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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2008年7月27日

TOEICを活かしたコミュニカティブ英語の学習法

前回の記事で、TOEICのための勉強イコール英語の勉強と思い込んでいると、本来目指しているはずの英語の習得から外れてしまうおそれがあると書きましたが、今いちど、TOEICのどこが問題かをまとめた上、それでもTOEICを中心に勉強したいという方のため、次善の策としての学習アイディアを提示したいと思います。コミュニカティブ英語という見地からTOEIC教材を料理し直す方法とも言えます。

★ TOEICの問題点のおさらい

これまでなぜTOEICで英語能力を測ろうとするのが問題なのかは過去の記事で様々な角度から取り上げてきましたが、私なりのTOEIC観をご説明すると、こうなります。

第一に、標準テストであるというテストとしての性格上、TOEICは決して英語能力を測定するものではありません。「あなたはどのぐらい英語でコミュニケートする能力があるか」を測定しているのではなく、英語の問題をダシにして「受験した人の中でどのぐらいのランキングか」をはじき出しているだけです。TOEICの世界に集った人たちによるコンテストです。

このことを立教大学の鳥飼久美子先生は「TOEFL・TOEICと日本人の英語力」(講談社現代新書)の中でTOEIC型のテストは集団基準準拠テストに区分されるもので、「ひとりの受験者の成績がパーセンタイル値によって他の受験者の成績と比較される、相対的なものである」と説明されています。

そして、このTOEICを含む集団基準準拠テストは所定の単語や文法事項を会得し、しかるべきレベルに達しているかを測るのには不向きだとされています。それもそのはずで、テスト自体、最初から選別ないし足切りが目的だからです。これをBachmanというテスト理論の世界で知られている専門家はこう説明しています。

NR tests are designed and developed to maximize distinctions among individual test takers, which means that the items or parts of such tests will be selected according to how well they discriminate individuals who do well on the test as a whole and those who do poorly.

集団基準準拠テストは、個々の受験者につき他の受験者との差が最大限際立つよう設計され、開発されるものだ。このことが意味するのは、こうしたテスト上の設問ないし章立ても、全体としていい成績を収める者とそうではない者とをどれだけ明確に区別できるかという見地から選定されるということだ。

第二、人がマークシートでコミュニケートしていない以上、マークシート方式でコミュニケーション能力を測れるはずもありません。自分の考えや意見を相手に伝え、共有する、そして、相手の出方を見ながら、通じていないなと感じたら言葉を補充するなどして軌道修正を図るのがコミュニケーションである以上、こういった作業ができるのかを確認するテストでなければならないはずです。

この点、先に挙げた鳥飼先生は、コミュニケーション能力の要素は文法的能力、社会言語的能力、談話能力、方略的能力の4つだとした有名なカネールとスゥエインの研究を引き合いに出した上、「『コミュニケーション能力』を本格的に判定しようとしたら、以上の要素を組み込んだ試験を実施しなければならないことになる」と指摘されています。

第三に、これが私は一番大事なことだと思うのですが、TOEICは英語における form がわかっているかをテストするにとどまっており、人が form (形式)と自分が伝えたい meaning (意味)とを結びつけてコミュニケートしている実際からはかけ離れたものになっています。この点にこそ、なぜTOEICの達人と言われる人々が実際には英語を使えないケースが多いかの答えがあります。

例えば、神崎正哉先生の「ウルトラ語彙力主義」(IBC)を見ると、TOEICの典型問題として、こういうものが挙がっています。

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(A) complete
(B) completing
(C) completely
(E) completion

この問題は空欄に入るのが形容詞であることがわかっていれば、あとは選択肢の中から形容詞である complete を拾えばいいわけで、要は品詞分類ができれば、英語がひとことも話せない人でもできる問題です。

神崎先生は、問題解説の所で、complete が「完全な、完成した」という意味の形容詞であることを説明された上、用例を示してどういった使い方がされるのかを紹介した上、副詞としての completely、名詞であるcompletionについても同様に丁寧な解説をされています。

これだけやれば、complete とその仲間たちを理解するのに十分です。他のところで completely が出てくれば、即座にそれが副詞であることや、典型的な用例としての I completely forgot. が頭に浮かぶことでしょう。

しかし、問題は、これがすべて英語の form の話であって、決してこれだけでは complete, completing, completely, completion を使って英語を話せるようにはならないことです。というのも、form を使って自分の言いたいこと (meaning) を伝えるという経験をしておかないと、ぱっと口を突いて出てくる域に達さないからです。時間をかければ一つずつ思い出し、それなりのセンテンスを組み立てることもできるでしょうが、それでは相手がいやになってしまい、会話が成り立ちません。「話せる」ことにはならないのです。

★ TOEICを利用したコミュニカティブ英語の勉強

前回の記事では、「TOEICイコール英語という勘違いに陥り、果ては、TOEICを目指して一所懸命勉強すれば、英語でのコミュニケーション能力も高まるはずだと信じこんでしまっている人の多いこと」を指摘しましたが、他面、TOEICの「公用語」が英語である以上、一定以上の英語に関する知識を前提としており、英語がまるでできなければお話にならないのも確かです。とすれば、TOEICの勉強のために触れる言語材料を料理しなおせば、コミュニケーション能力を身につけ、向上させることもできる理屈です。

ただ、そのためには、まずコミュニケーションの要素が端的には accuracy と fluency であることを意識しておく必要があります。ここで accuracy と言うのは、狭い意味では単語力と文法力のことであり、広い意味では、状況に応じた適切な表現を選ぶ能力、フォーマル/インフォーマルを使い分ける能力までも含むものです。言語知識の確かさということであり、上で触れた form を正確に運用する能力です。一方、fluency は、途切れさせることなく会話を続ける能力であり、会話のキャッチボールをこなせる能力です。言語知識の確かさと話を「もたせる」スキルの両方がなければなりません。

学習者の大半は accuracy に関しては実用レベルに達しているはずですので、残る問題は fluency すなわち間断なくやりとりを続けられる力です。これを身につけるには、ともかく、form として知っている単語やフレーズをどんどん自分から使ってみることです。

[追記:コメントを寄せてくださったYuta さんから「中堅大学の学生の実情を知っていますが、残念ながら実用レベルに達していないのが、日本の平均的大学生の実情です。中堅以下の大学の先生とお話したときには学生は「TOEICを受験する学力は持ち合わせていない」と嘆いていました。中学英語の総復習が、その大学の授業の課題だそうです」との報告がありました]

正確に言えば、コミュニカティブな英語を身につけるためには、ただ使えばいいというのでなく、自分の言いたいこと (meaning) を伝えるに当たり、自分が持っている form の「在庫」から必要なものを引っ張りだし、しかるべき形に直した上、相手との会話の場に持ち出すという高度の情報処理が求められます。のみならず、反応が悪ければ、言い換えるといったストラテジー(方略)を使うといった諸々の作業をも瞬時にこなすことが求められます。大変なことです。英語の form を「知っている」だけではらちが明きません。TOEICで990点獲得しているのにろくろく会話が続かないという人がいくらでもいること自体、いかにこれが大変かを物語っています。しかし、欲を言ったら切りがないわけで、ともかくまずは使ってみるという感覚が大事だと思います。

手始めにどうしたらいいかですが、外国人と英語を使って会話し、場数を踏むチャンスがない場合、口に出して読む、書き写すといった form の定着を図る作業よりは、むしろ、 form と meaning を結びつけるシミュレーションを意識して繰り返すほうが効果的です。

具体的には、上で挙げた神崎先生の本の例題を使うとすれば、complete, completing, completely, completion をすべて使った会話例を自分で作ってみるというアプローチがあります。こんな感じのものを作るということです。しかも、会話では瞬発力ないし集中力が問われるので制限時間を10分ぐらいにしておきます。(このように制限時間をきちんと決め、かつ守らないと、またまた英語を対象とする勉強になってしまい、英語の「訓練」になりません)

A: The Board needed the complete list of moronic, insubordinate employees yesterday. Didn't I tell you?
B: I'm completing it as we speak. Oh, and I'm honored that you assigned me to do this.
A: You failed to follow my instructions and you don't understand what this means to you--you're completely removed from reality. Anyway, if you don't see your name on the list upon completion, consider yourself fired.

A: 取締役会が、例の、頭が悪くて指示にも従わない従業員を網羅したリストが欲しかったのはきのうの話ですよ。言ったでしょうが。
B: それなら、ちょうど今進めているところです。それと、この仕事を任せてくださり、光栄です。
A: 指示を守らない上、これが自分にとってどういう意味なのかまるでわかってないな。まるで現実がわかっていないじゃないか。ま、いいさ、完成したリストに自分の名前がなかったら、クビだと思っておきなさい。

神経を集中してこういった作業をすることで、名詞 complete を例に言えば、何かを網羅したリスト、完全なリストは、completing でも、completion でもなく complete list と言えばいいのかと「具体的な場面でこの単語はこんな感じで使うんだな」と、meaning と form の結びつきを実感できます。そして、こうやって用法を身をもって経験した単語やフレーズは不思議なもので、後日、言葉を探すような場面で、頭の倉庫から比較的簡単に出してこれるのです。

ところで、ひとりだと間違っていても気づきませんから、理想を言えば、間違った用法か否かがわかる程度の上級者をまじえてやることです。ときおりコメントしてくださる Steve Kaufmann さん主宰のLingQを利用して添削してもらうのもよさそうです。何であれ、こういう作業を通じて、自分の言いたいことを言うためにどういう言葉をどのように使うかを実感としてつかむことが最大のポイントであり、この繰り返しこそが fluency をもたらしてくれるのです。

また、こうした会話例の創作は、知的にチャレンジングであり、モチベーションの維持に役立つ上、自分で実際に使ってみたことのある単語や言い回しは忘れにくいので非常に学習効果の高い方法です。自分のビジネス英語のクラスでは、こういった方法を実践していますが、この方式を使う前と比べて出席率が落ちないところを見るとモチベーションにプラスであることは明らかですし、また、学習効果も高く、キーフレーズを記憶しているかを問う期末テストでは出席率のいい学生は平均して8割前後をきちんと正解しています。(おそるおそる試してみた法律英語のクラスでも効果がありましたので、この方式は一般的な英語以外の分野でも使えるようです)

以上の会話例作りが静止画的な英語の知識を実際に使える動画的運用能力に転化させるために有効だとすれば、もう一つこの方面のセンスを養うのに有効なのが、海外ドラマのDVDで人のやりとりを繰り返し観察することです。一般市民どうしの標準的なわかりやすい英会話の実態を伝えている海外ドラマなら「フレンズ」が最適ですし、この他、教育のある人たちどうしの会話、つまり小難しい単語や言い回しが頻出する会話を研究し、シミュレートするならマーティン・シーン主演の「ザ・ホワイトハウス」がおすすめです。間を行っているのが「グレイズ・アナトミー」でしょうか。

★ さいごに

TOEICで高得点なのに英会話をこなせないとか、留学経験者あるいは英語教師なのに、きちんとした英会話が続かないといった人たちが世の中おおぜいいます。こういった人たちに共通するのは、一定水準の言語知識はあるのに、コミュニケーション能力がそれに追いついていないことです。linguistic competence と communicative competence とは別ものであり、いくら英語の form の知識があっても、みずからそれを駆使して、その場の状況に合わせて自分の言いたいことを組み立てて言うという経験をし、「そうか、この単語はこう使うんだな」と実感する機会を重ねない限り、まず英語は話せるようになりません。

既存の知識を活かして話せるレベルにまで持っていくには、単語やフレーズを盛り込んだ会話例作りがコミュニケーションの疑似体験という意味で、TOEICの教材ばかり持っている方にとり最善の「リサイクル術」だと思います。そして、1人でやるよりはネット上でもいいから仲間と会話例作りを競ったり、合作をしたりする方が効果的です。

また、海外ドラマでの会話例をキャプション付きで観るのは、単語や構文の実際もさることながら、会話を続けるために不可欠な Indeed, Oh, really. Come again. といった小道具の使い方がわかり、さらに表情や仕草から使っている単語のニュアンスまでわかり、英語を使う人々にとって当たり前のセンスを養うのに有用です。

この機会に是非ご自分のTOEIC教材の「リサイクル」をお考えください。英語を勉強していての手応えが変わってきます。英語の世界も日本語の世界と同様で、静物画ではなく、ムービーであることを再認識されることでしょう。



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Comments

日向先生
素晴らしい記事をありがとうございました。さらには、その中で、「フレンズ」が最適、と言っていただけたこと、また、拙ブログへリンクをはって下さったこと、本当に嬉しかったです。ありがとうございます。

日曜日の朝に、すでにこちらの記事を拝読させていただいていたのですが、あまりの嬉しさにどのようにコメントさせていただいたら良いかわからず、また、今回の先生の記事を、拙ブログで紹介させていただきたい、とも思い、このようにコメントが遅くなってしまいました。申し訳ございませんでした。

拙ブログの最新記事で、こちらの記事について書かせていただき、リンクさせていただきました。なにぶん、舞い上がっておりますので、何か不都合な記述などございましたら、おっしゃって下さいませ。

「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing)もいいですよね。4-19と4-20をテレビで録画して、ネットスクリプトを参考にしながら鑑賞したことがあります。ああいう「教育のある人たちどうしの会話」をモノにすると、どこに言っても恥ずかしくない英語が話せるようになると思います。シリアスな場面でも、ウィットに富んだ会話も出てきて、フレンズのチャンドラーのジョークとはまた違った(笑)、アメリカ人のユーモアセンスを感じることもできました。

時間ができたら、第1話からじっくり研究しながら見てみたい…と思いつつ、そのままになっています。近いうちに是非トライしてみたいと思います。

日向先生も過去記事で、TWWの中の okay について研究されていましたよね。確かにフレンズでも、okay は頻出で、それを全部、日本語の「オッケー」と訳していては、なかなかそのニュアンスがつかめません。その okay のお話は、今回の「Indeed, Oh, really. Come again. といった小道具の使い方」のお話と通じる部分も多いですね。

私も今後フレンズのセリフを見る時に、そういう部分にもっと注目していきたいと思いました。ただ、辞書で調べたらわかる難しい単語よりも、「そういう誰でも知っている単語だけど、この場合、日本語で言うとどういう感じなの?」を説明するのが、実はとっても難しいんですよね?(笑)

いろいろとありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

[返信]

こんにちは。DVDがいいのは会話を「観る」ことができることに尽きると思います。ノンネイティブなら本から雰囲気はつかめることでしょうが、われわれにとっては、DVDでしかわからない non-verbal な要素をそれこそ目で確かめることができ、学習者にとっては宝の山です。

加えて、英会話本ではおよそ取り上げないものの、会話が続くために必須のスキルである話し手どうしのコミュニケーション・ストラテジー(要するに互いに通じているかの確かめあい)をじっくり研究できるので、非常に便利です。

Rach さんのブログは本当に学習者に役立つ内容だと思っていますが、やり取りの説明で終わらせず、もっと、non-verbal な要素や気の利いたストラテジーに焦点を合わせた解説を増やすようにされたら、二冊目のネタにもなり楽しみも増すのではないでしょうか。

日向先生

本記事を読ませて頂き、TOEICで高得点を取るための勉強ではなく、TOEICの教材を使いながら、「実際のコミュニケーションの場で使える表現はないか」と常に日常の場面を想定し、そこに自分を投影していくことの大切さを、再認識できました。

言語習得では欠かせないシミュレーション練習だと感じました。

[返信]

英語道さんのブログを拝見し、高校生たちにも是非、この種のシミュレーションの楽しさを教えてあげて欲しいものだと思いました。

どうぞ今後ともよろしくお願いします。

日向先生

前回も書き込みさせていただきましたYutaです。
私自身、スコア990あるものの、コミュニケーション能力に自信がないので
今回の学習方法を大いに参考にさせていただきます。

>学習者の大半は accuracy に関しては実用レベルに達している

中堅大学の学生の実情を知っていますが、
残念ながら実用レベルに達していないのが、日本の平均的大学生の実情です。
中堅以下の大学の先生とお話したときには
学生は「TOEICを受験する学力は持ち合わせていない」と嘆いていました。
中学英語の総復習が、その大学の授業の課題だそうです。

accuracyを身に付けるにあたっては、TOEICを学習するのは悪くない、
英語の基礎力を身に付けるには適しているのではないか、と思っております。

わたくしのTOEICに対する感想で恐縮ですが、
TOEIC関連の教材を作成していたときの経験を踏まえた
TOEICの学習素材としての利点を述べさせていただきます。

・語彙制限がある
およそ3000語程度で95パーセント以上が占められており、
基本語をマスターすれば問題が解けるようになっている。

・フォーマルな言い回しである
くだけた言い回しは使われておらず、社会的常識を踏まえたやり取りが学べる。

・文化的背景知識は要求されない
ことわざや時事問題の知識が問われることはない。

TOEICテストの性格を理解し、コミュニケーションを意識した学習をしていけば、
試験テクニックなど用いなくても、自然とTOEICスコアが800以上取れるでしょうし、
そのレベルに達すれば、海外ドラマなどに本格的に挑戦すればいいと思っております。

[返信]

ためになる情報ありがとうございます。TOEICのためには中学レベルの英語の基礎力があればひとまず十分という感覚を前提に自分のまわりの学生の学力を思い起こしつつ、学習者の大半が accuracy は大丈夫と思ったのですが、「中学英語の総復習が、その大学の授業の課題だそうです」という現実もあることに驚きました。

一方、たしかにTOEICは英語の form につきその accuracy を高めていく上で有用ですね。TOEICで英語能力ましてコミュニケーション能力が測られるわけではないことを承知し、割り切った上で、つまり、おっしゃるように、「TOEICテストの性格を理解し」た上で、自分のペースメーカーにする一方で、別途コミュニケーション能力を高める練習を心がければ「使える」テストではあります。なにごとも使いようということでしょうか。

「TOEICで990点獲得しているにろくろく会話が続かないという人がいくらでもいる」 とお聞きして 「linguistic competence と communicative competence とは別もの」 ということ納得しました。

この違いで思い出されるのは夏目漱石と『源氏物語』を初めて英訳したArthur Waley です。両者ともLinguistic competence には長けていたがcommunicative competence は夏目漱石に限っていえば英国の小学生にも及ばなかったそうです。

でも、ここでよく考えていただきたいことがあります。漱石が英国に留学したのは1900年(1903年に帰国)。Waleyが源氏物語の英訳をはじめ、それが出版されたのが1921年。 

時移り2008年、インターネットも24時間接続可能、Skypeを使えば殆ど無料で世界の誰とでも話すことができます。 それでもTOEICで990点とっても会話が余りできない現実。

受容スキル、発信スキルよりも何かもっと根本的なもの(スキルでは)が欠けているためではないでしょうか。解は英語会話をものした人に聞けば きっと見つかります。 

[返信]

コメントありがとうございます。「受容スキル、発信スキルよりも何かもっと根本的なもの(スキルでは)が欠けているためではないでしょうか」とおっしゃる点、そんなにむずかしい話ではなく、要は問題意識をもって一定時間以上のexposure を確保することに帰する話だと理解しています。現代のようにネットを使えばいくらでも英語への exposure を確保できる時代でも問題意識がなければ宝の持ち腐れです。

ここで問題意識というのはある言語に特有のパターンを見いだすセンスということですが、これは自分が実際にその言語を使ったときの具体的表現とあるべき表現とのギャップに気づく noticing が前提で、そのまた前提は、しっかりした言語知識の体系です。ということは、文法といった形式的な言語知識が十分しっかりしていないと、せっかく exposure があっても、「あれっ、何か変だな、これでいいのかな」という noticing が起こらず、その結果、問題意識ないしセンスへのフィードバックがありませんから、多読をしようが、英語圏で生活しようが、たいしたことにはならずに終わってしまいます。

日向先生

TOEICを目標にしている学習者にとても役立つ学習法のご提案、ありがとうございます。TOEICの勉強のために触れる言語材料を料理しなおし、コミュニケーション能力を身につけるような練習に変えることを是非彼らに実行してもらいたいと思います。

ご存知のようにTOEICはリスニングとリーディングのみのテストでTOEICのための学習は受容的なスキル(リスニングとリーディング)の習得に偏ってしまします。それでは、コミュニケーション能力は身に付きません。自分で英語を発信するスキル(スピーキングとライティング)が必要です。覚えた単語を使って会話例を作るという方法は発信型スキルの習得にとても有効です。先生の仰るようにformとmeaningの結びつきが強くなり、会話例を作るという作業によって、そこで使った語句が記憶によく定着するはずです。それは受容的なスキルを伸ばすことにも通じ、結果としてTOEICの点を伸ばすことになるのではないかと私は見ています。

今日は全国でTOEIC試験が行われます。私もこれから受けに行きますので、この辺で失礼します。

「ウルトラ語彙力主義」の例文を引用してくださり、ありがとうございました。

[返信]

神崎先生のような影響力のある方にご支持いただき、ありがたいことです。協力して、TOEIC中心になりがちな学習者が袋小路に入り込む前に、楽しい、明るい世界はこちらと誘導してあげたいものです。

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