2009年4月27日
話し言葉にも登場する「社会人のコアボキャブラリー」
連載企画を始めた、「社会人のコアボキャブラリー」は、専攻科目を問わず大学の教科書に頻出する単語を集め、570ワードファミリー(派生形や活用形を整理し、除外して数える単語数)に絞り込んだものですが、ことの性質上、基本的には書き言葉です。ところが、やはり大卒社会人にとっては、コアボキャブラリーですから、話し言葉でもそこそこ登場します。しかも、そこでのコンテンツにおいて鍵となっている単語として使われているのが通例で、これがわかっていないと、なんだかモヤがかかったような状態になってしまいます。
そこで「社会人のコアボキャブラリー」が要所要所で使われていることを実感していただくために、今回は、オバマ大統領が先般、トルコを訪れた際に開かれた対話集会でのやり取りを素材にしてみました。

ちょっと演説っぽくもなりますが、当然、話し言葉の世界です。
対話集会の映像はこちらです。また、そのスクリプト(録音から起こしたテキスト)はこちらです。
まずは、以下の単語から選びながら,文中の空欄を補充してみてください。approachのように二カ所にはいるものは二つあります。同様に,issueも 三度登場します。やりやすいように、最初の1文字はヒントとして空欄に残してあります。
approach, approach, diverse, fundamental, integrate, issue, issue, issue, occurs, policy, so-called, source, ultimately
Student: In one of your interviews you said you want us to be a member of the European Union. But after that Nicolas Sarkozy said it's not yours, it's European Union decision. Now [what] I want to ask you [is] that what is your opinion and why Nicolas Sarkozy said that? Is that because he's more likely to support the s_________ Armenian genocide?
学生:インタビューのどれかの中で、トルコにEUに加盟して欲しいとおっしゃっています。ところが、その後、ニコラス・サルコジがその判断はアメリカがするものではなく、EU の決定事項だと言っています。そこで質問ですが、この点、どうお考えですか。またサルコジはなぜあんなことを言ったのでしょう。あるいは、いわゆるアルメニア人虐殺問題について同情的立場に立場に傾いていて、ああいうことを言ったのでしょうか。
President Obama: You know the...I do not think... well, first of all, it's true, I am not a member of...the United States is not a member of the European Union so it's not our decision to make. But that does not prevent me from having an opinion. I mean I notice the Europeans have had a lot of opinions about U.S. p_________ for a long time, right? They haven't been shy about giving us suggestions about what we should be doing, so I don't think there's anything wrong with us reciprocating. That's what friends do—we try to be honest about what we think is the right a_________.
オバマ大統領:おわかりでしょうが・・・私にはそうは思えないわけ・・・いや、まずはですね、たしかに私は・・・アメリカはEUの加盟国ではありません。したがって我々が判断すべき問題ではありません。しかし、だからと言って、私が意見を持てないというものでもありません。どういうことかと言えば、これまで長いこと、ヨーロッパの人々はアメリカの政策についてあれこれと言ってきました。そうですよね。こうしたらどうかと我々がやっていることについて遠慮なくものを言っています。そこでこちらからもお返しに何か言ってもおかしくないというのが私の考えです。友だちというのはそういうものでしょう。取り組み方として何が正しいのかについて互いに正直に言うわけです。
I think it is the right a___________ to have Turkey join the European Union. I think if Turkey can be a member of NATO and send its troops to help protect and support its allies, and its young men are put in harm's way, well, I do not know why you should also not be able to sell apricots to Europe, or have more freedom in terms of travel.
私は、トルコがEUに加盟するのは正しいことだと思います。思うのですが、トルコがNATOの加盟国として自国の軍隊を同盟国を守り、支援するために派遣し、若者たちを危険にさらしている以上、ヨーロッパ向けにアプリコットを売ることができず、自由な行き来が制限されているというのは理解に苦しみます。
So I think it is the right thing to do. I also think it would send a strong signal that Europe is not monolithic but is d________ and that that is a s________ of strength instead of weakness. So that's my opinion.
そこで加盟を認めるのは正しい道だと思います。同時に、ヨーロッパが均質の一枚岩ではなく、多様性を持っていることを世に知らせると共に、そのこと自体、弱さではなく、強さをもたらすものです。私はそう考えています。
Now, President Sarkozy is a good friend and a good ally. As I said, friends are going to sometimes disagree on this. I haven't had a lengthy conversation with him about his position on this i_______. My hope is, is that as time goes on and as trust builds, that this is u________ something that o______.
次にサルコジ大頭領ですが、彼とは友人であり、また、心強い同盟を結んでいます。さきほども申しあげたとおり、友だちというのは意見を異にしたりするものです。この問題について時間をかけて彼と話し合うといったことはしていませんが、希望したいのは、時間が経ち、信頼関係がより確かなものとなるにつれ、最終的には加盟が実現することです。
I don't get a sense that his opposition is related to the Armenian i_____. I don't think that's it. I think it's a more fun___________ i______ of whether he is confident about Turkey's ability to i__________ fully. But you'll probably have to ask him directly. So maybe when he comes here, he'll have a town hall meeting like this one.
彼の加盟反対という立場がアルメニア問題と関連しているとは受け止めていません。そうだとは思えないのです。おそらくは、彼から見て、トルコが完全にヨーロッパと一体化し、融合できる能力があると自信をもって言えるのかという、より根本的な問題でしょう。しかし、これは本人に聞かねばなりません。こちらに来たときに、これと同じような対話集会を開くこともあるのではないでしょうか。
正解は
support the so-called armenian genocide
opinions about U.S. policy
about what we think is the right approach
I think it is the right approach
but is diverse
that that is a source of strength
about his position on this issue
this is ultimately something that occurs
related to the Armenian issue
a more fundamental issue of whether
Turkey's ability to integrate fully
このやり取りの部分だけを抜いて、語彙水準の種別に応じての使用度を分析してくれる Vocabulary Profiler にかけてみました。下の表で AWLと表示されている単語が「社会人のコアボキャブラリー」です。(チャートはVocabulary Profilerを使って生成しました。転載につき制作者の Tom Cobbさんの許諾を受けています)

ご覧のとおり、ブルーとグリーンで示されている基本2,000単語がわかっていれば、単語的には、87.68% 理解できる理屈ですが、ワードファミリーで数えて10個 (so-called, approach, policy, diverse, source, issue, ultimately, occurs, fundamental, integrate) 登場する「社会人のコアボキャブラリー」は表にあるとおり、延べ語数ベースで考えると、出てくる割合は 3.08% だからたいしたことがなさそうですが、重複をカウントしない「異なり語数」はここでは172単語であり、したがって、異なり語数ベースで見た登場の割合は 6% にもなります。しかもここぞという所で用いられており、中には approach や issue のように繰り返し出てくるものがあり、上の練習問題からわかるとおり、コアボキャブラリーを知らないと非常につらい、いや、わからないということになります。わかっている場合の効用はおわかりのとおりで、単語ベースでは、オバマ大統領の発言内容の9割を理解できるのです。
ちなみに、このやり取りの中で登場する「基本単語+社会人のコアボキャブラリー」の枠組み外の単語は、固有名詞を除くと、以下のとおりです。
allies
ally
apricots
genocide
interviews
monolithic
opposition
reciprocating
troops
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