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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2009年04月06日

ミサイル発射を報じる英文記事の語彙水準

北朝鮮によるロケット発射を報じるニューヨークタイムズの記事を読んでいて、これは2,570単語レベルでは歯が立ちそうもないなと気づきました。

こんな言い回しが出てきます。

launch a rocket (ロケットを発射する)
propel a satellite into space (衛星を宇宙に打ち上げる)
capability to shoot a nuclear warhead on a longer-range missile(核弾頭を搭載した長距離ミサイルを発射する能力)
payload + land(搭載物が地上に落下)
enter orbit(軌道に乗る)
debris + fall(残骸が落ちる)
place a satellite into orbit(衛星を軌道に乗せる)
put a satellite into orbit(衛星を軌道に乗せる)
thrust the satellite into orbit(衛星を軌道に進入させる)
remain on orbit(軌道にとどまる)
deploy interceptor missiles(迎撃ミサイルを配備する)

ご覧のとおり、ことの性質上、宇宙関係、軍事関係の言葉が並んでおり、決して基本単語の範囲とは言えません。例えば、目についた単語が英語の世界の頻度順でどのぐらいかをwordcountでチェックすると、こういう結果でした。

rocket   9818
ballistic   22996
missile   7748
payload   46457
orbit    8954
satellite   4963
warhead   38592

頻出順位が低い、low-frequency words という奴がやたら多いわけで、当然、ことの反面として、基本単語の占めている割合が低いんだろうなと思い、Vocabulary Profilerでこの記事での使用率をチェックしてみました。結果は、次の表にあるとおりで、案の定,「やさしい英語ではない」ことがわかります。

NYTarticle.jpg

[表の見方:最頻出上位1,000番までの単語がブルーのK1 Words (1-1000)、つぎの1,001から2,000番までの頻出単語がグリーンのK2 Words (1001-2000)、黄色の AWL Words がアカデミックボキャブラリーです。]

要するに基本単語をマスターしている程度では、7割程度しかわからないということであり、前回や前々回の記事で紹介したブッシュ大統領の演説やブラウン英首相のスピーチのように、9割かたわかるというわけに行きません。

なるほど、ひとまず所定の2,570単語をマスターしておけば、英語の8割から9割はカバーできます。これはたしかです。しかし,問題は、残りの部分です。

人が使う英語のボキャブラリーは、おおざっぱな話、頻出順位2,000番までの基本単語が80%、アカデミックボキャブラリーが10%、今回の宇宙・軍事用語のような専門用語が5%、低頻出のその他の単語が5%という構成になっているとされます。となれば、まずは2,570単語をマスターし、次いで、自分の専門ないしは興味のある分野のボキャブラリーをチェックし、最後に、低頻出語彙に取り組むのが、ボキャブラリーの「ポートフォリオ」をきっちり構築するための道筋でしょう。

いずれにしても、低頻出語彙にどう取り組むかが悩むところですが、自分の経験では、「新語」に出会うつど辞書を引いて記憶に取り込む方法より、予め「よく使う」低頻出語彙にどういうものがあるかをチェックし,そういったものはきちんと間違えなくなるまで学習しておく方が効率的です。具体的には,以前にもご紹介した、Word Power Made Easyや30 Days to a More Powerful Vocabulary といったボキャビルもののペーパーバックスが入手しやすいし,安いしてお勧めできます。

また、SATも低頻出語彙のひとつのベンチマークとして有用です。ですから、SATの練習問題を繰り返し解いたり、親戚筋のTOEFL用の練習帳を解くという方法があります。しかも、SATはアメリカの高校生にとり人生の一大事ですから、オンラインのリソースも充実しています。例えば、このサイトのクイズは、問題を10題ワンセットか25題かを選べたり、1題当たりの制限時間を30秒にするのか60秒にするのかを設定でき、いい感じです。注意してネットを探せば、新種のものが次々出ていますから、こういう小道具でモチベーションの維持ができるというものでしょう。

なおSATに出る単語は、こちらに意味も説明してある単語リストがあります。上の方のボックスに「大学レベルの5,000単語」と大々的に打ち出しているのはいいとして、泣かせるのがこのコピーです。

Speak and write with an Ivy-League vocabulary!

ただ、こういう即効性をねらった学習法の弱点は、目にしたときにわかるという程度で終わってしまい、なかなか自分からぱっと使えるレベルに達せないことです。したがって、きちんとコミュニカティブな英語をマスターしようというのであれば、Elementary から Advancedまでの4種類で10,000弱のボキャブラリーを各分野にわたってバランスよく勉強できる、ケンブリッジ出版の Vocabulary in Useというシリーズが確実です。商売がうまいとも言えますが、このシリーズ、対応する形で、Test Your Vocabulary in Use というシリーズが出ていますので、自分だったら、同じ問題集を3冊買ってきて、記入しては間違えなくなるまで繰り返しやります。やっぱり千本ノックはのちのち物を言います。騙されたと思ってやってみてください。


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Comments

こんにちは。2570単語の外にある単語たちですか。

でも実際の生活ではsatelliteやrocketはとても頻繁に耳にする単語です。前者は天気予報や通信衛星関係、さらに支局とか言いたいとき。
後者は
It doesn't take a rocket scientist to know it.
一時はやった表現が今でも使われています。
payloadは航空機、コンピューター関係でも見聞きしますね。
軍事関連の単語はニューズを話題にする時以外の日常会話で、自分から口にする機会はめったにないですが、新聞やTVで認識する単語としては必要なものたちです。

大統領、首相といった政府要人の演説は国民一般に広く理解してもらうために、2570単語で90%+が理解できるように平易な言葉が使われているように思います。
あまり平易に過ぎるとtalk downしていると批判されますので、
時々big wordを混ぜて格調を保ったり。(シニカルでごめんなさい)

逆にCNNやPBS (Public Broadcasting Station) の番組は視聴者の層に合わせた英語が使われますので、日本に住みながら2570単語以上に頻繁に触れるにはCNNは便利だと思います。どちらの局も視聴者には高学歴者が多く、USの一般的な視聴者ではないです。ラジオのNPR (National Public Radio) も同様です。
科学関係の用語はDiscovery とかNational GeographicのTV番組が見れるようでしたらお勧めです。出版物も同様です。

今回の記事の22%+をしめる、使用頻度の高い単語リストに入っていない単語すら、USのニューズではかなり普通に耳にするので、英語学習者にとってヴォキャ・ビルの励みになると思います。

[返信]

ありがとうございます。ネイティブの語彙水準はだいたい20,000前後というのが定説ですが、だからと言って、学習者がその真似をする必要はなく、5,000前後のレベルで用はおおかた足りるともされています。たしかに、テレビニュースの95%を理解するのに必要な語彙水準を調べた研究によるとCNNが5,144単語レベルで、ABCが4,953ですから、そうかと納得もします。

ただ、問題は、5,000だとして、2,570単語との差を埋めるのがどれとどれなのかということだと思います。ただ、SAT用のものを含め、vocabulary buildingがこの差を埋めているのはたしかなので、おしゃるとおり、ニュースに出るたぐいのはきちんとやっておく必要があるなと同感です。4/9のエントリーで取り上げる credentials などもそのたぐいの単語ではないでしょうか。

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