム(書式)を画面に表示してもらえないかな。B: もちろん。すぐに出しましょう。
× A: Can you call up this form on your computer? B: Sure, I'll call up it right away.
○ A: Can you call up this form on your computer? B: Sure, I'll call it up right away.
ここでの「CALL UP 何か」 のように、他動詞タイプの句動詞の場合、目的語が代名詞でないときは、例えば、「ファイルを呼び出しましょう」と言いたいとして、I'll call up the file. と I'll call the file up. のように、句動詞のあとでもいいし、二つの要素の間でもかまいません。
ところが、設例のように、その目的語が代名詞であるときは、いわば句動詞の中に代名詞を取り込む格好となり、必ず二つの要素の間に代名詞を入れます。
なお、目的語が普通の名詞なら、句動詞の中に取り込んでもいいし、また、代名詞なら必ず取り込まなければならないとは言っても、例外的に、入れたい目的語が長いときは、逆に、句動詞の中に取り込めません。つまり
I called up a list of all customers with an outstanding balance.(私は、未払いのある顧客全員のリストを呼び出した)
のように、下線で示した目的語が長いときは、
× I called a list of all customers with an outstanding balance up.
とすることができません。動詞としての一体性が失われて、何を言っているかわからなくなりますから、当然のことです。
失敗例の3: 本来分割できない句動詞なのに、間に余計な言葉を入れてしまう
例えば …
あなたは余分な脂肪を落とすために運動する必要がありますね。
× You need to do exercises to cut excess fat down.
○ You need to do exercises to cut down excess fat.
同じ他動詞タイプの句動詞でも、その目的語が名詞であれ代名詞であれ、ともかく、句動詞の中に余計なものを一切取り込めないものがあります。「分割」できない句動詞があるということです。
あとで見るとおり、3単語から成る句動詞はもともと分割できませんが、2単語から成る句動詞の中にも最初から分割できないとされているものがあるのです。
学習者向けの辞典を見ると、分割できるか否かわかるようになっているもので、分割して使われることがないものは、cut down (on) sth(何かを削減する)という具合にパターンが明示してありますから、問題意識を持ちながらそういったラベルを読み取れば、せっかくの辞書をおおいに活かせます。
2単語から成る句動詞のうち、どれが分割できないのかについては、末尾にリストをつけておきます。
失敗例の4: 3単語から成る句動詞は常に一体として扱うというルールを見落とす
例えば …
一体いつまで横柄な彼らを我慢しなければいけないのでしょうか。
× Until when do we have to put it up with their arrogance.
○ Until when do we have to put up with their arrogance.
3単語から成る句動詞は常に1単語かのようにように扱い、間に何か別の言葉を入れたりできません。
3単語から成る句動詞の代表例としては以下のものがあります。
✓ come up with something(何かを思いつく)
✓ cut back on something(何かを削減する)
✓ do away with something(何かを廃止する、捨てる、やめる)
✓ get away with something(何かをしておきながらその責任を免れる)
✓ go along with something(調子を合わせる、同調する)
✓ look down on something(何かを見下す)
✓ put up with something(何かを我慢する)
追記:こうした句動詞の勉強にお勧めしたいのが、Collins COBUILD Dictionary of Phrasal Verbs です。巻末に、句動詞の副詞的要素 (particle) の説明があり、同じ out でも、buy out (買収する、買い取る)が throw out での out 同様 exclude という意味合いですよという感じで、out の用法が句動詞のグループ別にいくつか載っています。他では見ない説明に思わず読みふけってしまいます。また、この辞書には別売りの薄い練習帳があるのも特色です。
2単語から成る句動詞のうち、常に一体として使い、「分割」してはならないものは以下のとおりです。
1. admit to
2. agree on
3. allow for
4. apply for
5. become of
6. break into
7. bump into
8. call for
9. call on
10. care about
11. catch on to
12. check into
13. come across
14. come by
15. come into
16. come over
17. come through
18. count on
19. cut across
20. deal with
21. depend on
22. dip into
23. disagree with
24. dispose of
25. do without
26. dream about
27. dream of
28. dwell on
29. fall for
30. feel like
31. figure on
32. get after
33. get around
34. get into
35. get on
36. get over
37. go about
38. go after
39. go for
40. go into
41. go over
42. go through
43. go without
44. grow on
45. hang around
46. hang onto
47. head for
48. head into
49. hear about
50. hear from
51. hear of
52. insist upon
53. keep at
54. keep to
55. lay off
56. live off of
57. live on
58. live through
59. look after
60. look at
61. look for
62. look into
63. major in
64. meet with
65. part with
66. pick on
67. plan on
68. plow into
69. pull through
70. read through
71. root for
72. run across
73. run against
74. run for
75. run into
76. run over
77. see to
78. settle on
79. side with
80. sleep on
81. speak about
82. speak for
83. stand for
84. stick to
85. stumble across
86. stumble into
87. stumble onto
88. stumble over
89. subscribe to
90. take after
91. talk about
92. tell on
93. thumb through
94. touch on
95. turn against
96. turn into
97. wait for
98. wait on
99. work on
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日向先生、
アメリカに来てから、教科書などの文献をたくさん読みましたが、句動詞がらみで結構戸惑うのは、それが受動態で使われたときではないでしょうか。paperを書くときもいつも気をつけています。例えば、"be referred to as~"のtoを抜かさないように、とか。
英語学習者にとって、(上の例のtoのように)前置詞がその目的語を取らずに「宙ぶらりん」になっているのは、それが正しい言い方だとしても、何故か締りが無いように感じるのは僕だけでしょうか?
[返信]
せっかく寄せてくださった、このコメント、実は、スパムと区分され、公開されていませんでした。スパムとして排除されたものを念のため見直していて、2007年1月14日に発見したものです。時機を失してしまい、申し訳ないことです。
- 匿名
- 2006年12月24日 08:48

cut down sth は、cut sth down になると思いますが、いかがでしょうか?
(もちろん、代名詞なら cut sth down)
また、「句動詞の中に余計なものを一切取り込めないもの」「『分割』できない句動詞」といった表現だと、
depend a lot on... など副詞要素が入るケースで、読者の方が混乱しないか心配です。
[返信]
せっかく寄せてくださった、このコメント、実は、スパムと区分され、公開されていませんでした。スパムとして排除されたものを念のため見直していて、2007年1月14日に発見いたしました。時機を失してしまい、申し訳ないことです。