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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2010年1月31日

ペラペラになるためのスキル

以前「ペラペラとは何か」という記事で、ひとまず「妙な間を置かずに長めのしゃべりをきちんと整理しながら展開していけるスキル」がペラペラの正体だと申しあげましたが、今一度、「英語を話すというのはどういうことか」という枠組みに即してもっと、具体的に何をやればいいのかを考えてみました。

結論から言えば、「ペラペラ」という評価を得るためには、スピードが問題なのではなく、妙なところで話が途切れ、黙ってしまわないようにする、つまり余計な間を置かずに話し続けることがポイントとなります。

そもそも英語で話すというのは、日本語同様、大変な作業です。一定以上の単語力や文法能力を前提に、話をしているコンテクスト(相手との関係などのその状況での非言語要素)にも配慮しながらいくつもの作業を同時並行でこなしているわけで、車の運転と同じです。ハンドルを切りながら、ウィンカーを出したり、ブレーキやアクセルを操作するという具合に複数の作業をいちどきに処理しているわけで、一つの動作に集中するために、他の動作をやめたりしたら大変です。

このことを、Longman Grammar of Spoken and Written English はこう説明しています。

A conversationalist cannot simply stop, since the result can amount to a communicative breakdown: a unilateral suspension of conversational activity. 会話をしている人は簡単にやめる訳に行かない。やめたりすると、それはコミュニケーションの破綻すなわち会話の一方的中止ということにもなりかねないからだ。

このように英語で話をするときは、"keep talking" が至上命題であり、万一手詰まりとなったりしたときは、言いよどんで時間をかせぐか、いちから出直して言い直すか、話す順番を相手に譲るかの三つにひとつしかありません。

こうした視点に立って、fluency をどう確保するかを考えた場合、言い直す例を別にして考えると、ことは言い淀むような状況をどう乗り切るかということに集約されます。

その答えは、filler (埋め草)と呼ばれる、Um, Let me see, I mean といったツールを使うことです。

リアルタイムで進むものであり、推敲などできない会話の場合、ともかく、前へ前へと進むのが当たり前とされていますから、and stuff like that や、you know, it's one of those things といった「いい加減な英語」も、それ自体格別の意味がなく、会話を進めるための補助輪だという意味で、広い意味では filler の一種です。

一方、ペラペラの要素の一つである「長めのしゃべり」をこなすためにどうしたら良いかと言えば、コロケーションまたはlexical bundles と呼ばれる、定型表現の暗記に努めることです。英語圏の人たちも決してセンテンスをいちいち組み立てているのではなく、できあいの部品をしかるべき位置にどんどん放り込みながら話しているだけですが、何しろ慣れているので、スピードがあるというだけです。言い換えると、「ペラペラ」と言えるかは上の穴埋め的な filler に加えて、こうした定型表現を次々と繰り出せるかにかかっており、決して話すスピードの問題ではないのです。ですから、俗に言う機関銃英語は宴会芸としてならともかく、学習者の到達目標とすべきものではありません。

以上を要するに、"keep talking" が当然とされる英会話の世界では、このように、間を置かぬように「空白の言語空間」を埋めていく工夫が必要である一方、間を置くにしても、主語述語があるセンテンスを言い終わったとき、あるいは、前置詞句などのような、ひとまとまりの単語を言ったあとに、それが来るように気をつける必要があり、加えて、lexical bundles ないしは定型表現の在庫を総動員して、空白が生じないように努める工夫も要求されるということです。いあはや大変な世界です。英語で話すというのは。

英語を話すときに日本語会話の流儀を持ち込んで自分では間合いを取っているつもりでも、相手には "keep talking" というルールに反している無礼者と映ることにもなりかねません。したがって、英語を話そうという以上は、単語や文法の勉強に加えて、「間抜け」な話し方とならないよう、こうした間(ま)を埋めるスキルにも意を用いる必要があると思います。

英会話スキルという見地からは、沈黙は金に非ずということでもあります。


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Comments

確かに、日本語だったら言わないようなことを、英語での会話だとつい言ってしまうことは多々ありますね。私もかつては、会話をつなげることに専念して、疲れ果てた経験がありますー。

でも、当然のことですが、アメリカでも、べらべらと内容のないことを喋りまくる人たちは、嫌がられます。馬鹿にされます。だから、今は、いなおって、へたに間をつなぐことに専念するのはやめて、しゃべりたいことがないときは、黙っていることにしています。もっとも、仕事の場合などはそう簡単にはいかないですけど。

「単語力の向上で高度の英会話力がつくと説く」というのは、もちろん論外ですが、なんとなく、「keep talking」というのを言葉通りにとってしまうと、誤解される方もいるのでは・・・、と感じたので投稿しました。日本人があまりそれに専念すると、ペラペラの会話になってしまいそうで・・・

[返信]

たしかに微妙な問題ですね。しかし、沈黙の害の方が大きいと言える現状では、敢えて keep talking を強調した方がいいのかと感じています。

あと、教育程度の高い人の場合、けっこう心地いい沈黙をはさんでくれるし、こちらの沈黙にも寛大なような気がします。

Keep talking…まさにその通りですね。
日本語で話している時よりも、英語の時の方ががつがつしている自分がいます。自分の主張、意見を通したかったら
というか聞いてもらいたかったら、とにかく話をしとおさないと、誰かに発言権を奪われてしまいますもんね・・・。
3人以上の会話に加わると、疲れてしまいます。笑

[返信]

援護射撃、ありがとうございます。実際に話せるレベルにならないとこれをわかってくださらないんですよね。その一方で、文法をきちんとやれば、あとは単語力の向上で「高度の」英会話力がつくと説く大先生もいるわけで、困ったものです。

X国事情では、どうも外れたみたいですね。(残念!)

英会話カフェで初級・中級・上級を比較する時、レベルが上がれば上がるだけ各人の話の長さが伸びている気がします。授業でそういう光景には出会いますか?

[返信]

授業では4人一組のグループ内で互いに助け合って、レベルの差が克服されるので、個々人のレベルアップがわかりにくいのですが、グループの「作品」が回を追って、長めになるという傾向はあります。

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