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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2009年10月09日

フィリピン英語

フィリピンの人の英語はわれわれ日本人から見ると、しゃべりっぷりが堂々としていますし、また、たしかに流暢な感じもします。その一方でフィリピン英語には独特のクセもあるわけで、そのあたりをちょっと考えてみました。

3、4年前に聞いた話なので今はどうか知りませんが、英語業界通から聞いた話では、フィリピン人を講師にした英会話教室が低価格のゆえに、特に警察関係の人に受け、繁盛しているということでした。たしかに安い価格でフィリピン人の先生を相手に自分の英会話力を実地に試し、実力の向上を期するというのはいいことです。

また、アメリカ企業も英語を話す人口でフィリピンがインドに次ぐ大国だという認識から顧客の問合せや苦情に対応するコールセンターをフィリピンに置くというケースが増えています。

しかし、実用レベルの英語と言えるかとなるとけっこう問題があるようで、在フィリピンのヨーロッパ商業会議所の報告では、40万人にのぼる大卒人口のうち95%がコールセンターでの業務をこなせる程度の英語力を備えていないとしています。

また、コールセンターで雇ってもらえるレベルの人たちでも、その英語力に問題ありとされており、その原因は、フィリピン英語がインド英語と同様、syllable-timed であることに求められています。

(典型的日本人英語も同じですが)すべての音節に等しくアクセントを置く結果、LOuk'l と発音すべき "local" を音節の表記どおり loh-kal と発音するという具合に、アクセントのない音節をはしょりません。したがって、普通の英語のようにアクセントの置かれる音節だけを強く発音し、あとは、いわば圧縮するという stress-timed の世界の人と摩擦が生じたりもするのです。

そんなこと、どうでもいいじゃないか。通じるんだからと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、syllable-timed な英語が普通だと思っている人は、stress-timed な英語、つまり英米型の英語を話す人が怒りや不満を表すために敢えて syllable-timed なしゃべり方をしても気づかずじまいです。

例えば、ホンコン理工大学の Gail Forey らはこんな例を報告しています。コールセンターとのやり取りでらちが明かず、ネイティブが「何度言ったらわかるんだ。もう一度言うから、耳のあなをかっぽじってよく聞け」という気持ちを込めて、普通なら

i'll SAY this ONE more time.

と言うところを、各音節にアクセントを置いて明瞭に発音しながら、つまり syllable-timed で、

I-WILL-SAY-THIS-ONE-MORE-TIME.

と言ったとしても、"unhappy and impatient" という言外の意味あいが伝わらず、コールセンターの職員は単純に「ああ、言い直してくれるんだ」と受け止めておしまいです。お客さんの血圧が上がるのが目に見えています。

あと、個人的にはどうもフィリピンの人たちと話していると、アクセントをうしろに置くクセがあるように思います。例えば、necessary を NEcessary ではなく、neceSSARy のように発音するのが一般のようです。

ふと思い出しましたが、子供の頃住んでいたシンガポールでは、中国系のメイドさんとボーイさん、それとマレー系の運転手さんとは英語で話していました。ただ学校はアメリカンスクールに行っていたので、自分は英米型の英語で、あちらは現地風の英語ということになります。当然、独特の抑揚には気づくわけで、それを真似しては親に叱られていた覚えがあります。今にして思えば、あれが syllable-timed な英語との出会いだったようです。

なんであれ、単純にフィリピン英語は聞きやすいとか、彼らとだと英語をうまく話せるといったことを言う人もいますが、このようにフィリピン英語には独特のクセがあり、(どちらがいいのかという話は別として)わが国で「英語」といった場合にイメージされる英語圏の stress-timed な英語とは違うということは知っておく価値があると思います。


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Comments

こんにちは。カナダ在住のkittyです。だいぶ前にコメントを残して以来、ご無沙汰しております。いつも楽しく記事を読ませていただいています。

>あと、個人的にはどうもフィリピンの人たちと話していると、アクセントをうしろに置くクセがあるように思います。例えば、necessary を NEcessary ではなく、neceSSARy のように発音するのが一般のようです。

アクセントをうしろに置くクセといえば、ケベックの人の英語が頭に浮かびました。流暢になのですが、音楽でいうと表拍のリズムの曲を裏拍のリズムで弾いているような不思議な感じがしました。英語とフランス語では似た言葉が多いので、なんとなくフランス語のアクセントのまま英語を喋ってしまうのかもしれません。

英語が話せるフィリピン人はアジアのほかの国でも重宝されているのかもしれませんね。マレーシア人の友人が、「インドネシア人のメイドさんは家事しかできないけど、フィリピン人のメイドさんは子どもに英語を教えることもできるからいいよ。」と言っていたのを思い出しました。

[返信]

おっしゃるとおりで、人間、母語のリズムを強引に外国語にも当てはめてしまうようです。でも,教育程度の高い人ほどそのことを意識して、正しく発音しようとするようでもあります。

フィリピン人のメイドさんの話は、日本でも聞きます。でも、子供の日本語まで怪しくなったのに気づき、あわててフィリピン人だよりをやめたということもあるようです。結局は親の見識の問題ということでしょう。

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