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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2008年4月17日

中級用自己診断テスト(CEF準拠)

英語その他の外国語を勉強している人々にとり、初級、中級、上級の区分はおなじみでしょう。ところが、不思議なもので、どこまでが初級で、どこからが中級なのかという境目、言い換えれば、「初級レベルでは無理だけれど、中級レベルだとできるのは何か」という話になると、意外とあいまいなままで済まされています。

そのいい例がこのクラスはTOEICやTOEFLのスコアで言えば何点以上という形でクラス分けしている例です。このブログのTOEIC関連記事で繰り返ししているとおり、TOEICをはじめとする標準テストは英語で何ができるかを測定しているのではなく、本来、受験仲間と比べてどのぐらいなのかをはじき出し、足切りをするためのテストですから、この種のスコアを基準にした初級・中級・上級の区分は私に言わせればナンセンスです。

この点、2001年に発表されたCEF(欧州評議会が打ち出した「ヨーロッパ共通参照枠」)の運用能力指標はすべて「何々ができるか否か」を判別の基準としており、わかりやすく、また、合理的です。

このCEFで言えば、世に言う「中級」は、Level B1 に当たります。CEFは下から 初級のA1, A2、中級のB1、B2、そして上級のC1、C2に区分されていますが、その物差しで言って、下から三番目のレベルです。

今回は、このB1レベルに達していると言えるかを自己診断できるテストを作ってみました。お試しください。

★ B1レベルとはどういうものか?

CEFのB1は、ケンブリッジ英検で言えば PET (Preliminary English Test) に相当し、通常、このレベルに達するには平均して350時間から400時間の学習時間を要するとされています。IELTSでのスコアに置き換えた場合は 4.0前後とされます。

語彙力で測った場合は、最高レベルのC2での語彙が5,000単語とすれば、この自己診断テストがの基準である B1は、3,000単語レベルとされます(すぐ下のA2は2,500単語レベル、すぐ上のB2レベルは3,500単語です)。また、フランス語ならDELF B1、ドイツ語なら Zertifikat Deutsch (ZD)を取得できるレベルです。

B1レベルのコミュニケーションをこなせる人は、その言葉が使われている外国に行った場合、あるいはその国から来た人に出会った場合に独力で最低限のコミュニケーションができるとされていますが、

他のレベルと比較した際の特色としては二点あります。一つは、やりとりを途切れさせずに何とか続けられ、また、自分の言いたいことを伝えられることで、もう一つは、日常生活の中で出会う場面であれば、臨機応変に対処できることです。

具体的にはこういうことです。

A 会話の流れが途切れないようにすることができ、また、伝えたいと思っていることをうまく言うことができる (able to maintain interaction and get across what you want to)

√ 相手の話し方が明瞭で、しかも標準語である限り、やり取りが長くなっても主要な点をおさえながら話に付いて行くことができる
√ 友達との気楽な会話の中で自分の考えを述べたり、人の意見を尋ねたりすることができる
√ 最も強く言いたいことを相手にわかるよう伝えることができる
√ 簡単な表現を種々使いながら言いたいことは大体言える
√ 会話を続けることはできるが、時おり、言いたいことがうまく言えなくなり、そのために相手も理解するのに苦労するような場面がある
√ 明らかに文法を正確に使おうとし、または、言葉を探して、そうとわかる程度はっきりした間が空いたり、言い換えがあったりはするものの、相手がわからなくて困るといった事態を招かずに話を続けられる
√ 文法上の間違いはあるものの、何を言いたいのかがわからなくなるようなたぐいのものではない。
√ 語彙力は、英語であれば、3,000単語前後で、ときには(語彙力不足から)同じ単語を何度も使う場面はあるものの、家族や趣味、仕事など身のまわりのことを話すために十分な語彙力を備えている。

B 日常生活の中で出会う場面であれば、臨機応変に対処できる (able to cope flexibly with problems in everyday life)

√ 交通機関の利用上、日常的とは言えないような状況が生じても対処できる
√ 旅行会社を通じて旅行の手配をしたり、あるいは実際に旅行をしているときにありがちな場面なら大体は対処できる
√ 身近な話題であれば、わざわざ準備をしなくても会話をこなせる
√ クレームをつけることができる
√ 面接などにおいて新たな話を自分の方から切り出すこともできるが、基本的には相手のイニシアティブにことを委ねる結果となる
√ 相手の言っていることがわからない場合に、不明な点を質したり、もっと詳しく説明してくれと言うことができる

比較のため、すぐ上のB2レベルがどのようなものかをまとめておくと以下のとおりです。(先般発表された小池先生(明海大学)のグループがビジネスマン7,000人アンケートをもとにまとめた調査では、回答者の9割がビジネスで英語を使えるようになるにはB2が一つの目標だとしています)

A 効果的に自説を展開できる (a focus on effective argument)
B 相手にふりまわされることなく、一定時間以上の会話を続けることができる (able to more than hold your own in social discourse)
C 言葉に対する感覚がより鋭い (a new degree of language awareness)(誤解が生じていると認識し次第、自分から間違いを正せる。やりがちな間違いを自分でも気をつけるようにし、話しながらも点検を怠らない。自分で気付く限り、ちょっとした間違いでも訂正するよう努める。話の内容を組立て、かつ、相手との関係を見極めながら、どのようにそれを表現すべきかを予め考えてから口に出す)
D 目立つような文法ミスはあまりない上、あったとしても、誤解を生じさせるほどのものではない
E 語彙力は、英語であれば、3,500単語前後で、自分の専門分野その他一般的な話をするために十分なものがある。同じ単語の反復を避けるため同義語を活用できる程度の語彙力があるが、時にはしかるべき単語を探したり、それが間に合わず同じ言葉を繰り返すようなことがある。

ちなみに、このB2レベルは、高校卒業時点までに母語に加えて外国語を二つ習得することを義務づけているEU諸国において、外国語習得の目標とされているレベルです。


__________________________________________________

★ 自己診断テスト

以下62個ある評価項目につき、50以上のYes があれば、B1レベルにあると言えます。


■ リスニング
1. 日常会話の中で、自分に話しかけられているとき、それが明瞭なものであれば、何を言っているかを聞き取れますか? (この場合、多少、聞返すことはあるはずです)  [ Yes or No ]
2. 明瞭な標準語である限り、まわりで何かが話し合われているとき(長めの会話)、主なポイントはわかりますか?   [ Yes or No ]
3. 短い説明を受けたとして、次にどんな話が出てくるかおおよその見当はつききますか?例えば、授業の初日で内容の説明を受けたあと、次は普通、「それでは始めましょう」と来るなと予想がつくということです。  [ Yes or No ]
4. テレビやラジオあるいは映画の中で使われている言葉につき、これは丁寧な言い方だ、これはインフォーマルだといった区別がつきますか?  [ Yes or No ]
5. 自分自身のこと、仕事のこと、あるいは何を目指しているのかといったことにつき細かな質問をされても、わかりますか?  [ Yes or No ]
6. 授業中に、「こちらのグループは手順Aでこういうことをしてください。こちらのグループは手順Bにしたがってこういう作業を」という具合にやや複雑な指示を受けた場合、どうすればいいのかわかりますか?   [ Yes or No ]

■ リーディング
7. 知っている話題についての新聞記事をざっと読んで内容をつかむことができますか?   [ Yes or No ]
8. 学校の規則や市の条例といった正式の文書を読んで、自分に直接関係のある部分を拾いだせますか?   [ Yes or No ]
9. 小説などの文芸作品でも、使われている単語が簡単で、筋書きも込み入ってなければ、読めますか?   [ Yes or No ]
10. 簡単な伝言やビジネス関係の定型的な連絡文書なら読めますか?   [ Yes or No ]
11. 個人的なメールをもらった場合に、相手に返事が出せる程度に、どういうことがあり、相手がどう感じ、何をしたいのかがわかりますか?  [ Yes or No ]
12. 何かの資料を読んだ上、その内容を人に伝えることができますか?   [ Yes or No ]
13. 英英辞典のように訳のない辞典を使って知識を増やしたり、書いたもののが正確かを調べることができますか?   [ Yes or No ]

■ スピーキング:双方向
14. 自分がわかっている話、あるいは関心のある事柄であれば、話を自分から進んで切り出し、話を続け、かつ、しかるべく終えることができますか?   [ Yes or No ]
15. 旅行会社を通じて手配をする場合、あるいは実際に旅行中の場合に出会うことは大体対処できますか?   [ Yes or No ]
16. 電車やバスなどに乗っている場合に機転を要するような事態、例えば、目的地がどこかよくわからないまま、どこで降りたらいいかを他の乗客に尋ねるといったことができますか?   [ Yes or No ]
17. 道順を尋ねたり、少々ややこしい説明を理解することができますか?  [ Yes or No ]
18. 人と話をしているときに、自分の方から新たな話題を持ち出したりして、イニシアティブは取れますか?(ただ、その場合も話が続くようにするには他の人の協力が必要かも知れません)  [ Yes or No ]
19. 驚いた、うれしい、悲しい、おもしろい、興味がないといったことを自分の方から言ったり、相手がその種のことを言った場合にしかるべく応じることができますか?  [ Yes or No ]
20. 自分の知っている話であれば、別に準備していたなくても、話の輪に入っていけますか?  [ Yes or No ]
21. ともだちと気軽な感じでこうだああだと論じながら、自分の意見や判断を言ったり、相手がどう考えているかを尋ねることができますか?  [ Yes or No ]
22. 丁寧な言い方で相手の意見に同調したり、賛成できないと伝えることができますか?  [ Yes or No ]
23. 「どこに行こうか」「何をしようか」という話の際、こうしようと提案できますか?  [ Yes or No ]
24. 自分の考え方や意図を正確に表現できますか?   [ Yes or No ]
25. 自分の仕事など普段どんなことをどのようにしているかを説明し、「面白い」等ひとこと付け加えることができますか?   [ Yes or No ]
26. あまり知らない分野のことでも、聞き方をあれこれと考え、迷うこともなく、質問をすることができますか?   [ Yes or No ]
27. 日本の文化で普通とされていることを他国のそれと比較して話をすることができますか?   [ Yes or No ]
28. 将来したい仕事や勉強の話をすることができますか?   [ Yes or No ]
29. 新聞やテレビで報道されていることを話題に出して論じることができますか?   [ Yes or No ]

■ スピーキング(一方向)
30. 出来事をあまりつっかえることなく、また、順を追って説明することができますか?   [ Yes or No ]
31. 自分が経験したことを、どう感じ、どういう行動を取ったのかを含め、(おおざっぱにではなく)きちんと人に話すことができますか?  [ Yes or No ]
32. 自分の夢や希望を語ることができますか?  [ Yes or No ]
33. 自分の計画や意図していることを理由ともども説明することができますか?  [ Yes or No ]
34. 自分の関心のある分野の中でよくわかっている話なら、さまざまなトピックにつき、「これはこういうことだ」と説明ないし描写することができますか?
35. 本や映画のあらすじを人に説明し、かつ、自分がどう感じたかを言えますか?  [ Yes or No ]
36. 文書の内容をその流れにそって、また「こういう言い方をしている」などと原文を引用しながら、口頭で簡単に説明できますか?  [ Yes or No ]
37. 映画、本または報道された事項につき、あらかじめ原稿を用意して、それを発表することはできますか?  [ Yes or No ]
38. 自分を題材にしたプレゼン(長めの自己紹介)ができますか?   [ Yes or No ]

■ ライティング
39. 学習経過を記録する日記をつける程度の書く力はありますか?  [ Yes or No ]
40. 履歴書に記載すべき事項を英語(またはその他学習中の言語)で書き出せますか?  [ Yes or No ]
41. 自分がわかっている事柄あるいは興味を持っている事柄について、簡単ながらも一般的な展開の順序(時間を追っての説明等)を守っている文章を書けますか?  [ Yes or No ]
42. 旅行など自分が経験したことを学内で配布される資料や仲間内のニュースレターなどの書くことができますか?  [ Yes or No ]
43. 友達や知り合いにメールを送って、近況を報告したり、相手の様子を聞くことができますか?  [ Yes or No ]
44. 個人的なメールなどで、自分が読んだ本や観た映画のあらすじを書けますか?  [ Yes or No ]
45. レターで、悲しみ、喜び、関心、後悔、同情の気持ちなどを表すことができますか?  [ Yes or No ]
46. 自動車の広告や大学案内を見て、より詳しい資料を求めるレターを書けますか?  [ Yes or No ]
47. ファクス、メール等で友人や同僚にごく簡単な事実を報告したり、問い合わせができますか?  [ Yes or No ]
48. 自分の家族のこと、興味のあることなどであれば、たいていのことにつき比較的読みやすい文章を書けるだけの語彙力があありますか?   [ Yes or No ]
49. 自分の関心のある事柄であれば、放送原稿のイメージで簡単なニュースを書くことができますか ?  [ Yes or No ]
50. 広告文のレイアウトを考え、コピーを書くことができますか?  [ Yes or No ]
51. 何か具体的な問題について正式のレターを書くことができますか?   [ Yes or No ]
52. 電話のやりとりをすべて正確に記録できますか?   [ Yes or No ]

■ 語彙力、文法力、発音、状況に合わせた言い方をするスキル、コミュニケーションがうまく行かないときに軌道修正するスキルなど

以下の記述が自分に当てはまるなら Yesにマークしてください。

53. 時には的確な表現を思い出せず、つい似たような言葉を並べてしまうが、自分の家族のこと、趣味、仕事、旅行、時事問題等、たいていの話につき、自分の言いたいことを言えるだけの語彙力がある。  [ Yes or No ]
54. 基本語彙は十分使いこなしているが、込み入った話をするとき、あるいはなじみのない話題だと単語の使い方で大きなミスをすることがある。  [ Yes or No ]
55. 電話、会議など決まり文句の多い状況で使うパターンについては比較的正確に各種使い分けている。  [ Yes or No ]
56. 日本語流の発音になってしまったり、発音自体間違ったりはするが、発音が問題で相手に伝わらないことはまずない。  [ Yes or No ]
57. 自分から質問したり、相手の質問に答える等、社会生活上必要な言葉のやりとりができ、かつ、その状況で一般的に使われる言い方を用いながら、その種のやりとりをこなしている。  [ Yes or No ]
58. 丁寧な言葉遣いをするためのルールがわかっており、かつ、それに従った話し方ができる。  [ Yes or No ]
59. 英語(または自分が学習している他の言語)を使っている人々の習慣、言葉の使い方、ものごとの受け止め方、価値観、主義・信条等が日本人のそれとどう違っているか認識しており、かつ、そういった事柄に関しては注意して観察するよう心がけている。  [ Yes or No ]
60. 相手の言ったことを一部そのまま繰り返したりして、「あなたの言っていることはわかりますよ、聞いていますよ」という姿勢を見せることができる。  [ Yes or No ]
61. 相手の言ったことにつき、意味を確かめたり、もう少し詳しく話してくれと求めることができる。  [ Yes or No ]
62. 言いたいことを言うための単語が即座に思い浮かばない場合、それに近い単純な単語をひとまず使って、「〜ということでしょうか」という相手の手助けを引き出すことができる。  [ Yes or No ]

試作品ですので、だぶっているのではないかといったご意見・ご感想をおよせください。




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Comments

「茶化しコメントで失礼します、と先に言っておきます。」

イギリスで生活するには、「クレームをつけることができる」とか「交通機関の利用上、日常的とは言えないような状況が生じても対処できる」等は、英語のレベルというよりは、無理矢理に押し通してでも何とかやり通せる「心臓」が必要不可欠な条件ではないか、と思ってしまいました!

[返信]

ごもっとも。ただ、こういう can-do statementsをあれこれと考える語学の教師たちはただの「善人」たちですからねえ。

日向先生、ご無沙汰しています。2年ほど前に小学校への英語導入について何度かコメントさせていただいた者です。示唆に富むコメントその後も時折拝見しておりました。

 中国語も始められたようで、CEFR,ヨーロッパ言語ポートフォリオにも目を向けられたようですね。使える外国語という観点での指標として興味深いと思いますし、日本の中等教育(中学、高校。大学の一般教育まで含めてもいいかもしれません)にも参考にすべき点は多々あると思います。先生のおっしゃるように、教育方法論が違っているのですぐには適応できないとしても、学習成果の評価法の一つとして考慮に値すると思います。

 B2ないしB1を中等教育の到達点とするなら、それは即ち能動的な学習能力の獲得ということでしょうから単に外国語能力というだけでなく、少し飛躍するかもしれませんが数学でも社会科でも理科でも保健や家庭科でも同様の評価基準を作ることが出来そうに思います。

 ちなみにフランス語能力のレベルチェックには下記のサイトのようなのがあります;
http://www.ccfj.com/talk/niveau/index.html

[返信]

コメントありがとうございます。英語以外の科目にもCEFの指標のようなものをというお考え、たしかに、can-do で「九九が言える」といったことを目標として設定できますね。

フランス語のレベルチェックのご紹介ありがとうございます。フランス語もドイツ語もみなCEF準拠で語学を語るようになっているのに、英語検定の世界ではCEF準拠のケンブリッジ検定が出遅れているのが残念です。

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