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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2007年9月12日

English presentation は変な英語か?

職業病の一種なのか、英語を使っている広告などで変な英語を見ると、気になってしかたがないと言うか、ともかく落ち着かない気持になります。きのう、電車の中で目が止まったのは、どこぞの大手英会話学校の広告。英語ができるやり手社員というコンセプトなのでしょうが、開いた手帳に、

English presentation to shareholders.

という予定が記入されている格好のものでした。読んだ瞬間、「えっ、これ英語なの?なんか変じゃない?」と見入り、考え込んでしまいました。

「株主相手の英語のプレゼン」とすなおに読んだらいいのでしょうが、どういうものか得も言われぬ違和感をおぼえ、そうは読めないのです。

なぜかなと考えたのですが、こういう予定のたぐいであれば、Presentation to shareholders (in English). あるいは、Presentation to shareholders, in English. といった書き方をするのがおそらく普通で、ともかく English presentation というフレーズはちょっと言わないだろうなという感覚があるからです。言い換えると、presentation という名詞には一応決まった組み合わせがあり、その中に普通、English presentation というものはないというのが私の感覚なのです。仮に「英語(で)のプレゼン」と言いたいなら、おそらくは、presentation in English と言うはずで、English presentation はどうもなあという感じがしてなりません。

ためしに Google で、"give an English presentation" と "give a presentation in English" をそれぞれ検索してみたら、結果はこうでした。

give an English presentation....18
give a presentation in English...84

「Googleの検索は当てにならんから気をつけろ、以前の記事でも同じようなバグがあったぞ」という趣旨のコメントが寄せられたので、念のためYahooでもやってみたところ、こうでした。

give an English presentation....24
give a presentation in English...136

ことのついでに www.ask.com で試したら、こうでした。

give an English presentation....19
give a presentation in English...150

まあ、たかが検索エンジンの検索ですから、あくまでも一つの目安でしかありませんが、それでも English presentation が少数派であるのは確認できます。

次に Oxford Collocations Dictionary for Students of English で presentation を引くと、形容詞としてよく頭につく単語として載っていたのは、formal, effective, slick, upbeat, business, sales, audio-visual, slide, video といったところでした。もちろん、これに尽きるものではなく、パワーポイントを使ってのプレゼンを指して、run a PowerPoint presentation と言ったりもします。しかし、コロケーションとして定着していないものは、presentation in English というふうに前置詞の助けを借りるのが一般です。

以上を要するに英語の場合、決まりきった組み合わせ(コロケーション)というものがあるので、勝手に作らない方がいいということです。例えば、presentation in English を短くまとめて English presentation という言い方ができるなら、同じ理屈で、presentation to shareholders をひっくり返して shareholders presentation と言ってもかまわないことになりす。しかし、実際にはこういうフレーズを使う人はまずいません。それがコロケーションの本質です。

手っ取り早くコミュニケートするための符牒として広く使われ、定着して初めてコロケーションとして英語に取り込まれるのであり、勝手に組み合わせを作ったりしても、それは英語として通用しません。つまり unidiomatic と受け止められてしまいます。

この English presentation という言い方が変だと感じるのは自分だけなのかなと思い、ネイティブの先生たちが答えてくれる、Dave's ESL Cafe というサイトでこの件を尋ねたところ、Yes, it's unidiomatic. という「お墨付き」を頂戴しましたが、読者のなかで普段英語を使ってらっしゃる方はどう思われますか?

それにしても英会話学校の広告で unidiomatic な英語が使われている現実にはがっかりします。日本語学校の広告に「出る釘は打たれる」とか「そうは問屋が許さない」と書いてあるのと同じような話ではないでしょうか。


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Comments

「匿名子」って誰かと思ったら、スミマセン、私でした(~~;)

 「お墨付き」をくれた「権威」ある皆さんは、互いに違う主張をしてたり、突っ込み合ってたりするようですが・・・。

 それはともかく、コロケーションの問題では、割と理屈がはっきりしているケースもあると思いますが、今回のケースは、正に理屈というより、一定以上のエクスポージャーがあって初めて身につくカンの問題で、我々非ネイティブの学習者は、解脱に至るまで「問題意識を持って観察に努め」る精神修業をしている間は、こうした間違いを繰り返し続けるしかないのでしょう(~~;)

 ところで、本題外で恐縮ですが、関連質問を1件。
 趣旨を述べると長くなるので、よろしければ、http://alcom.alc.co.jp/questions/show/111 を参照してみてください。よろしくお願いします。

[返信]

参照先、拝見しました。なるほど、気づかない視点でした。ただ、your phrase is okay で言うphrase がEnglish presentation だとして、こちらは correct English という意味でokay かと尋ねているのに、回答者は、okay をacceptable, passable という意味で捉えています。もし、correct English という意味でokayと言っているなら、わざわざ正反対のこと、つまり unidiomatic だなどと補足しませんから、回答者のokayはacceptable 程度の意味であることがわかります。

今、イギリスの大学院に留学中ですが、Englishとだけ言うと、
"English Language?"と聞きなおされます。「English=(N)英語」という発想はアメリカ英語に支配的なのかもしれません。少なくともEnglandではEnglishと言って英語とはすぐにピンとはこないようです。

[返信]

情報、ありがとうございます。遠い所での勉強、大変でしょうが、頑張ってください。

日本語の発想から来た言葉の典型といえます。日本語のcontextだと、「英語によるプレゼンテーション」が自然な言い方ですが、母国語のコミュニケーションによくある漢字・カタカナによる簡易・省略化により、「英語プレゼンテーション」というtermが出来上がったものと考えられます。


海外在住6年目になりますが、英語を母国語としている/いないに関係なく、English Presentationという言葉を使う人を見たことがありません。minorな新聞や広告でまれに出てくるかもしれませんが、もの笑いになることは確かです。Jay LenoのToday's Late Night Show(NBC)で出てきても不思議ではないと思います。

いずれにせよ、日本語英語であることは間違いありません。使う場合は、別の言葉で説明しなおす必要がありますね。

[返信]

海外留学者さん、おひさしぶりです。「日本語の発想から来た言葉の典型」というズバリのご指摘、ありがとうございます。それにしても、理屈というより、一定以上のエクスポージャーがあって初めて身につくカンの問題なんだなあと感じています。English presentationの気持悪さをいわば皮膚感覚でわかっていらっしゃらない方だと、「それ unidiomatic ですよ、funny English ですよ」と説明しても、「何を勝手なことを言ってやがる」という反応が返ってくるわけで、がっかりします。

フィリピンの Eric 氏ひとりが回答してくれたから「お墨付き」ですか? とか、いやそもそも Eric 氏は、「okay か?」との質問に「Ok だ」と答え、かつ、日本のような非英語圏というコンテクストでは "clearly understood" だとも言ってるのに、「非英語」ですか? とかも聞きたいとこですが、それはともかく・・・、

 私のような非ネイティブの学習者が、"English presentation" という表現を用いてはいけない、というのを学ぶ方法はあるのでしょうか? (イディオム辞典はもちろん)コロケーション辞典も、"PowerPoint"の例からすれば、"English" が不可であるとは教えてくれないわけで・・・。
 例えば、 "English speech" も、ググると "speech in English" と比べてヒット率が遥かに低いことから「非英語」と判断できるでしょうか?

[返信]

権威ある人からの保証を指して「お墨付き」と言うわけですから、ESL Cafe のプロによる回答は、これに当たります。また、一人の権威からもらうからこそ「お墨付き」であり、多数の権威から集めるのであれば、日本語では、専門家に対するアンケート調査の結果という言い方をするのだと思います。

それはともかく、「いやそもそも Eric 氏は、「okay か?」との質問に「Ok だ」と答え」という下りについては、もう一度回答文をご覧になるとそうではないことがわかります。

回答自体は、Your phrase is Ok and, yes, it's unidiomatic. というものでした。このうちの、Your phrase is Ok は、こちらが、English presentation というのは、 "giving a presentation in English to stockholders" という趣旨なんだろうけどと補足したのに対して、Your phrase is Ok つまり補足として示した分は Ok と答えているのであり、こちらが okay かと尋ねたのに対して Ok と言っているわけではありません。

回答文後段の it's unidiomatic は、"the phrasing strikes me as unidiomatic" というこちらからの言葉に対して、"yes, it's unidiomatic" と答えているものです。

今回の Eric Thompson をはじめESL Cafe の回答者は先方が選んだネイティブの英語教師で、フィリピンうんぬんは、そこに住んでいるというだけの話です。(引用府の打ち方がイギリス式であるところからも、フィリピンで英語教育を受けた人ではないことがわかります)

その余のご質問に対しては、何語であれ、問題意識をもって観察に努めれば本物かどうかを養う「カン」が養われると言えます。日本人なのにものを読まない人がだいたい「非日本語」を使うことを見てもこのことは明らかなのではないでしょうか。

ただ、本文でも書きましたとおり、ネイティブをモデルにする学習法を捨てて、通じればいいということであれは、English presentation でも問題はありません。Eric が言うように、"in the context of doing business in a country in which English is not the native language, it should be clearly understood" だからです。(おわかりのとおり、Eric は「非英語だけれど、通じるよ」と言っているだけで、匿名子さんのコメントの冒頭にある「通じるんだから「非英語」とは言えないでしょう」というのとは違っています)

英文ライティングの一分野(?)に、Technical Writing(技術英語、工業英語)というのがあるそうで、私の勝手な印象では、"Presentation to shareholders (in English)" や "Presentation to shareholders, in English" よりも端的な表現である "English presentation to shareholders" を良しとしているように見えます(実際はどうか知りませんが・・・)。
 ビジネスライティングは口語調が基本かも知れませんが、書き言葉であれば、口語としての自然さより、簡潔な(ただし誤解なく意味が伝わる)表現を用いる、というのもアリな気がしますが、いかがでしょうか?
 所詮、会話でも文書でもなく、メモ帳の書き込みなら、何と書こうと構わないでしょうが・・・。

[返信]

私の感覚では、English presentation. は「より端的」とは言えず「非英語」です。新聞の見出しなど冠詞がなかったり、はしょったりで、ずいぶんと変な感じもしますが、あれもスタイルが違うだけで「英語」として受け入れられています。ですから限界があり、PM Abe resigns は普通でも、 PM Abe bye-bye は変ということになります。

ただ、これはネイティブモデルの英語の話で、通じりゃ何でもいいというスタイルで臨むなら、おっしゃるとおりです。

ちなみに、English presentation. の「気持悪さ」を日本語で表すと、予定表に「英語的プレゼン」と書いてあるようなものです。それをわれわれ日本人が目にした場合、「この人、日本人じゃないな」と思う訳で、その感覚をお伝えしたかったのです。

いつも勉強にさせてもらっています。

私もまったく同じ違和感を感じます。もしくは別の、「英語で行うイギリス流のプレゼン」(そんなもんがあるのかどうか知りませんが)というような含意があるように感じてしまうのですが、こりゃ僕の言語感覚がおかしいのかもしれません(笑)

[返信]

コメントありがとうございます。「ずんちゃか」さんのブログを拝見し、意外な分野の方が読んでくださっていることを知り、うれしくなりました。頑張ります。

Google の検索結果の件数にはバグがあるので、注意が必要です。
10ページ目あたりを見て確認した方がよろしいでしょう。
"give a presentation in English"は「98 件」くらいです。
(以前の記事でも件数にバグがありました)

[返信]

ご親切にありがとうございます。

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