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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2009年8月18日

(続)TOEICこぼれ話

先週から始まったジャパンタイムズによるTOEIC特集の連載が、ここに来て、立花隆の田中金脈追及劇のような厳しい姿勢に転じています。きょう、オンライン版に掲載された記事は、タイトルからして、

Where does the money go?

と、ストレートです。 "the money" という言い方は "that money" と同じですから、「あれだけの、あのお金、果たしてどこに流れて行くのか?」というトーンの見出しです。

そしてその下に、

Nonprofit IIBC takes in ¥8-9 billion annually from English test fees (非営利法人 IIBC の英語検定料収入は年間80-90億)

とあります。財団法人の年当たり平均所得はおよそ6,000万円だそうですから、TOEICの80とか90億というのは「すごい」としか言いようがありません。しかも公益法人だということで税制上も優遇されます。いずれにしろ、この時点で、何で非営利の公益法人がこんなに稼ぐんだと思わせるよう仕向けています。うまい見出しです。

TOEICの主宰団体である IIBC (国際ビジネスコミュニケーション協会)は、財団法人の看板を掲げていますが、そもそもわが国の法律上は公益を目的とする財団法人しか設立を認められていません。特権的存在です。そして、こういった「公益法人は、税法その他で保護を与えられるので、その設立は主務官庁によって特に許可されなければならない(有斐閣法律学小辞典)」という理屈により、IIBC は、特権があるゆえに特別な審査を経て設立が認められた存在です[但し2008年施行の新法により公益法人は許可主義ではなく、所定の要件を満たせば自動的に認可される準則主義に移行しています]。独立行政法人などと同様、国民に対しての説明責任を負っているのも当然です。公益事業を負託された団体ですから、「その管理の状況をごまかさずに正確に知らせるべき責務(これも有斐閣法律学小事典の「説明責務」での解説)」を負わされて当たり前ということです。こうした視点から見ると、今回のジャパンタイムズは実にいい所を突いており、読ませます。

記事は、80億から90億という受験料収入はいったいどこに行くのだという問題提起で始まり、最近始まったスピーキング/ライティングテストのような赤字部門もあるが、非営利法人という看板に反して、十分黒字の企業だと皮肉まじりで前半をしめくくっています。

俄然、おもしろくなるのが後半です。こういった財務関係の数字からはわからないが、草創期からTOEICからの資金が流れている一群の営利企業その他の正体不明の団体にスポットライトを当てています。

最初に取り上げられているのが 、出資関係が定かでないものの、International Communications School (以下 ICS )という営利企業。IIBCと同じビル内にあり、しかも、ICS の前取締役が IIBI の新理事長になっているという意味で密接な人事交流がうかがわれます。何をやっている会社かと言うと、TOEIC サイドに言わせると事業に関わるプロモーションだそうですが、なんでまたTOEICの普及のために営利企業と組む必要があるのかと問われると、口を閉ざしてしまうとのこと。

しかし,具体的には ICS は公式問題集の発売元である他、IIBCとICS自体を主たる顧客とする E-Communications といったPCベースのテストやデータ処理あるいは Challenge for the TOEIC Test なるプログラムを手がけている子会社を通じて事業を行っています。わたしの見る所、一冊あたり約3,000円という公式問題集からの売上はかなりの収益をあげるビジネスであるはずですが、別法人の会計に属することですから、IIBC の収支には表れないわけで、何かからくりがあるんだろうなと疑ってしまいます。

一方、この IIBC は、渡辺会長の個人的なからみで漢詩同好会的な団体を後援したりと、財団の私物化という非難を浴びそうなことに手を染めてもいます。一番変なのが、ビューティフルエージング協会の会員になっていることです。この団体、IIBCと同じく経済産業省所管の社団法人で、商務情報政策局という部署が担当していますが、「美しく老いる」という団体名と商務情報政策とどう関係があるんだと不思議です。(事業内容を見ると、法人だけが年20万円以上の会費を払って会員になることができ、会員のため、カラオケ、料理教室、囲碁の会、さらには相撲見物といったイベントが並んでいます)

いずれにしろエージング協会のサイトの左上をご覧になっておわかりのとおり、ビューティフルエージング協会の会長である渡辺弥栄司氏は、IIBCの会長(先般、突然辞任したとのニュースもあるので、それが本当なら元会長)と同一人物。しかも、このウェブページを見ると、エージング協会は、なんと自分で設立した公益法人。ということは、公益法人である IIBC の会長が別途公益法人をみずから作った上、ちゃっかりその会長に収まり、IIBC から会費を納入させているわけで、誰がどう見ても、 conflict of interest(利益相反)があります。

[注記:「波打ち際の考察」というブログが写真週刊誌フライデーによるTOEIC会長がらみのスキャンダル(?)に触れていますが、漢詩同好会の女性会長はなんと、TOEICの渡辺会長が会長を務めるビューティフルエージング協会の副会長だそうで、ますます訳がわかりません]

それより、漢詩同好会の後援と言い、健やかな老い方を研究する団体への会費納入と言い、IIBCの基本運営規則に正面から違反しています。寄付行為(=民間企業の定款)に明記してある設立目的は「国際ビジネスコミュニケーションに関する能力評価、調査研究等を実施し、国際ビジネスコミュニケーション能力の開発および向上を図り、もって国際的な経済活動の円滑化と経済交流の促進に寄与する」というものだからです。「目的外活動」という点では、公益法人の資金で関係者の墓碑をたてた漢検と大差ありません。

考えてみれば、熱心に勉強しては腕試しに TOEIC を受験している人たちも、よもや自分たちの払い込んだ受験料がおじいちゃんたちの碁会やカラオケに費やされているとは思わないわけで、人を馬鹿にした話です。

しかもよろしくないのは、 IIBC が積極的に説明責任を否定している姿勢です。公益法人なのにです。今回の記事は、このことを明らかにしている点に最大の功績があるのではないでしょうか。おそらくは記者のねらいもそこにあり、以下で見るとおり、記事の中で、6回にわたり、ノーコメントまたは取材拒否をしていることが明らかにされています。

なぜ ETSへのロイヤルティーが急に2倍になったかに尋ねられると、回答拒否。赤字のライティング/スピーキングについてコメントを求められても無言。なぜ ICS のような営利企業とパートナーシップを組むのかと問われると、ここでも無言の行。ICSの株主は誰か、資本関係はどうなっているかの問いに対しても、ICSの Hirosuke Matsumoto 氏の回答拒否にあいます。ビューティフルエイジングとの関係を質そうと渡辺(元)TOEIC会長にインタビューを申し込めば、これも拒否。

記事の中では専門家の見解として"There is no clear standard" when it comes to how much money a public interest corporation is allowed to make." つまり「どれだけ公益法人がもうけていいのかについては明確な基準がない」としていますが、2008年から施行されている新たな公益法人制度上は、公益法人は費用をまかなう程度しかもうけてはいけないとされているので、ちょっと違います。実際、こういう背景があるので、受験料の値下げ、しかも納入済の分まであわてて返却しているのだと解されます。いずれにしろ、公益法人である以上、どうやってもうけており、それをどう使っているかを包み隠さず国民に明らかにするのが公益法人の管理者としての責務であるはずなのに、それをまっとうしているどころか、積極的に否定しています。したがって、これを放置している監督官庁の経産省は目が節穴なのか、職務怠慢のどちらかだということになります。

「前編」はこちら

追記:その後、経産省の指導で受験料値下げという報道がありました。収支黒字が約6億3300万円に上り、その結果、手元の資金量を示す内部留保(利益のうち配当などで外部に分配せず、事業への再投資に振り向けている分)の水準が高くなり過ぎるとして、所管する経済産業省が3月に指導したとのことです。内部留保は、政府の指針で「年間の事業関連支出額の3割程度以下が望ましい」とされているのに現在30%強とあって、09年度末は27%台まで引き下げるよう努めるとのこと。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009092000068


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»100冊英語多読用ネタ倉庫: TOEIC受験料値下げって… - 2009年8月22日 18:46

TOEIC(R)|お知らせ 今回のTOEICは受験しないので、今まで値下げの件には気づきませんでした。 公開テスト受験料(税込)6615円→59...


Comments

Beginner様
日向先生のおっしゃっているCambridgeテストについて、私なりに優れている点をTOEICと比較してみました。いくつかの問題形式はTOEICと同様ですが、多くの点で異なっています。
 まずリスニングでの朗読が2回おこなわれること。1回目に全体像をつかみ、2回目で解答部分に集中して聞くことができますので会話力より記憶力が試されるということはありません。写真や会話の内容からわざと外した受験者の虚を衝く様な質問もありません。一方、進行形、仮定法、完了形の示す意味がわかっていなければ間違えてしまうといった類の引っ掛け問題は散見します。ばらばらになっている段落の再構築、各段落のタイトル付け問題では多少の単語が解らなくても、全体の意味と筆者が強調したいことを把握しているかが試されます。私が不得手としている起承転結の論理展開を理解できなければなりません。文法問題の「間違いがあれば正せ」は、4択で消去法が活躍できるTOEICと違い、正確な使い方の知識が必要です。
 解答者が英語以外のことで差がつかないよう良く配慮されていると思います。重要部分へのマーキングは自由ですし、試し書きの白紙も用意されており、解答者が自分のやり方で解答できます。面接試験でも、聞きとれなかった場合の聞き返しや自分の理解を確認するための逆質問も可能です。そういった対応も含め、表現力、説得力が審査されます。PET、FCEは受験者が実力を発揮しやすいように質問が仕向けられ、CAEでは中立的な態度、経験はありませんがCPEではどこまでの逆境に耐え得る英語を身につけているかが問われると聞いており、各レベルで遭遇するであろう状況に対応しています。
 私はTOEICの公式問題集を見る限り、問題は良く考えて作られていると思います。しかし、2時間以内、感性を排除した統計処理による採点という制約からか、マークシート方式の完全に定型化された問題のみであることからコミュニケーション力以外の技で得点を上げることは十分可能です。それを目指した技術本、対策コースが跋扈している現状にETSが何も反応しないばかりか、高得点者が勝者であるかのような宣伝しているのが問題だと思います。私自身、それらの受験技術が実践で何も役立たなかった苦い経験をしております。Cambridge test紹介文の冒頭で過度の受験対策は害があるとして戒めたうえで試験そのものを公開し、日ごろのコミュニケーション能力向上を求めている点がとても印象的でした。
 Beginner様がどのようなコミュニケーションを目指しているかわかりませんが、学習していく過程でTOEICを使って時々、成果を測定するということは有効だと思います。

日向先生、はじめまして。最近、英語が必要な状況になってきたため、1から勉強しなおし始めている者です。

経験者の方のコメントが多く、また、先生のTOEICに対する解釈を読ませてもらって、正直びっくりしました。

TOEICは、今自分が目標にしているところでした。ビジネス英語が大半を占めるとは聞いていましたが、ただ単なるコンテストであるならば、目標にする必要がないのでは、と、ちょっと動揺しています。

継続は力なりといいますが、継続するためには、何か目標がほしいのですが、TOEICを目標とするのは、何か間違っているような気がしてきました。先生は、継続力の持続として、何かおすすめされるものはありますか?あれば、ぜひ教えてください。

ちなみに、私はコミュニケーション関係や言語学としての観点から、語学が好きです。

[返信]

TOEICは底力が上がっていることを確認できるという意味で目標として使うのに便利ではあります。ただ、統計上の誤差の範囲を超えて本当にランクアップしていることを確かめるためには総合で70点以上取ることを要するとされています。このことは制作業者のETSみずから公言しているところです。

一方、このブログのTOEIC関連記事で再々指摘していますとおり、TOEICはコンテストであり、能力判定テストではありません。英語の力を直接判定してもらいたいというのであれば、やはりケンブリッジ英検ほどいいものはないと確信しています。ひとまずご自分の英語がどの程度かをチェックし、どのレベルのケンブリッジ英検を受けるべきかの見当がつく簡便なテストとして、こんなものもあります。

http://www.cambridgeesol.org/testyourenglish/

テストとしてのTOEICは安価で手軽という意味では「悪くない」とは思います。
「TOEICで900点を取ってもろくに会話できない」という批判はあれど、大半の人が600~700点でもヒイヒイ言ってる現状では、とりあえず800~900を目指すのは日本人全体の英語力の底上げのためにも無駄ではないでしょう。


裏の金の流れは、また別問題。

[返信]

コメント、ありがとうございます。とおりすがりさんが「テストとしてのTOEIC」という言い方をされている点、わたしは見解を異にしており、TOEICは、受験者がどの程度英語ができるかを直接測定するものではなく、受験者どうしのコンテストだと見ていますので、そもそもTOEICはテストではないと思います。

もちろん、だからと言って、英語を勉強している人が同じように勉強している人に対してどのような位置にあるかを知ること、また、こういったコンテストでのランキング上昇を目指して英語の習得に励むことの効用は否定できません。それこそ別問題です。

一方、裏の金の流れはTOEICの有用性とは無関係であり、だからこそ、表題も「こぼれ話」となっています。辞典を引けばわかりますが、「こぼれ話」という言葉にはちゃんと意味があり、「余話」「余聞」すなわち本題とは関係がないということであり、ご指摘を待つまでもなく、まさに最初から別問題として取り上げている次第です。

本件の記事を読んで感じたことですが、世の中、教育がいかに金によって動かされているかがよくうかがえます。それも質的部分を大いに犠牲にしてまでも、何十億円もの金が特定の権威団体の元に流れ込む。聞いて思わずぞっとします。これは日本だけに起こる特有な現象だとは思いませんが、資本主義社会によくありがちな光景であることは間違いないでしょう。

実際、欧米の大学では、資本主義体制による管理・運営が教育の質の低下を招きはじめているという懸念が出始めています。 それにしてもETSはどうなのか気になるところです。

[返信]

昨年の公益法人法もそういったことを考えたのでしょううが、公益法人の設立を役所の許可にかからせる一方で、役所の保護をいいことに天下りやつまらない無駄遣いに収入を使ってしまうのが情けない話です。億単位の利益が出るなら、過去問題集や受験料の思い切った引き下げだとか、もっとユーザーの立場に立った有効利用を考えたらいいのに思います。

ETSはやはりtax -exempt という地位を守るために営利事業の切り離しなどいろいろと気を使っていると聞きます。むしろSATという角度から批判的に取り上げられており、ご存じかも知れませんが、Owen の None of the above: the truth behind the SATs が鋭く追及していて、傑作な本です。

すばらしい記事、そして英語学習について熟慮されている読者からのコメントに触発され初めてコメントさせていただきます。

先日田舎に帰省した際、子どもの教育に熱心な専業主婦のいとこに「TOEICって大事なんでしょう?」と質問され唖然としました。いとこの子どもはまだ中学2年なのです。
多少なりとも英語の勉強を続けている身として、中学2年でビジネス英語は不要と答えましたが、「TOEICの点数って大事なんだよ」というプロバガンダの蔓延からか、あまり釈然としていなさそうでした。

(相手がネイティブであれば最高ですが、)コミュニティカブな状況を作り、冷や汗をかきながらすぐに言葉にできないもどかしさを抱く。その中で獲得したリスニングやスピーキング能力こそ、錆付くことのない本物の英語力になり得るものと感じています。

英語の必要性が(あまり)ない子どもたちに、英語学習に向かわせる動機付けをどのように行うか、といった議論があまりされていない印象を受けます。
私は、ネイティブとの個人レッスンで、外国文化との相違(gender role、politenessのあり方など)を知るにつれ、外国の良さや日本の良さを理解し、異文化を更に理解したいという欲求が強くなっています。このことがビジネス英語を(現在)必要としない私にとって、学習継続の強力な後押しになっています。

社会生活上最も求められのは、コミュニケーションスキルです。
ビジネス書、自己啓発本の類も、内容は社会での対人スキルがその大半を占めています。
(文書でさえも)外国の人たちとのコミュニケーションを成立させるには、英語を使用する上でのコミュニケーション能力を育てるという観点が必要ではと考えています。

[返信]

「冷や汗をかきながらすぐに言葉にできないもどかしさを抱く。その中で獲得したリスニングやスピーキング能力こそ、錆付くことのない本物の英語力になり得るものと感じています」とおっしゃる点、まさにそのとおりだと思います。

わが国の英語教育がコミュニケーション重視をうたいながら、うまく行かないのは、会話能力までも知識として伝えようとしているからで、まずは使ってみて、状況に合わせて何を言い、どう言えばいいのかで迷い、苦労する経験をさせないからです。

加えて、会話が相手のあることであり、そこから会話の場合は、相手への気遣いを示すための独特の言い回しやら、英語流の敬語が用意されているといったことにまで目を向けていません。こんなことではコミュニケーション以前の段階での足踏みに終わってしまいます。

どんなに高得点をマークしても、Toeicや英検は自信を与えてくれませんからね。他の日本人より自分の方がましという一種の優越感は得られるでしょうから、点数がよければ満足はできるはずです。しかし自信がないからネイティブの前ではいつもビクビク。

自分の英語への自信につながらない学習法は、最終的には遠回りで無駄の多いアプローチだと思います。一見、効率よさそうですけどね。

[返信]

コメントありがとうございます。今ちょうど読んでいるペーパーは、他の英語の使い手と互角にやりとりできると自信を深める上でいかにディスコース・マーカーが重要かを説いており、改めてわが国の英会話教育のうすっぺたさを認識させられます。

TOEICはこの点、おっしゃるとおり、本人の能力開発に結びついておらず、飽くまで「他人より自分がまし」という相対的な位置づけが得られるにとどまっている点が問題であり、加えて、TOEICの主宰団体が「国際コミュニケーション能力を測る」などと言うものですから、受験者自身、この限界に気づかずじまいです。

日向様
なぜTOEICテストがこれほどにも有名になったのか、私なりに考えてみました。
時代の流れに乗ったのは間違いないですが、この方面からの分析は別の人にお願いします。
まず、2時間で勝負が決まり、手軽であること。2時間という限られた時間内でいかにして英語能力を測定するかといった観点からは、良くできた試験方法だと思います。しかし、何をどこまで測ることができるかという議論は聞いたことがありません。
話す、書くといったアクティブな部分が無いこと。これは、ネイティブの助けがなくとも自分の努力だけで成績向上が可能であることから、多くの人に支持された理由の一つでしょう。
受検英語やTOEFLと違って、内容がビジネスに直結していること。受験勉強がそのまま実践に役立つと多くの人が考えても不思議でありません。
合格、不合格ではなく、点数が示されるので、努力した分だけ評価されること、英検のように級間の落差が大きいと次のステップへの挑戦には、それなりの覚悟が必要です。
そして最大で、かつ、多くの人が指摘していない点として、受験技術が大きくものをいう試験であることが挙げられます。参考書で真面目に勉強し、受検回数を増やせば確実に点数は上がっていきます。これは受験生にとって至福のことと想像に難くありません。リピーターが他の試験に比べという点もこれに由来していると思います。脈絡のない文章を1回だけ聞き、引っ掛けに注意しつつ正解を選び出すことは本来のコミュニケーション能力以外の技術を必要とします。実際のビジネスの場では、聞き返せば済むことなので重要な技術とは思えません。Cambridge Testでは、2回朗読されるのでこの様な技術を重要視していないことがわかります。品詞間の相性、単数、複数、冠詞等は英文報告書作成において常に頭痛の種となりますが、TOEICの4択の設問では限界があり、受験者を悩ますことはあまりなさそうです。
英語に堪能な人がTOEICで高得点を取るということは間違いないでしょうが、高得点をとったからといって英語に堪能かという点では大いに疑問があります。勉強次第でCレベル下位の人が2~3ヶ月でBレベルに上がることは十分可能だと思います。しかし、ビジネスに限ったとしても、片言しかできない人が2~3ヶ月で受験技術を獲得した結果、丁々発止と相手と交渉できるようになるとは思えません。本屋で山のように積まれた高得点を取るためのHow-To本を見るたびに、受検英語を否定することから生まれたTOEICテストがTOEICのための英語に変貌していくように思えてなりません。今のブームがこれで良いのかと思うこのごろです。先生の今後のご活躍に期待しております。
(感想ですので掲載する必要はありません)


[返信]

掲載する必要はありませんとありますが、未公開のままというのももったいないし、せっかくですので、掲載させていただきます。

日向先生、いつも有意義な情報満載の記事、ありがとうございます。ここまでTOEICの内情に迫った記事は初めてではないでしょうか。

それにしても、財団法人なのに、回答拒否連発では困りますね。受験料を支払っている170万人の受験者に対して、きちんとお金の流れを明確にすべきす。これでは政治家の答弁と変わりません。

ETSへのロイヤリティの支払いが、2007年度8億円というのも驚きですが、不明瞭な理由で2008年には15億円の支払いで予算化されているとは、どうなっているのでしょうか。その分の差額は当然受験料から支払われるはずですが、ここへ来て値下げでは、つじつまが合いません。漢字検定の理事長親子以上に儲けているのでは、と疑ってしまいます。

また、この記事では触れられていませんが、韓国では公開テストの受験料が約3000円で、ほぼ毎月行われているそうです。物価が1/2な訳はありませんから、日本人の英語学習者を馬鹿にしているように感じます。是非他のメディアにも、元会長のスキャンダルはどうでもいいことですが、お金の流れを厳しく追及して欲しいものです。

[返信]

コメントありがとうございます。実際にお金を払って受験されている方、つまりはTOEICのユーザーの方からすればさぞかし不愉快なことだろうとお察しします。特に韓国のレートには驚かされます。物価比から考えて一物一価の原則が狂っているのですから、何かがあるんだろうと考えてしまいます。

またETSのロイヤルティーが二倍になったりしているのは、一般企業だったら所得の移転だとかで国税が乗り出す典型例ですよね。

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