2009年2月19日
(4)英英辞典:LAAD[後編]
★ 6項目チェック
(1)"agreement" のように可算と(抽象名詞であるがゆえに)不可算とがある名詞について、語義説明や用例からそれがわかるようになっているか
可算である方は、"an arrangement or promise to do something, made by two or more companies, governments, organizations, etc." と説明されていますから、可算と不可算を分ける理屈に照らし、(1)輪郭があり、(2)全体と部分とに分けられ、したがって可算とわかります。例えば第1条から第20条まである売買契約書をイメージすれば、わかりますが、「ここからここまでがその売買契約書で、ここから先はその売買契約書ではない」と言えます。また、契約書自体をばらばらにしたり、また合体させることもできます。
不可算の agreement については、"a situation in which people have the same opinion as each other" という書き方をしていますから、(1)ここからここまでという輪郭が認められず、(2)合意が調っているという抽象的状況につき、全部と部分とに分けることはできまいとわかりますから、抽象的な不可算名詞だと見て取れます。つまり、「合意が調っている状況」のごときは抽象的な観念ですから、「ここからここまで」という輪郭だとか境界など最初から考えることができませんし、ましてや、それ固有の個性がない以上、分解したり、合わせたりなどできないということです。
要するに、こうした問題意識のある限りは、二つの定義を読み比べることで、「なるほどこれは可算」「なるほどこれは不可算」と納得できるのではないでしょうか。
(2)"drunken" のように She is drunken. という格好で使えないものをどう伝えているか
LAAD で drunken の項を引くと、[only before noun] というラベルがあり、A drunken teenager was arrested for vandalism. という例文が入っていますから、× A teenager who was drunken was arrested for vandalism. では駄目だとわかります。
(3)I'd like to explain you how this works. とか、I'd like to suggest you to come tomorrow. のように、動詞の使い方のパターンとしてありえないものをどう伝えているか
まず explain の方は、文中ボールドで explain sth to sb とパターンが明示され、Could you explain the rules to me again. という例文が入っています。OALDが明確に You cannot say "explain me, etc." というふうにコラムまで設けて問題意識を喚起しているのと比べ物足りない感じがします。パターンを見さえすれば、「そうそう、人称代名詞を一緒に使うなら to me という形にしなければいけないんだよな」とぱっと思い出せる上級者向けという姿勢を感じます。いちいち言われないと注意が行かない中級者以下に対してちょっと不親切とも言えます。
"suggest" の方も似たようなもので、suggest doing sth, suggest (that) とパターンを示し、用例もつけている程度ですが、ただ、
→ See Grammar box at RECOMMEND
とあり、そのボックスに行くと、
When you use recommend, suggest, advise, ask, insist, request, and demand with "that," use only the infinitive form of the verb without "to," even if the subject is singular.
と、注意書きがあり、例文が出ています。
どうなんでしょう。OALDのように You cannot "suggest somebody something." という書き方の方が、× I suggest you to come. とは言えないんだとわかっていいのではないでしょうか。他面、recommend や advise などは OALD の場合、ただ用法上のパターンがボールドで示されているだけですから、うっかりミスを防ぎにくいと感じます。recommend, suggest, advise, ask, insist, request, and demand という、このルールが適用される主な動詞をひとまとめにして解説している LAAD のやり方の方が効果的と認められます。
このあたり、LAAD と OALD は一長一短ということでしょう。
(4)"try to do sth" と"try doing sth" のように、不定詞が来るか動名詞が来るかで意味が違うものをどう処理しているか
それぞれボールドでパターンを示した上、try to do sth については、She tried to forget about what had happened. という例を、try doing sth については、I tried calling him, but he's not answering the phone. という例を出しています。たしかに、よく見れば、前者は「〜に努める」というニュアンスが、また、後者は「試しにやってみる」というニュアンスが表れています。
しかし、これはよほどの眼力がないと無理とも言えます。これだけの情報で、以後、問題意識をもって使い分けるよう心がけるものでしょうか。やはり、OALDのようにボックスを設けて、明確にニュアンスの違いを説明した方が learner-friendly と言えそうです。
なんであれ、Random House Webster's Dictionary of American English という地味な学習英英辞典でもこの問題は大々的に扱っているぐらいですから、学習者にいちいち自分で考えて違いをおぼえろというのどうかと思います。
(5)"avoid doing sth" "consider doing sth" のように、動詞を続けるときは動名詞にする必要のある一定の動詞をどう示しているか
これはもっぱら avoid doing sth と用法上のパターンをボールドで示して終わりです。
(この問題、つまり、動詞に続くのが動名詞か TO 不定詞かという問題についてはこちらのバックナンバーをご覧ください。
(6)"moreover" のように、話し言葉で使うと違和感のあるフォーマルな(書き言葉)にしかるべきレッテルを貼ってそのことを示しているか
この点は偉く充実しています。定義の所にも、FORMAL というラベルがある上、わざわざ Usage というボックスを設けた上、こんな格好で類義語と対比しながら、ニュアンスの違いを位置づけています。
• Moreover is very formal:[このあとに例文]
• Also is a less formal way of adding a reason or idea.[このあと、文頭でも、文中でも使えると説明してから例文]
• Besides (that) is more informal and used especially to add a reason.[このあとに例文]
パーフェクトです。この moreover は、前回ちょっと触れたとおり、英語を教えているような人を含め、上級者がどうかすると何でもない会話に使って、ひとり浮いたりするわけですから、LAAD あるいは同じように moreover について言葉で使うなという姿勢を明確にしている LDOCE は、上級者に、特に虚心に耳を傾ける用意のある上級者に特におすすめしたい辞書です。
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初めてコメントさせて頂いています。
これまでの英英辞典についての記事を読んで
LAADを購入しようと考えています。
しかし、CD-Rの有無どちらにするか決めかねています。
CD-Rの活用の仕方で、おすすめのものがありましたら
教えて頂けないでしょうか?
[返信]
ごめんなさい、自分自身、CDは使う機会がなく、なんとも申しあげられません。強いて言えば、Longman Language Activator がおまけで入っている限りは、CD付きの方がお得なのではないでしょうか。