2010年3月30日
the below passengers を嘆く
春の息抜きに大型クルーズ船(日本籍)で一週間ほど遊んできました。日南市、奄美大島とまわり、さいごは石垣島で下船。そこで二日ほど観光したり、ビーチで昼寝したあと、飛行機で羽田まで戻って来ました。
ちなみに石垣で泊まったのはANAインターコンチネンタル。いいホテルです。鉄板焼きで楽しみにしていた石垣牛のステーキを食べたのですが、絶妙の焼き加減で大満足。こういうものは焼き手次第ですから、行かれる機会があったら、鉄板焼き「於茂登」の外間[ほかま]さんのテーブルをお勧めします。
話をクルーズに戻すと、以前、「食のにっぽん丸」として知られている別の大型客船で旅行したことがあったので、この船の食事がどの程度上等なのか、うまいのかが最大の関心事でした。結果ですが、食事のうまさは「にっぽん丸」の完勝。
サービスも、特に外国人従業員の日本語の質で見て、やはり「にっぽん丸」の勝ちです。近頃は船の上でのサービスは9割かたフィリピンなどの外国人船員ですが、この船のスタッフの日本語が水準に達していません。デッキで、「おはようございます」と挨拶すると、「おはよう」と偉そうな言いようで、しかも、二回や三回ではありませんから、明らかな訓練不足。また食事のときも「ペリエ」をウェイターに頼んだところ、さっぱり通じず、入れ替わり立ち替わり3人ほどがやってきて、中には(昼なのに)「ドンペリございます」などととんでもないことを言うのまでいて疲れます。よくないのが、わかったふりをする人の多いこと。コーヒーはブラックでと頼んでいるのに、「こちらはブラックでございますね」と言いながらミルクをどぼどぼと注ぐありさま。
いずれにしろ、食事やサービスの質もさることながら、やはり比較したいという気持が強く、船内のあちこちを見てまわったのですが、そんななか、目が止まったのが、航海歴の長い乗客を讃えるブロンズのプレート。すごいもので、合計1,000日以上もこの船のクルーズに参加されたという方が7、8名ほどお名前が刻まれていました。圧巻はその隣の金色のプレートで、その方はなんと計2,000日以上!世界一周航海で、だいたい90日ですから、20年以上世界を回り続けている計算になります。世の中すごい方がいらっしゃるものです。
ところで、その金属製の豪華なプレート、通路の目のつくところに打ち付けられていたのですが、「本船にて航海された以下の方々の栄誉を讃えて」という趣旨の一文、出だしがこうでした。
Honoring the below passengers, who have sailed aboard....
仕事で英語に触れる機会のある方々ならお気づきでしょうが、文書の上で、「下記の」という意味で below を使うときは、名詞のあとに決まっています。つまり、the below passengers は間違いで、正しくは the passengers below と書くべきです。
普通の辞書にはなぜかこのルール明記されていないようですが、Longman Dictionary of Common Errors はこれを正面から取り上げ、
The below report describes my recent stay at the Hotel Grove.
という誤用文を挙げた上、
When below refers to the position of something on a page, it comes after the noun.(below がとあるページ上の何かの位置を指しているときは、名詞のうしろに置くことになっている)
と説明しています。つまり正しい書き方はこうです。
The report below describes my recent stay at the Hotel Grove.
この本も指摘していますが、これが above であれば、the above report でも、the report above でもいいわけで、below だけ変則であることをしっかり覚えておかないと思わぬところで恥をかいてしまいます。要注意の単語です。
一種の職業病ですが、英語があるとついつい、じっくり見入ってしまうわけで、のんびりするための旅のはずなのに、余計なことに気づいて、がっかりさせられました。外国人も乗るだろうに、ああいう目立ったところに、あの手の英語があるのはねえ・・・なんとかしてよ、と。
追記:クルーズの運営会社にこの件を知らせたところ、返って来た答えが「ご指摘をいただき有り難うございました。確認させていただきます」と国会の答弁風。あの会社は官僚的だとか、慇懃無礼だといううわさは聞いてましたが、わが身で経験するとは思いませんでした。「確認させていただきます」なんて切り口上を使うのは、少なくとも自分の感覚でははばかられます。
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Comments
だから、語学は難しい・・・。英語も日本語も。
以前、A新聞に、「日本人の英語ヒヤリング能力は低下している」という内容の記事が載っていました。さすがに頭にきて、ヒヤリングとリスニングの違いをコンコンと編集者に説明してやりました。しかし、「よくヒヤリングテストって言うじゃないですか!だからそれでいいんです。訂正も出しません。」と逆切れされました。返す言葉も見つからず、静かに不買という形で、抗議させていただきました。
なんだか、先生と気が合いそうです。思考回路が似ているようで・・・(笑)。
[返信]
そうですね。しかも、今回の英語の話は書き言葉の問題であって、証拠がさらされるだけに、余計恥ずかしいことだと思います。
- めいけんとパパ
- 2010年3月30日 22:55

毎日出勤前に先生のブログをチェックしています。
先生のことを本当に頼りにしています。
belowの使い方、私も間違っていました。恥ずかしい。
Longman Dictionary of Common Errors をすぐに注文しました。
[返信]
記事が役立ったようで、何よりです。これからもどうぞ宜しくお願いします。