2007年11月23日
「ビギナーのための法律英語」

そろそろ新著「ビギナーのための法律英語」が店頭に並ぶはずなので、紹介させてください。いや、並ばないのかも知れません。なにしろ、版元が本来学術書を扱う地味な大学の出版会なので果たして普通の本屋さんに並ぶのだろうかと心配なぐらいです。買ってみようという方には、www.amazon.co.jpの方が簡単かも知れません。その場合は、こちらからどうぞ)
追記:どういうことを意味するのかわかりませんが、この本、「日本図書館協会選定図書」に指定されたそうです。ちゃんとしているよ、安心だよというお墨付きなのでしょうか。なんであれ、ありがたいことです。(12/26/07)
あらまし、目次(+内容見本)、はしがき、コラムの順でご紹介します。
★ あらまし
「はしがき」でも述べているとおりこの本の特色は二点あります。第一に、ビジネス英語の守備範囲かという視点から法律英語の単語やフレーズを整理してあるので、必要最小限の法律英語をひととおり勉強したり、確認できること、そして、第二に、日本とアメリカ、両方の法曹資格を持つ弁護士が手伝ってくださったので、水準以上のものになっていることです。
もともと大学3、4年生向けの講座の配布教材をまとめ直したものですので、ひとことで言えば、「これだけ知っていれば、こと法律英語に関してはビビらなくて済む」という内容の本です。
★ 目次と内容見本
目次はこうなっています。
PART1 会社のことを語れるようになる用語用例208
法全般
会社法全般
事業組織の種類
事業経営者/会社の権能と責任
会社の種類
アメリカでの会社設立
定款
株式
設立手続、登記手続
会社の組織:株主
新株予約権
株式公開
第三者割当
株主総会
取締役会
取締役の責任
執行役員
社外取締役
日本の会社の監査役
委員会設置会社
会社に関係する法律問題
消費者保護
労働法
独占禁止法
倒産処理法
会社法務/コンプライアンス
買収・合併その他の組織変更
裁判による紛争解決
PART2 契約書が読めるようになるための用語用例208
契約の種類
契約の成立要件
契約書の構成とよく出てくる言い回し
一般条項のサンプルと訳例
契約の終了
契約トラブルの解決手段:裁判
付録Ⅰ 会社の定款サンプル
付録Ⅱ 契約書サンプル
個々の用例は以下のように、和英両文を読み合わせることで、そこに出てくる専門用語がどういう意味のものであるかがわかるようになっています。
内部監査は社内の内部統制を見直した上で得られた分析結果や勧告を経営陣に提供するのが仕事だ。 Internal audit provides management with analyses and recommendations, obtained through reviews of the company's internal control.
また、こういった方面の用語に慣れていない学生や社会人のことを考え、より具体的にイメージをつかめるよう、要所要所に以下のような Memo がついています。
内部監査につき、日本内部監査協会は、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、経営諸活動の遂行状況を検討・評価し、これに基づいて意見を述べ、助言・勧告を行う監査業務および特定の経営諸活動の支援を行う診断業務であるとしていますが、専門家は、こうした業務を担う部署としての internal audit は、間違いを防ぐしくみ作りを担うコンプライアンスをも監査の対象としつつ、間違いが起こらないしくみが実際に構築され、機能しているかをチェックする部署だと捉えています。
★ はしがき
この本は、ビジネス英語のプロとバイリンガルの弁護士が力を合わせながら、仕事の現場で見聞きする法律英語の実際にそくして「ビジネスで使う法律英語」の世界をまとめたものです。
これで何を目指したかと言うと、一つは、ひととおり目を通せば、初めての方でも何が法律英語とされているのかが何となくわかる本です。この見地から、気楽に読み流してもらえるよう、随所に関連知識が広がるメモを盛り込む一方、法律英語に関連したコラム記事を15項目織り込みました。もう一つのねらいは、既に法律英語に触れてらっしゃる方が、「たしか決まった言い方があったけれど、何だっけ」と手に取って下さるレファレンスです。
なお、このように仕事上英語を使う際のツールの一つというのが本書の基本的性格ですから、法律の専門文献とは違っており、項目の選定や表現のあり方なども、法律的な厳密さよりは、雑誌・新聞などのメディアを含め、一般にその言い方がよく使われているか、通りがいいかという視点が優先されています。
この本の出発点は私が慶應義塾大学外国語教育研究センターの設置講座「法律・法務英語」の配布教材としてまとめた基本用語用例集にあります。春学期13回で会社をめぐって出てくる法律英語を、また、秋学期13回で契約書を読みこなすのに必要な英語を過不足なくおさえられるよう資料を整理してできた成果です。
具体的には、会社法の部分については、英米の会社法やビジネスの教科書での言い回しを確認していく一方、監査役など日本独自の会社制度を英語でも語れるよう、内外の弁護士が顧客向けにわが国の会社制度を説明している英文資料から用例を収集しました。一方、契約書編については、自分が法律翻訳に携わっていた当時の契約書を通覧して、「契約書をひとまず読めるようになるためにはどのぐらいのことを知っていればいいのか」という問題意識に立ちながら、どの契約書にも大体出てくる言い回しを中心にまとめました。
ただこの段階での原稿をそのまま出版してしまっては、ひとりよがりで終わってしまいますから、共に一時期、同じ法律事務所に籍を置いていたよしみで、友人の黒柳知佳子さんに応援を頼みました。黒柳さんは、慶應の大学院修了後、司法試験に合格、私が翻訳に携わっていた渉外事務所の桝田江尻法律事務所(現在は西村あさひ法律事務所)に入られ、次いで、渉外弁護士の典型的なコースであるアメリカのロースクール留学、ニューヨーク州弁護士資格の取得をした後、外資系金融機関で社内弁護士をしていたこともあるので、「硬すぎず、柔らかすぎず」を狙っている本書の原稿につき助言を受けるにはうってつけと考えたのです。事実、黒柳さんの助言のおかげで、私が当初考えていた以上のものに仕上げることができ、感謝しています。
なお,なぜ本書PARTI・IIの各例題が208例で構成されているのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。これは、授業での経験から、毎期到達目標としてこの程度のものを掲げ、解説とテストを繰り返して行くのが一番「消化」がいいとわかっているからです。こうした効率的学習法は、本書を手にされる方が、自分に必要なのは何かを再認識し、「使える英語」すなわち会社や契約を語る上で必要最小限の法律英語を身につけて行く上でも同様に当てはまりますので、敢えて変更せず、 基本パターンを208例に凝縮したスタイルでお届けした次第です。
以上を要するにこの本の特色は、第一に、ビジネス英語の守備範囲かという視点から法律英語の単語やフレーズを整理してあるので、必要最小限の法律英語をひととおり勉強したり、確認できること、そして、第二に、日本とアメリカ、両方の法曹資格を持つ弁護士が手伝ってくださったので、水準以上のmのになっていること、この二点にあります。
先に触れたとおり、黒柳さんには多々ご協力を頂きましたが、校正を含め、最終的な文責は日向にあります。特に「箸休め」的なコラムとして挿入されているものは、「日向清人のビジネス英語雑記帳」というブログからの抜粋であり、内容・表現の当否を含め責任はもっぱら私が負っています。
末筆ながら地味なプリント教材を売り物として通用する本に仕立ててくださった慶應義塾大学出版会の田谷、岡田の両氏に、この場を借りてお礼申しあげます。
★ コラム
いわゆる「箸休め」ということで、所々に挿入してあるコラムは全部で16本あり、扱っている内容は以下のとおりです。
1 CompanyとCorporationの違い
2 Co. LtdとIncの意味の違い(1)
3 Co. LtdとIncの意味の違い(2)
4 発行済株式総数:shares issuedとshares outstandingの違い
5 Par value(額面)とは何ぞや
6 執行役と執行役員
7 有名ブランドの見えざる敵:希薄化をめぐる攻防
8 内部統制とは何ぞや
9 and/orという、はた迷惑な接続詞
10 「その他のX」と「その他X」を訳しわける
11 ANDとORをきちんと訳すための大ワザ、小ワザ
12 「何日から何日まで」を正確に言えますか?
13 相殺を英語で言うと?
14 (c)という著作権の表示にはどういう意味があるのか?
15 (R)とTMの意味の違い:商品名の右肩にある権利主張の世界
16 アメリカの裁判所の名前:NY州のsupreme courtは最高裁に非ず
★ さいごに
「法律英語」というマイナーなジャンルに属する出版物だけに、どれだけ売れるのだろうかと気になります。www.amazon.co.jp で様子を偵察すると、おひとりで何冊も法律英語の本を出されているすごい方がいる一方で、総じて、この分野の本は、ランキングから見る限りぱっとしない感じです。しかし、よくよく見ると、法律英語イコール英文契約書という図式もあるようで、それだけに会社関係の法律英語と契約書の英語をバランスよく見渡せる本書はそれなりに評価してもらえるのではないかと期待をかけてしまいます。
お恥ずかしい話で一刷にかなりの誤植を発見しました。手許にこの本をお持ちの場合は、こちらの正誤表をご利用ください。
二刷はすべて直してありますので、本屋さんの店頭ではどちらかをご確認ください。
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- [雑録]
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Comments
日向先生、
この御本、先週末に八重洲ブックセンターとアマゾンで一冊ずつ購入いたしました。
最近、先生の御本は2冊ずつ買って、片方は使い込んで、もう一方をきれいなまま取っておく、ということにしています。
立派な英文をしっかりインプットして、少しでも美しい英語をアウトプットできるように、日々努力していきたいと思います。
ありがとうございました。
[返信]
「ビギナーのための法律英語」がほんとに売られているのだと知り、安心しました。しまも、二冊お買い上げとは。出版社に代わって感謝状をさしあげたくなる話で、私自身からもお礼申し上げます。
自分でもけっこう、本はバラバラにしたり、書きこみまくったりするので、お気持ちよくわかります。また「知識」には know WHATに加えてknow HOWもはいっていると心得ているので、「美しい英語をアウトプット」というくだりに共感をおぼえました。
これからビジネス英文法の本とビジネス英単語の本を出版する予定ですが、2冊ずつ買っていただく価値のある本となるよう、内容の充実に努めます。
- 匿名
- 2007年11月23日 19:46

私は2年前、日向先生のビジネス英語の授業を受けさせていただいていた者です。現在、海外会社とのライセンス業務に携わっていますが、外国との交渉事が多く、先生からいただいたレジュメをフルに活用させていただいてます!!契約書を作成することも多いので、是非この法律英語の本も購入させていただきます!!いつもブログを読んでいるので今後も楽しみにしています!
[返信]
卒業生が授業の成果を活用してくれていることは教師冥利につきます。この本は、外国語教育センターで配布した資料に渉外弁護士が目を通したものなので、安心して使ってもらえるかと思います。ますますのご活躍、期待しています。