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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2010年1月12日

(上)英語の相づち

会話は話し手と聞き手の共同作業ですが、二人で形のあるものを作っているわけではありませんから、言葉ないし音でしか共同作業としての会話が続いていることを確かめる術がありません。そこで、聞き手は「ちゃんとここにいて、共同作業に参加していますよ」と伝えるために相づちを打ちます。

話し手が自分の気持ちや考えを伝えるために使っている「メインのチャネル」に対して、こうした相づちは飽くまで補完的に「裏のチャネル」を通じて聞き手からのフィードバックを伝えているという意味で、英語では back channel (以下「相づち」)と呼ばれています。

この種の相づちをディスコース・マーカーと呼ぶ人もいるようですが、私の理解では、Well, Now といったディスコース・マーカーは、これから話すことと先行部分との境目を示す一方、内容的につながっているのか、つながっていないかを示す標識である点、つまり話のコンテンツに直接関わっている点で、相づちとは別種のものです。言い換えれば、相づちはコンテンツの器であるコミュニケーション・チャネルが「生きている」ことを確認する、メンテのためのツールと位置づけることができます。

なんであれ、あとで説明するとおり、役どころに応じていくつかの言い方がありますが、共通しているのは、相手に対して「どうぞそのまま話を続けてください、私はまだいいですよ」というメッセージが入っていることです。

★ 相づちの役割

この相づち、英語を話す際に大変重要な役割を担っています。と言うのも、英会話は結局、話し手が交互に入れ替わるというルールと、聞き手は話し手が話をしている間、何らかのリアクションを通じて共同作業が続いていることを確認するというルールで成り立っているようなものだからです。

この枠組みの中で、聞き手による相づちは話し手に対して、「聞いてますよ」「そう、そう、わかりますよ」と相手の話を受け止め、理解していることを示すもので、そのことを通じて、話し手も会話という共同作業が支障なく続いているとわかり、安心できるという構図になっています。

このような相づちは、話し手が発する you know, you see のようなものを含め、会話で頻出しますから、英語を習う以上、当然、会得すべきものとされており、Geoffrey Leech と Jan Svartvik の A Communicative Grammar of English でも、こう言っています。

...it is therefore important for the foreign learner to be familiar with them and able to use them quickly, and appropriately, in different situations  そこで、英語を外国語として学ぶ人々にとっても、こういったものになじんでおき、素早くかつ的確に使えるようになることは重要だ

もちろん、日本語でも当然、相づちは打ちます。いや、日本語会話の場合は、英語会話に比べて3倍多く相づちを使うというぐらいで、その意味では、日本人の方が相づちの「達人」とも言えそうです。

しかし、日本語と英語とでは相づちの役割が違っていることに注意を要します。言い換えれば、日本語で話しているときの流儀をそのまま英語のときにも持ち込むと、嫌な感じを与えたり、失礼な奴と思われかねません。

日本語の場合は、A:(気落ちした様子で)「いやね、結局さ・・・」B: 「物別れだったんだ」A: 「そう、物別れ」という会話に見られる通り、しばしば聞き手が話し手の言葉を引き取って相手の言いたいことを完成させるわけで、会話では聞き手が察してくれることが予定されており、その意味でコミュニケーションの主体がむしろ聞き手であることをうかがえます。

ところが、英語の場合は、話し手が自分の責任で話を進め、イニシアティブを取るスタイルを取っていますから、聞き手がむやみに相づちを入れると、話し手の固有の領分を侵すことにもなりかねません。したがって、相づちを打つにしても控えめですし、実際にも、無音に近い、mmm がよく使われます。

なお、相づち的役割を果たすものとしては、他に、うなづく動作、ちょっと笑うといった非言語ツールもありますが、こういったものは映像がないとわかりにくいので、ここでは取り上げません。ただ、日本語の場合、相づちと首の縦振り(うなづく動作)が一緒ということがよくありますが、英語の場合は、言葉を発するに留まり、首まで振るのは少ないという事実は、けっこう重要なポイントです。やたらうなづきながら相づちを発するのは、何か暗示にかかりやすい性格を思わせますし、英語を話す人間の感覚からすると、ともすると、子供っぽく、「みっともない」と映ることになります。

★ 相づちの種類

相づちはそれ自体格別、言葉としての意味を持たず、「聞いているよ」と合図する一種の音でしかありませんから、基本的なものはそれほど多くありません。また、それが果たす役割も大きく分けて、4つぐらいです。

以下、個別に見て行きますが、単に「聞いているよ」と伝えるタイプ、それにプラスアルファして、「うん、そうなんだ、なるほど、わかるよ」と相手の「言っていること」がわかった旨伝えるタイプ、「ごもっとも」「そうそう、ほんと、おっしゃるとおり」あるいは「へー、そうなんですか」と相手の「気持ち」がわかると伝えるタイプ、さらに、「そりゃひどいな」などと聞き手自身の感情を伝えるものの、およそ4つに整理できるかと思います。

1)単に「聞いてるよ」と伝える相づち

このタイプでよく使うのは、yeah, mmm, uh-huh の三つです。いずれも会話における yes の代用品である点、共通しています。中でも yeah は "casual yes" と呼ばれるぐらいですから、いわゆる集合写真を友だちに見せているおりに、「これが君かい」という意味で、

Is that you in the picture?

と聞かれた場合も、

Yes に代えて Yeah, that's me. というふうに使えます。

この場合、uh-huh も使えます。しかし、mmmと応じたら変です。ということは、mmmは飽くまでも「聞いてるよ」と伝えるための受け身的な、一種の「無声音」でしかないということです。それをより「有声音」にすると uh-huh になります。しかも、uh-huh は、mmm と異なり、I see. という意味で使うこともできるので、ひとしきり mmm が続いたあとで、I see. と言ってもいいところで、uh-huh と言うのが一つのパターンでもあります。

それでは用例を見てください。

mmm の例

A: And then the manager took us around and showed us the work they do.
B: Mmm.
A: After that we were taken to the factory canteen.
B: Mmm.
A: That's where we met the enigmatic Mishal Smith, the founder-president.
B: Oh, Mishal Smith.

uh-huh の例

A: Basically, you do it like this.
B: Uh-huh. (= I see)

A: Go straight down the hallway and make a left when you reach the first crossing hallway.
B: Uh-huh. (= I see)
A: You'll see the elevators on your right.

MEMO ここでの Uh-huh は、口を閉じたまま言います。口をやや開いて言う「ア ハア」 だと、「ははあ、なるほど、やっぱりね、そうだったのか」という意味の Aha に聞こえてしまうので注意を要します。

yeah の例

A: If it ever happens again, we'll have to have it serviced.
B: Yeah. (= I agree)

まとめて言えば、英会話では相づちは要所要所で控えめに使うものなので、目立たない mmm で応じつつ、時折、I see. を入れられる場面で、mmmのバリエーションとして uh-huh が使われ、より積極的に yes 、特に I agree. でもいいような場合に yeah になるといったところでしょう。

あと、単に「聞いてます。どうぞ続けてください」という意味の相づちとしては

And?

And then?

というのもありますが、「で、それで」という感じのものとあって、友だちどうしや親しい同僚とならともかく、目上の人や親しくない人に対しては使いにくい相づちです。


2)「聞いてるよ」に「わかるよ」をプラスした相づち

前項の mmm, uh-huh, yeah が格別意味のない「音」程度なのに対して、より積極的に相手の言っていることにつき、「わかるよ、わかったよ」というプラスα的要素を加えたのが Okay と Right です。

Okay の例

A: I heard some things about the board meeting.
B: Nothing happened, I'm afraid.
A: Okay. Nothing happened.
B: You may have heard different, but it was nothing more than an intense discussion. What put that idea into your head? Nothing happened.
A: Okay.

Right の例

A: Finding work is tougher for older people.
B: Right. (= I accept that view)
A: In fact, a friend of mine...
B: Mmm.
A: He's well over fifty, I think, he...


A: My guess is that we would have to leave by ten at the latest.
B: Right (= You’re correct).
A: So why don't we...?

A: So, anyway.
B: Well, you know, it's all history now.
A: Right. (= I see.)
B: But this had one unfortunate consequence.
A: Oh. What's that?

MEMO 「あなたのおっしゃるとおり」という感じが前面に出ているツールです。ただ、Right は、単に承りました、聞き届けましたという程度で使われることもあります。例えば、次のやりとりは電話での問合せの最後の部分です。A: OK then. B: Thank you very much indeed. A: Right. B: Bye. A: Bye.

つづく


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