2009年5月13日
(1)ケンブリッジ英検のライティング
ケンブリッジ英検のライティング・テストをシリーズでご紹介します。ひとまずヨーロッパ共通参照枠 (CEFR)のB2に相当する、FCE (= First Certificate of English)での要求水準に焦点を合わせて、どの程度のスキルが求められているかを見ていこうと思います。[B2レベルの内容については末尾で説明します]
幸い、実施団体である Cambridge ESOL から許諾を得ましたので、公表されている受験生向けと教師向けの参考資料から引用しつつ、試験の実際に即して、どういうことをどの程度書けば合格するのかを考えてみます。
CEFRのB2というレベルは、何語であれ、この程度できればヨーロッパの大学が留学生として受入れてくれることもある最低線(通常は C1 以上)を示しており、その意味で、教育のある人間に求められる必要最小限の言語運用能力のあり方を提示しているとも言えます。逆に言えば、この程度のライティングができないと大学の勉強についていけないということでもあります。
この FCE 全体は、20%ずつの配点となる、リーディング、ライティング、文法/語彙力、リスニング、スピーキングの5科目から成っており、その中で、ライティングは1時間20分と最大の長丁場です。
ライティングは Compulsory と形容される Part 1 と、ジャンルを選択して回答する Part 2 から成っています。
Part 1 では、250ワード程度の文面を読んで、返答に盛り込むべきポイントを的確におさえながら、回答案をの中で構成していく必要があります。回答自体は 120-150ワードという量になります。
このレターをご覧ください。これを読みながら、受験生は、コメントしてあるような形で要点をおさえ、自分の回答に盛り込む用意をする必要があります。
From: Sara Martins
Sent: 15th March
Subject: RestaurantYou remember how Alex and I have always wanted to open
a restaurant – well, we’re going to do it!We want to serve food from different countries in our
restaurant so we’re planning to travel around to collect
some ideas. We want to come to your country. When is the
best time to come? ← ここを読んで、「いつがベストなのか、その理由は何か」を書く必要があるなとチェックしておきます。We want to find out what people cook at home every day.
What’s the best way for us to do that? ← ここでも、自分なりに回答をまとめておく必要があります。We’d also like to go to some local restaurants which serve
traditional food. Can you recommend one? ← これも回答に盛り込む点です。When we open the restaurant in July, we’d like you to come.
Will you be free? ← 簡単にイエスと言ってもいいものの、「実は、海外旅行など、こうこうこういう理由があって残念ながらうかがえない」と回答した方が実力をいわば見せつけるチャンスとなり、加点を期待できます。Reply soon.
Sara
Part 2 は、次の中から選択して書きます。順次選択肢を見て行きましょう。回答は求められる形式に従って 120-180ワードと指定されているので、自分なりに何度も作文をして、慣れておく必要があります。
You have seen this announcement in an international magazine.
MY FAVOURITE TEACHER
Tell us about a favourite teacher of yours and say what you remember about him or her.
We will publish the most interesting articles next month.
↑ これを読んで、自分なりにミニエッセーを書くという課題です。
You recently saw this notice in an English-language magazine called Theatre World.
Reviews needed!
Have you been to the theatre recently? If so, could you write us a review of the play you saw?
Include information on the characters, costumes and story and say whether you would recommend the play to other people.
The best reviews will be published next month.
↑ この選択肢は評論文を書くという課題です。あとでサンプルを研究しますが、評論文というのは独特のスタイルがあるので、それに合った書き方をしなければなりません。
Your teacher has asked you to write a story for an international magazine. The story must begin with the following words:
Anna had a very special reason for getting up early the next day, so she set the alarm for 5 am.
↑ ストーリーというこれまた一つの独特のジャンルをこなせるかが問われています。ここでは当然 special reason が何かを次の行で書いていくことになるでしょう。きちんとした development がわかっているかのテストという側面もあります。
最後の選択肢はちょっと変わっていて、予め指定書を読んでおいた上で回答することになっています。
Answer one of the following two questions based on one of the titles below. Write the letter (a) or (b) as well as the number 5 in the question box on the opposite page.
(a) The Citadel by A.J.Cronin
This is part of a letter from your English-speaking penfriend.
We are reading The Citadel in class. Didn’t you say you’ve seen the film? What do you think of the main character, Andrew Manson?
Write a letter to your penfriend, giving your opinion. Do not write any postal addresses.
↑ The Citadel を読んでおり、Andrew Manson の人物につき自分なりの意見、感想を持っている人に対して、それを相手へのレターに盛り込めという課題です。
(b) Round the world in 80 days by Jules Verne
Phileas Fogg and Passepartout are very different characters. Which one do you think enjoys the journey most? Write an essay saying who you think enjoys the journey most and why.
↑ こちらはレターにではなく、エッセーという形で自分なりの読後感を伝えよということです。
これでひとまず FCE のライティング・テストがどのようなものか大枠がおわかりになったかと思います。最大のポイントは言いたいことをきちんとした筋道で150ワード前後に収めて表現するスキルです。
次回以降、Cambridge ESOL が示している模範答案を研究して、要求水準を具体的に見きわめていく予定です。ケンブリッジ英検、次の回は6月半ばと承知していますが、FCEから上のレベルを受験される方の追い込みに役立てばうれしいことです。
注記:CEFRのB2レベルについて
1人で英語圏を旅行できる程度と形容される B1 レベルに対して、B2では以下のスキルが付加されます。
A 効果的に自説を展開できる (a focus on effective argument)
B 相手にふりまわされることなく、一定時間以上の会話を続けることができる (able to more than hold your own in social discourse)
C 言葉に対する感覚がより鋭い (a new degree of language awareness) すなわち、誤解が生じていると認識し次第、自分から間違いを正せる。やりがちな間違いを自分でも気をつけるようにし、話しながらも点検を怠らない。自分で気付く限り、ちょっとした間違いでも訂正するよう努める。話の内容を組立て、かつ、相手との関係を見極めながら、どのようにそれを表現すべきかを予め考えてから口に出す。
D 目立つような文法ミスはあまりない上、あったとしても、誤解を生じさせるほどのものではない
E 語彙力は、英語であれば、3,500単語前後で、自分の専門分野その他一般的な話をするために十分なものがある。同じ単語の反復を避けるため同義語を活用できる程度の語彙力があるが、時にはしかるべき単語を探したり、それが間に合わず同じ言葉を繰り返すようなことがある。ちなみに、このB2レベルは、高校卒業時点までに母語に加えて外国語を二つ習得することを義務づけているEU諸国において、外国語習得の目標とされているレベルです。また、先般発表された小池先生(明海大学)のグループがビジネスマン7,000人アンケートをもとにまとめた調査では、回答者の9割がビジネスで英語を使えるようになるにはB2が一つの目標だとしています。
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初めてコメントさせて頂きます。
本当にタダで読んでいいのだろうか?と思う程、毎回充実した学習材料を届けて頂き、読者の一人としてとても感謝しています。
私は現在ロンドン在住で、今年の3月にFCEを受験し、来月CAEを受験する予定の者です。次回以降、日向先生からライティングに関するポイントをご教示頂けるとあって、とても楽しみにしています。
実は、この前FCEの合格通知をもらったのですが、ライティングの評価だけがとても低く、"under border"でした。
こちらの語学学校で、ケンブリッジ英検対策コースを受講していたので、part1、2(私はミニエッセーを選択しました)共に、基本的にはregisterやorganisation、cohesion等、大きくズレていなかったのではないかと自分では思うのですが、得点には結びつかなったようです。
使用する単語も、phrase of verbよりもできるだけ一単語(?)を使うようにしたり、even if / unless /despite ofなどの接続詞を効果的に使うなど、注意したつもりだったのですが・・・。
最終的には、書いた内容が採点者の心を掴まなかったということなのでしょうか。
来月CAE受験を控えていますが、ライティングに対する自信を無くしてしまったので、次回以降の先生からご教示頂けるポイントを参考にさせて頂き、準備をしたいと思っています。
[返信]
FCE合格、おめでとうございます。FCEのライティングでの判定基準は、generally effective command があるかということであり、公表されているとおり、以下がチェックされます。
• Can write on familiar topics.
• Shows some ability to use stylistic devices such as variety
and appropriacy of vocabulary and idiom though not always
appropriately.
• Can communicate clearly using extended stretches of
discourse and some complex language despite some
inaccuracies of grammar and vocabulary.
• Can organise extended writing which is generally coherent.
ご本人が納得が行かなくても、専門家のチームが判定した結果、上の要件を満たしていなかったがゆえに基準に満たないとされたのでしょう。
気になるのは、phrasal verb のことを "phrase of verb" と書かれているという具合にディテールに対する注意不足です。ご自分ではきちんとやられているつもりでも、客観的な作文としては減点材料があったのではないでしょうか。
あと、日本の作文教育と異なり情緒的な採点はしませんから、「書いた内容が採点者の心を掴まなかった」ということで得点できないということはまずないと考えます。きちんと筋道のとおった書き方をすれば、内容的には平凡でも合格点は出るはずです。
そのためには、ネットを含めて、作文例の実際に触れることではないでしょうか。今回のシリーズも学習者さんのお役に立てると思います。
あと、www.vantagelearning.comを初めとする、コンピューターの自動採点でライティングを繰り返し練習するという手もあります。