2009年3月13日
OKの研究
今回は、OKの研究です。実は、以前OKの研究:TVドラマ「ザ・ホワイトハウス」に学ぶそのニュアンスの多様性というエントリーで取り上げたことがありますが、まさかこれを授業の配布資料として使うわけにも行かないので、普段の会話に役立つ部分に絞り込んで、まとめてみました。
上で配布資料と言っているのは、4月10日から始まる慶應義塾外国語学校での「ビジネス英単語を使ってみて学ぶコース」で、配る予定のものです。このところご紹介している、Oh, Well, OK を含め、各種ディスコース・マーカーの使い方の資料を配布し、自然な会話例作りに役立ててもらおうと考えています。
この種のディスコース・マーカーは、どういうものがあり、どういう役割を担っているかを知っていることで、相手の話についていくのが格段に楽になりますし、理解も容易になります。一方、みずから要所要所で使って行くことにより、いわば紙の上で句読点を打っていくかのごとく、メリハリがつき、話が自然な感じで流れて行くことを実感できます。ただ、辞書を眺めていてもわかるものではなく、映画やTVドラマを何度も見て、直接触れることによってのみ、その効用がわかる性質のツールだと思います。
ところで、この OK、表記自体、O.K.; o.k.; ok; okay; okey と様々な上、working OKのように副詞として、あるいは、I'm OK. のように形容詞として、はたまた need to get his OK のように名詞としても使われますが、Modern American Usageという本などは "this world-conquering Americanism" (世界を席巻しているアメリカ英語)と形容しているぐらいで、いかにもアメリカ英語という感じのする単語です。ただ、いろいろな用途にこたえる便利なツールだけに、濫用の危険もあるわけで、The Columbia Guide to Standard American English も、相手の同意を求めてやたら使うのは避けよとした上で、場合によっては、若者の会話にありがちな、一種の チック(目をしばたたくなど、無意識に繰り返されるクセ)だとまで言っています。
話し手が使うOK
「わかりますよね」と言うためのOK
A: The solid line represents Product X and the dashed line indicates Product Y. OK? B: OK.
A: So, I’m not saying that this is the best material for our product. It’s the second best choice but is the most cost effective one. OK? B: Hmm. OK.
MEMO 何かを説明しているときに、「わかりますよね」「わたしの申しあげていること、わかります?大丈夫ですよね?」と念をおすときに使う OK です。
A: Can I use my annual leave to attend a funeral? B: You need to speak to someone in HR. A: Oh, HR. I’ll do that. B: OK. Anything else?
MEMO 上の例のように、相手の質問に答えた方が、「ま、そういうことなんだけど、いいかな」という感じで使うのも一つの典型例です。
聞き手が使う OK
「なるほど」「わかりました」「了解」と言うOK
A: How do I go about requesting annual leave? B: You need to submit a leave request to your supervisor. A: OK.
「場面転換」のための OK
A: I can’t locate the post office on this map. B: OK. This place here is the post office. A: OK. What’s that huge space beside the post office?
MEMO ここでは一つの話から別の話へと局面を転換するときにOKが使われています。二つの話の架け橋のような役割を担うということです。ミーティングでの司会役が次の話題へと移るときにもこの種のOKが使われます。例えば、OK. That’s all for Item 2. Right, then, we move on to Item 3.
「終わりに近づいていることを確かめあう」OK
A: Well, anything else I can help you with? B: That’s all I need to know right now. Thank you. A: OK. B: OK.
MEMO これは「しめくくるための」OKと言えます。「じゃあ」という感じになります。ときには、この種のOKは「さようなら」「じゃあ、また」といったセリフと組み合わさって、別れ際に連発されたりもします。例えば、
A: OK. Thanks a lot. B: It’s nothing. OK. See you. A: Take care. Thanks for your advice. B: OK. See you. A: OK. Bye.
ただ、ここまで頻繁に OK を使うのはやっぱりアメリカ人だよなというのが個人的感想です。イギリス人でOKを乱発する人に会ったことがありません。今のところ。
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- »いちろうのアメリカ生活は快適だ: 英語のモジュール、オヤジ編------「君ィ、いいかね?」「はいはい。大丈夫です」の”OK.” - 2009年3月14日 08:21
当方の周り(アメリカ)では、“OK”(”Okay")という言葉ほど実際の会話に使われる言葉は無いでしょう。念押しの時の「いいですか?」の”OK?”...
Comments
日向先生
いつもためになる記事をありがとうございます。
英語学習者は、まずはどうしても見た目が難しい単語、見たことのない単語の意味を調べることに力を注いでしまいがちですが、会話での話者の意図を理解するのに、このディスコース・マーカーのニュアンスを理解することは非常に大切ですよね。今回の一連の記事のように、整理してまとめていただけると、とてもありがたいです。
今回の OK は、日本語で「オッケー」と使われることがあるために、日本語訳をつける時に逆に困ってしまいます。実際、ブログを始めた頃の私は、とりあえずオッケーと訳しておこうか、みたいな安易な考えで、実際のニュアンスはDVDを見て汲み取って下さい、と言わんばかりのいい加減な訳だったのですが、日向先生がこちらのブログでディスコース・マーカーのお話をいろいろとして下さるようになってから、私なりに注意を払えるようになりました。(それでもまだまだ、本当のニュアンスを醸し出す訳を作るのは難しいのですが)
ドラマのセリフは、人が考え考え話している様子をリアルに描写するために、文章がダラダラ続くことが多いです。自分の意見を相手に話している時に、合間合間に、「だろ? そうだろ?」と確認を入れる、つまり「念をおす」感じで、..., okay? という形で入ることも多いですね。上の記事にあるように「相手の同意を求めてやたら使」っているようなセリフもよく出てきます。自分の言っていることが自分の独りよがりの意見ではない、ということを示し、相手を自分のペースに巻き込もうとするような感じもします。
先生の「ビジネス英単語を使ってみて学ぶコース」、非常に面白そうですね。大阪から新幹線を使って通うわけにも行かず(笑)、参加できないのが大変残念なのですが…。
その分、先生のブログでいつも多くのことを学ばせていただき、心より感謝しております。(物理的に距離が離れていることを忘れさせてくれる、このブログというツールにも感謝しつつ)
これからの記事も楽しみにしています。
[返信]
「フレンズ」のようなシットコムだと時にはひどくたくさんOKが出てきて、訳にも困ることでしょうね。しかも、プロの脚本家がやっているわけで、ひとつとして漫然と使われるOKなどないわけで、いっそう翻訳が大変だとお察しします。でも、その分、このOKは「あれ」であのOKは「これ」でと訳し甲斐もありそうです。
ドラマのせりふは「だらだら」というふうに見えるものの、実はわれわれ自身、日常会話では「だらだら」やっているわけで、その分、逆に訳がむずかしいということもあるのかも知れません。
- Rach
- 2009年3月14日 11:48
日向さん、今晩は。
当方のエントリーのトラックバック受付、ありがとうございます。
このOK。アメリカ(当方の周り、中西部)では結構なレベルまで使われています。会社のマネジメントレベルのみならず、ラジオのトークショウ、国会議員のインタビュー等でも使われています。決してストリートイングリッシュではないようです。
結論を先に持ってきて、はっきりさせながら話す英語。言外の理、暗黙知を当然とする日本語とはかなり様子が違います。
慣れるとなかなか便利な用法です。
[返信]
こんにちは。ごぶさたしています。おっしゃるとおり、なかなか便利な小道具である反面、実に様々なニュアンスで使われるので、場数を踏む必要があり、そのあたりが学習者泣かせなんだろうなと思います。
考えてみるとOKは、mビジネスの場で重宝されており、そのせいか、普通のイギリス人より、ビジネスに関わっているイギリス人の方が多用する傾向があるような気すらします。
- いちろう
- 2009年3月14日 10:00

日向先生、
OKという本当に基礎的な言葉についてのエントリー、ありがとうございます。アメリカ人はたくさん使うのを聞きます。
以前、Okayed(?)というふうに、動詞みたいにして使われているのを聞いたような気がするのですが、そういう使い方もあるのでしょうか?He Okayed me for leaving early のように、OKしてくれた。というニュアンスだったような気がするのですが、動詞にもなるのですか?
[返信]
本文でもちょっと触れたとおり、動詞としても使います。MacmillanあるいはLongmanであれ、OKの項をご覧になると、動詞、名詞、形容詞、間投詞として使われることがわかります。